屋外に積み上げられた薪の列
YOMIMONO / 薪と燃料の話

薪の乾燥に2年かける理由

文・有限会社D'STYLE|岩手・盛岡の薪ストーブとサウナの店

公開日:2026年9月12日

薪ストーブを使い始めた方から「薪は買えばすぐ使えますか」とよく聞かれます。答えは、場合によって違います。十分に乾燥していれば問題ないのですが、「薪」として売られていても含水率が高いものが市場に出ていることがある。生木に近い薪を燃やすと、ストーブにとって良くないことが起きます。

木を伐採してから、薪として使えるようになるまでには時間がかかります。木の種類や気候条件にもよりますが、広葉樹で1年半から2年が目安とされています。この時間を「乾燥期間」と呼び、薪作りの中で最も大切な工程です。

なぜ乾燥が必要なのか

伐採直後の木には、大量の水分が含まれています。樹種によって差はありますが、生木の含水率は50%を超えることもある。重さの半分以上が水ということです。

このまま燃やすとどうなるか。まず、燃えにくい。水分を蒸発させるためにエネルギーを消費してしまい、実際に熱として使える割合が大幅に下がります。火力が上がらず、部屋が温まらない。

さらに問題なのが煙突への影響です。水分の多い薪を燃やすと、燃焼温度が下がります。燃焼温度が下がると、煙の中に含まれる未燃焼成分(タール)が煙突の内側で凝縮して付着します。これが煙突に積み重なっていくと、煙道火災という深刻な事故につながります。煙突の内側に積もったタールに引火し、煙突の中で火が燃え広がる。年に一度以上の定期的な煙突掃除が必要なのは、これを防ぐためでもあります。

「2年」という時間の根拠

広葉樹の薪(ナラ、クヌギ、カシ、サクラなど)は密度が高く、乾燥に時間がかかります。目標とする含水率は20%以下、できれば15%程度です。このレベルに達するには、風通しのよい場所で雨除けをしながら保管して、地域や年によりますが1年半から2年かかるのが実態です。

針葉樹(スギ、ヒノキ、マツなど)は比較的早く乾燥しますが、樹脂分が多く、燃焼時の高温で煙突を痛めることがあるため、広葉樹と混ぜながら使うのが基本です。

ノルウェーでは「来年の冬の薪を今年の秋に割る」という習慣があります。少なくとも1年先を見越して準備するということです。薪作りが生活の一部として根付いている文化が、そのまま「適切な乾燥期間を確保する」習慣につながっています。

乾燥した薪の見分け方

含水率計(水分計)という道具を使えば正確に測れます。薪ストーブを使う方は一つ持っておくと便利です。1,500円程度から購入できます。

道具がない場合は次のような方法で判断できます。

まず音。十分に乾いた薪を二本たたき合わせると、乾いた「カン」という音がします。水分が残っているとくぐもった「コン」という鈍い音になります。次に割り口の色。乾いた薪は断面が明るく、ひびが入っていることが多い。生木は断面が濡れた感じで、繊維が見えます。重さも参考になります。同じ大きさなら、乾いた薪は明らかに軽い。

薪の保管場所について

薪を乾燥させる場所は、できるだけ日当たりと風通しのよい場所が理想です。地面から少し上げて(パレットや角材の上などに積む)、底面から湿気が上がらないようにする。上部は雨をしのぐ屋根か防水シートで覆い、側面は通気のために開けておく。密閉すると湿気がこもって乾きにくくなります。

岩手の気候では、冬の間に積もる雪を考えると薪小屋があると管理が楽です。数年分をまとめて保管できる大きさのものを作る方も多い。当社のお客様でも、薪棚・薪小屋の製作について相談をいただくことがあります。

よくある質問

Q. 1年乾燥させた薪は使えますか。
使えないことはありませんが、2年乾燥の薪より含水率が高めなことが多い。特に冬に伐採した木は翌冬には含水率が下がりやすいとされますが、夏に伐採した木は1年では不十分なことがあります。含水率計で確認してから使うと確実です。

Q. 薪を買うとき、どこを確認すればよいですか。
「乾燥薪」「乾燥済み」と書いてあっても、実際に含水率を測っているかどうかは販売業者によって異なります。信頼できる地元の薪販売業者を見つけることが大切です。当社でも薪の入手先についてご相談を受けています。

本記事は当社の施工経験および国内の薪ストーブ燃焼基準をもとに構成しています。

D'STYLE
橋本 大治(有限会社D'STYLE 代表)

岩手・盛岡で薪ストーブとサウナの施工を手がけて20年。薪の選び方・燃料管理のご相談もお気軽にどうぞ。

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