薪ストーブの煙突は、煙を外に出す管だと思われている。間違いではないが、それだけでは足りない。煙突の本当の仕事は「空気を引く」ことだ。
温かい空気は上へ行く
ストーブで薪を燃やすと、煙突の中の空気が温められる。温かい空気は密度が低いから、冷たい外気より軽い。軽い空気は上へ昇る。煙突の上から温かい空気が抜けると、ストーブの下から新しい空気が引き込まれる。この循環がドラフト(上昇気流)だ。
ドラフトが強ければ、新鮮な空気がストーブに勢いよく入り、薪がよく燃える。ドラフトが弱ければ、空気が足りず、不完全燃焼になる。煙が室内に漏れることもある。薪ストーブの性能の半分は煙突が決めている、と言っても大げさではない。
ドラフトを左右する3つの要素
第一に、煙突の高さ。高いほどドラフトは強くなる。温かい空気の柱が長いほど、引く力が大きい。日本の建築基準法では煙突の高さに規定があるが、ドラフトの観点からは4.5メートル以上が望ましい。
第二に、煙突の内部温度。断熱二重煙突は、煙突内の温度を高く保つことでドラフトを安定させる。シングル煙突だと外気で冷やされ、ドラフトが弱まる。冬の岩手のように外気温がマイナスになる地域では、断熱の有無が大きく効いてくる。
第三に、煙突の経路。曲がりが多いほど抵抗が増え、ドラフトは弱まる。理想はまっすぐ上に抜く「ストレート」。横引きが必要な場合でも、できるだけ短くする。
煙が逆流するとき
焚き始めに煙が室内に入ってくることがある。ストーブも煙突も冷え切っている状態では、ドラフトが発生していない。対策は「暖機運転」。新聞紙を丸めて煙突のダンパー近くで燃やし、煙突内の空気を温めてやる。空気が上に動き始めたら、本格的に焚き付けに入る。
焚き付けの段階でドラフトを確認する習慣をつけると、煙の逆流はほぼ防げる。