フィンランド語で白樺は「コイヴ(koivu)」。この木はフィンランドの国樹であり、国旗の白にも白樺の幹の色が重ねられている。サウナのヴィヒタ(白樺の枝束)もコイヴ。薪もコイヴ。フィンランド人の暮らしの至るところに白樺がある。
燃焼の特性
白樺は広葉樹の中では比較的軽い部類に入る。ナラやブナに比べると密度は低く、火がつきやすい。着火のしやすさは薪ストーブの焚き付けで大きな利点になる。
ただし、軽い分だけ一本あたりの熱量はナラやブナに劣る。長時間の持続力では重い薪に負ける。ではなぜ北欧では白樺が好まれるのか。理由は単純で、北欧に白樺が多いからだ。フィンランドの森林面積の約16%が白樺。どこにでもあり、手に入りやすく、扱いやすい。地元にある木を使う。これが薪選びの基本だ。
樹皮の特別な役割
白樺の樹皮にはベチュリンという成分が含まれている。この成分のおかげで、白樺の樹皮は非常によく燃える。北欧では古くから焚き付けとして白樺の樹皮が使われてきた。マッチが発明される前は、火打ち石と白樺の樹皮が「火をつける道具」だった。
薪ストーブの焚き付けでも、白樺の樹皮は重宝する。細い薪の下に丸めた樹皮を置いてマッチをつけると、油分を含んだ樹皮が勢いよく燃え上がり、その炎が細薪に移る。着火剤を買う必要がない。
香りと煙
白樺の薪は燃えるときにかすかに甘い香りがする。この香りを好む人は多い。フィンランドのサウナでは白樺の薪で焚くのが伝統とされ、薪の香りがサウナ体験の一部になっている。
一方で、白樺は煙が出やすいという面もある。乾燥が不十分な白樺を焚くと、樹皮のタールがべったりと煙突に付く。十分に乾燥させること(含水率20%以下)が、白樺を気持ちよく焚くための条件だ。
岩手の白樺
岩手にも白樺はある。八幡平や安比高原の白樺林は東北を代表する風景だ。ただし、岩手の薪ストーブユーザーが普段使う薪はナラやクヌギが中心。白樺は薪としてはやや入手しにくい。
もし白樺の薪が手に入ったら、焚き付け用の細薪として使うのがいい。太い薪はナラやクヌギ、焚き付けは白樺。この組み合わせが北欧の知恵であり、岩手でも応用が利く。