自宅サウナを考えるときに最初に気になるのは、電気代だろう。サウナヒーターは大きな電力を使う。毎日入ったら月いくらかかるのか。そしてもうひとつ、「エアコンの暖房でサウナの代わりにならないか」という問い。答えから先に言う。電気代は思ったより安く、代わりには絶対にならない。
サウナヒーター1回の電気代は、約200円
家庭用のサウナヒーターは4.5kWから9kWが一般的だ。ハルビアのヒーターなら、4.5kW(1〜2人用)、6kW(2〜3人用)、9kW(3〜4人用)がある。
6kWのヒーターで1回90分使った場合を計算してみる。まず予熱に30〜40分。この間はフルパワーで動くので、6kW×約0.6時間=3.6kWh。サウナ室が80〜100℃に達したらサーモスタットが働いて、ヒーターは間欠運転に切り替わる。入浴中60分の実効消費電力は定格の半分程度、3kW×1時間=3kWh。合計で約6〜7kWh。電力単価31円/kWhで掛けると、1回あたり約190〜220円になる。
週4回(月16回):約3,000〜3,500円
毎日(月30回):約5,700〜6,600円
週2回なら月1,500円程度。毎日入っても6,000円台。銭湯やサウナ施設に通う交通費と入浴料を考えると、自宅サウナのほうが安くなるケースが多い。
エアコン暖房と並べてみる
| 自宅サウナ(週2回) | エアコン暖房(20畳・1日14時間) | |
|---|---|---|
| 月の電気代 | 1,500〜1,800円 | 20,000〜35,000円 |
| 使い方 | 入浴・リラックス | 暖房 |
| 月の使用時間 | 約8時間 | 約420時間 |
サウナヒーターは大きな電力を短時間だけ使う。エアコンは中程度の電力を長時間使い続ける。月の電気代ではエアコン暖房のほうが桁違いに大きい。サウナの電気代が心配で踏み出せない方は、この数字を見てから判断していただきたい。
サウナ室にエアコンは使えるか
冗談のような問いに聞こえるかもしれない。答えはもちろん「使えない」。けれど、なぜ使えないのかを考えると、暖房というものの限界と、サウナヒーターが何をしているかがはっきり見えてくる。
温度の壁
家庭用エアコンの暖房設定温度は上限が30℃。業務用でも40℃が限界だ。これはエアコンの構造上の制約で、冷媒の温度には上限がある。コンプレッサーを壊さず安全に運転できる範囲がこの温度帯になる。
サウナに必要な温度は80℃から100℃。エアコンの上限の2倍から3倍だ。ヒートポンプの仕組みでは、この温度差を埋めることができない。
サウナヒーターは「焼く」
サウナヒーターのやっていることは、もっと単純で力技だ。電気ヒーターや薪の火でサウナストーン(石)を直接300℃から400℃まで焼く。その石が部屋の空気を温め、壁と天井の木材が蓄熱して80℃から100℃の空間を維持する。
薪ストーブ:本体表面200〜350℃ → 室温20〜25℃(輻射熱)
サウナヒーター:ストーン表面300〜400℃ → 室温80〜100℃
エアコンは「外の空気から熱を集めて、室内へ移す」。サウナヒーターは「電気や薪のエネルギーで、直接熱をつくる」。やっていることが根本的に違う。
ロウリュがさらに温度を上げる
フィンランド式のサウナでは、熱したストーンに水をかける「ロウリュ」を行う。水が蒸発して大量の蒸気が立ち、体感温度が一気に上がる。同じ80℃でも、乾いた空気と蒸気を含んだ空気では体が感じる熱がまったく違う。エアコンは空気を乾燥させる暖房だ。蒸気をつくることはできない。サウナに必要な「熱い蒸気」は、真っ赤に焼けたストーンでしか生まれない。
サウナと薪ストーブの共通点
サウナヒーターと薪ストーブには、エアコンにはない共通点がある。「輻射熱」だ。サウナのストーンが放つ熱は、空気を介さず体に直接届く。薪ストーブの鋳鉄が放つ熱も同じだ。空気の温度だけでは説明できない暖かさ。暖房器具のスペック表に出てこない、体が感じ取る暖かさの質がそこにある。エアコンは空気を温める道具としては優秀だが、輻射熱は出さない。体の芯まで届く暖かさは、火と石と鉄の仕事だ。
外気浴とエアコンの冷気は、別物だ
サウナのあとの外気浴は格別だ。冬の外の空気を肌に受けたとき、全身がゆるむ感覚がある。「ととのい」と呼ばれる状態だ。では、サウナのあとにエアコンの冷房をつけた部屋で休んだらどうか。同じように涼しい。でも、ととのわない。
風の質が違う
エアコンの冷風は一定方向から一定の温度で吹く。体の一部だけが冷えて、残りは蒸し暑いまま。しかも乾いた空気なので、肌が突っ張る。
外気浴の空気は違う。風は不規則にそよぐ。温度は一定ではなく、微妙に揺れる。湿度も自然のまま。全身を均一に冷やすのではなく、体が自分のペースで熱を放出するのを、空気が受け止める。この「自分のペースで冷える」感覚が、ととのいの正体のひとつだ。
自律神経のリセット
サウナ(熱い)→ 水風呂(冷たい)→ 外気浴(常温)。この温度変化が自律神経の交感神経と副交感神経を大きく揺さぶり、外気浴でニュートラルに戻る。エアコンの一定温度の冷風では、この揺さぶりが起きない。一定温度は自律神経にとって「刺激ゼロ」であり、リセットではなく現状維持だ。
自宅サウナと外気浴スペースを一緒に計画する
自宅にサウナを作るとき、外気浴のスペースをあわせて計画すると満足度が変わる。ウッドデッキ、庭先のベンチ、軒下のスペース。壁に囲まれた室内でエアコンを回すのではなく、外の空気に触れられる場所を確保する。
冬の岩手の外気は冷たい。水風呂の代わりに外気浴だけで十分に冷えるので、水風呂なしでととのう方もいる。東北の冬は、サウナの水風呂をタダで手に入れられる季節だ。
サウナヒーターの種類と選び方
電気式のサウナヒーターは、家庭用で4.5kWから9kW。200Vの電源工事が必要になるが、スイッチを入れれば30分から50分で使える温度に達する。エアコンの200V配線と同じ仕組みで、分電盤から専用回路を引く。電気工事は通常半日で終わる。
薪サウナストーブは、薪を燃やしてストーンを加熱する。温まるまでに1時間から1時間半かかるが、火の揺らぎと薪の香りが加わる。フィンランドでは今でも薪サウナが主流だ。
どちらを選ぶかは、使い方の好みで決まる。手軽さなら電気。火のある時間を楽しみたいなら薪。ただ、エアコンでは代わりにならない。温度の桁が違う。
エアコンの風とは別の世界の暖かさが、そこにはあります。
岩手・盛岡で自宅サウナをお考えの方は、ハルビア岩手県正規代理店のD'STYLEへ。ヒーターの選び方から外気浴スペースの設計まで、ご相談は無料です。
