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YOMIMONO / 岩手の冬

岩手の冬が
来る日

文・有限会社D'STYLE|岩手・盛岡の薪ストーブとサウナの店

公開日:2026年9月11日 / 最終更新日:2026年10月25日

岩手の冬は、ある朝ふいに始まるように感じられます。けれども気象台の記録をたどると、冬は山の頂から里へ、霜から雪へと、いくつかの段階を踏んで訪れることがわかります。

この読みものでは、盛岡地方気象台の観測と気象庁の平年値(1991〜2020年)をもとに、岩手山の初冠雪から初霜、初氷、初雪、そして冬日が重なる真冬までを順にたどります。暦を知っておくと、毎年の冬の訪れが少し違って見えてきます。

冬は、まず岩手山の頂に訪れます

盛岡の冬の便りは、北西にそびえる岩手山から届きます。盛岡地方気象台が観測する岩手山の初冠雪は、平年で10月13日です。1954年の寒候年から続く記録のなかで最も早かったのは1992年の9月21日、最も遅かったのは2001年の11月4日で、年によってひと月半ほどの幅があります。

2026年の初冠雪は10月21日で、平年より8日遅い観測でした。初冠雪とは、山頂付近が雪で白く見える様子を、麓の気象台から最初に確かめた日のことです。里ではまだ紅葉が続いている時期に、山頂だけが先に冬の色をまといます。平年日で比べると、岩手山の初冠雪から盛岡の初雪までは、およそ4週間の間があります。

この観測にも変化があります。気象庁は、2026年秋からの冬のシーズン(2027寒候年)より、職員の目視に代えて、新しい観測技術に基づき山頂の積雪の状況に関する情報を提供すると発表しています。山を見上げて冬を確かめてきた長い記録は、新しい方法に引き継がれていきます。

霜と氷が、朝の空気を変えます

山に雪が見えるころ、盛岡の朝には霜が降り始めます。2024年10月の天候をまとめた盛岡地方気象台の資料によると、この年は10月21日に初霜と初氷を同じ日に観測しました。初霜は平年より5日早く、初氷は平年より10日早かったとされています。ここから計算すると、盛岡の初霜の平年日は10月26日ごろ、初氷は10月31日ごろにあたります。

霜は、空気中の水蒸気が地面や草の表面で氷の結晶になったものです。よく晴れて風の弱い夜には、地面の熱が空へ逃げて冷え込みが強まり、霜が降りやすくなります。初氷は、その冬に屋外の水が凍った様子を最初に観測した日です。

この二つは、2025年の秋から始まった冬のシーズンを境に、職員による目視観測を終えました。気象庁は2025年8月、アメダスや気象衛星などの観測技術が進み、面的な気象情報を提供できるようになったことなどを理由に、初霜・初氷の目視観測を終えると発表しています。朝の庭先に降りた霜で季節を知ることは、これからは暮らしの側の楽しみとして続いていきます。

初雪の平年日は、11月9日です

盛岡の初雪の平年日は11月9日です。盛岡の雪の観測は、2020年2月3日に職員の目視から観測機器による自動観測に切り替わりました。自動観測になってからの最も早い初雪は2025年の11月7日、最も遅いのは2021年の11月23日です。目視観測の時代には、1986年の10月18日という早い記録や、1960年の11月27日という遅い記録もあります。

暦の上では、2026年の立冬は11月7日、小雪は11月22日です。盛岡では、立冬のころに初雪を迎える年が多いことになります。ただ、11月の降雪は平年で合計6cmにとどまり、初雪の多くは積もらずに消えていきます。雪の降った日は11月に平均8.7日、12月には24.4日となり、12月のうちに雪のある景色が日常になっていきます。

冬日の数で見る、盛岡の冬の深まり

最低気温が0℃を下回る日を、冬日と呼びます。盛岡の冬日は、平年で10月に0.3日、11月に9.8日です。12月には25.6日、1月には29.8日となり、1月はほぼ毎朝が氷点下になります。2月は26.8日、3月は23.6日、4月にも5.8日あり、年間では121.6日にのぼります。一日の平均気温そのものが0℃を下回る日は、11月には平均0.6日とほとんどありませんが、12月には12.4日、1月には22.4日に増えます。11月は朝だけが冬で、12月に入ると一日を通して冬になる、という移り変わりが数字からも読み取れます。

月の平均気温は、9月の19.3℃から10月の12.6℃、11月の6.2℃、12月の0.8℃へと、秋から冬にかけてひと月に6℃前後ずつ下がります。日中の最高気温も0℃に届かない真冬日は、12月に2.0日、1月に6.4日、2月に3.4日です。1月の日最高気温の平年値は2.0℃で、氷点下の朝が続く一方、日中は多くの日で0℃を上回ります。冷え込む朝と、日差しの戻る昼。その寒暖の差が、内陸の盛岡の冬の表情です。

冬の光は、短く、低くなります

冬の訪れは、光の変化にも表れます。盛岡の日照時間の平年値は、10月が141.3時間、11月が117.7時間、12月が103.7時間で、12月は一年でいちばん日照の少ない月です。

国立天文台の計算では、2026年の冬至にあたる12月22日の盛岡は、日の出が6時53分、日の入りが16時15分で、昼の長さは9時間22分です。正午ごろの太陽の高さは26.9度にとどまります。興味深いのは、日の入りが最も早いのは冬至より前の12月3日から13日ごろで、16時11分であることです。日の出のほうは冬至を過ぎても遅くなり続け、12月末には6時56分になります。夕方の明るさは、冬至を待たずに少しずつ戻り始めています。

日が短くなると、夕方は早くに暗くなり、家の中で過ごす時間が長くなります。太陽の高さが低い季節には、南の窓から差し込む光が部屋の奥まで届きます。昼の光を家に招き入れ、日が落ちたら火を囲む。冬の一日は、そうした穏やかな繰り返しのなかで過ぎていきます。

白鳥の飛来する池

盛岡の冬の訪れを、水辺で感じる人も多くいます。盛岡市の公園ガイドは、高松公園を、江戸時代に造られたため池を生かした公園として紹介し、春は花見、夏はボート遊び、秋は紅葉、冬は白鳥の飛来する公園として四季を通じて親しまれていると記しています。約800本の桜が植えられ、平成元年に日本さくら名所100選に選ばれた公園でもあります。

花見の池が白鳥の池へと変わっていく様子は、一つの水辺で季節の移ろいを見せてくれます。白鳥の暮らしと冬の池の散歩については「高松の池の白鳥」に書いています。

冬を迎える支度と、最初の火

冬の訪れを段階で知っておくと、支度の順番も決めやすくなります。岩手山が白くなったら煙突と薪ストーブの点検を、霜が降り始めたら水道の凍結への備えを、初雪の平年日が近づいたら冬タイヤへの交換を、という具合です。具体的な手順は「東北の冬支度。11月に済ませておくこと」に、ストーブの点検項目は「冬が来る前に薪ストーブの点検を済ませる理由」にまとめました。

シーズン最初の火は、夏のあいだに冷えきった炉と煙突を、小さな火でゆっくり温めるところから始めます。煙突の引きが落ち着いてから、少しずつ薪を足していきます。煙が室内に漏れる、異常な臭いがするといったときは、すぐに使用をやめてください。D'STYLEでは、シーズン前の点検も承っています。

山の頂に雪が見え、朝の草に霜が降り、やがて街に初雪が舞う。その順番を一つずつ確かめながら迎える冬は、毎年同じようでいて、少しずつ違います。D'STYLEは「あなたの冬を、人生で一番好きな季節にしたい」という思いで、岩手の冬の暮らしに向き合っています。

関連するページ:煙突について・煙突掃除・薪ストーブ修理・盛岡・岩手の薪ストーブ専門店

参考:初冠雪・初雪の記録は盛岡地方気象台「気象・季節現象など」、初霜・初氷は同「2024年10月の天候」と気象庁報道発表(2025年8月)。気温・雪・日照の平年値は気象庁 平年値。二十四節気は国立天文台 暦要項、日の出入りは国立天文台「日の出入り@盛岡」。高松公園は盛岡市 公園ガイドによる。

D'STYLE
橋本 大治(有限会社D'STYLE 代表)

岩手・盛岡で薪ストーブの施工を手がけて20年。

冬が来る前に、点検を済ませる。

秋のうちのご依頼だと余裕を持って対応できます。ご相談は無料です。

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