盛岡の夏、中津川に素足を入れると、くるぶしのあたりが数秒で痛くなります。冷たい、ではなく、痛い。初めて水風呂に入った方が「息ができませんでした」とこぼすのも、同じ場所から来ています。あれは我慢が足りないのではありません。皮膚が冷えた瞬間に、体が勝手に始める反射です。そして、その反射は繰り返すうちに薄れていく。17群を統合したメタ解析が、初回と平均9回目の差を数字にしています。その数字を、射程も含めてサウナ屋の目線で読みます。
一歩目で、息が止まる
盛岡の夏。中津川の河原に降りて、素足を水に入れます。くるぶしまで。冷たい、が数秒で、痛い、に変わります。ふくらはぎが勝手にこわばる。子どもの頃から知っているはずの感覚なのに、毎年きちんと驚かされます。
自宅にサウナを設置したお宅で、初めて水風呂を使った方から、同じ言葉を聞きます。息ができませんでした、と。そのあとに、情けないですね、と付け足す方が少なくありません。年配のお客様ほど、そう言われます。
そこで首を振るのが、私たちの仕事のうちだと思っています。あれは根性の問題ではありません。皮膚が急に冷えた瞬間に、体が勝手に始める反射です。意思とは別のところで心拍が跳ね上がり、呼吸が速く浅くなる。研究の世界では、これを冷水ショック反応と呼びます。難しそうな名前ですが、中身は単純です。冷たい水に触れた最初の数十秒だけ、体が慌てる。それだけのことです。
慌てている最中に「落ち着いて深呼吸を」と言われても、うまくいきません。反射というのは、そういうものです。膝を叩かれれば足が跳ねるのと同じで、頭で止められない。
ただし、この慌て方は、繰り返すうちに小さくなっていきます。では、何回で、どれだけ小さくなるのか。心拍と呼吸の下がり幅を、複数の研究を束ねて数字にした論文が2024年1月に発表されています。回数の話はあとで丁寧に見ますが、結論だけ先に言っておくと、束ねられた研究の浸漬回数は平均で9回前後でした。4回ではありません。
今日はその数字を読みます。読んだうえで、では最初の数回をどう入るのか、水風呂を置けない家ではどうするのか、という設計の話へ降ろしていきます。岩手は川も湧き水も井戸水も、夏でさえ十分に冷たい土地です。入る前に知っておくと、少しだけ楽になる話だと思っています。

あれは根性ではありません
まず言葉を整理しておきます。
冷水ショック反応。急に冷たい水に体をつけたとき、皮膚の冷たさを感じ取る神経が働いて、呼吸と心拍がひとまとまりに乱れる反応のことです。息が速くなる、浅くなる、心臓が速く打つ。冷たさを感じる場所は皮膚の表面ですから、深部の体温がまだ何も変わっていない段階で、もう始まります。つまり「体が冷えたから」ではなく「皮膚が冷たさを検知したから」起きる。ここが大事なところです。
ですから、我慢強い人ほど平気、という話ではありません。私たちが現場で見てきた範囲でも、体格の良い方、寒さに強いと自負されている方が、最初の一回でいちばん驚かれることがあります。逆に、細身の女性が静かに入っていかれることもある。表からは読めません。
そして、この反射がやっかいなのは、本人にとっては「息ができない」という強い恐怖として体験される点です。一度その怖さを味わうと、二度目の足が出なくなる。せっかくサウナを設置したのに、水風呂だけ使われないまま、という家を私たちは何軒か知っています。
もったいない、とは言いません。無理に入るものでもないからです。ただ、あれが反射であって性格や根性の問題ではないと知っているだけで、二度目の向き合い方は変わります。
実際、私たちがお引き渡しのときに必ずお伝えしているのは「最初の数回は、無理に長く入らないでください」という一言です。以前はここに「3回か4回」と回数を添えていました。いまは添えていません。理由は、次に見る論文の中身にあります。私たちがその数字を、少し都合よく読んでいたからです。
17群と145人。指標ごとに、束ねた数が違います
2024年1月、Journal of Thermal Biology という学術誌に、Barwood MJ らのメタ解析が載りました(119巻103775)。筆頭著者の所属は、英国のリーズ・トリニティ大学です。共著にはポーツマス大学、ボーンマス大学、チチェスター大学が並び、そこに北海道大学の若林斉氏が入っています。英国だけの研究ではありません。日本の研究者が著者に加わっています。
メタ解析、という言葉を先に噛み砕きます。ひとつの研究の結果だけを見ると、たまたまその集団で出た数字かもしれません。そこで、同じテーマを扱った複数の研究のデータを集めて、まとめて計算し直す。それがメタ解析です。
ここで、記事としていちばん雑になりやすいところを先に片づけます。「17群」という数字は、心拍数の解析に使われた群の数です。指標ごとに、束ねた群の数も人数も違います。
心拍数は17群・145名。 呼吸数は12群・73名。 分時換気量は10群・106名。 一回換気量は6群・46名。
被験者は延べ159名。ひとつの群はおよそ9名前後の、小さな集団です。以前この記事では四つの数字をまとめて「17群」と書いていましたが、正しくありません。訂正します。
そのうえで、統合された結果です。冷水への浸漬を繰り返し、初回の浸漬と最終回の浸漬を比べると、
心拍数が1分あたり14拍の低下。効果量d はマイナス1.19。 呼吸数が1分あたり8回の低下。効果量d はマイナス0.78。 分時換気量が1分あたり21.3リットルの低下。効果量d はマイナス1.64。 一回換気量が0.4リットルの低下。
用語を順に開きます。分時換気量とは、1分間に肺を出入りする空気の総量のこと。一回換気量は、ひと息で出入りする空気の量です。両方とも下がったということは、呼吸が浅く速く空回りしていた状態から、落ち着いた状態へ寄っていった、という意味になります。
効果量d は、変化の大きさを、もともとのばらつきに対する比で表した物差しです。マイナスが付いているのは「減った」という向きを示します。数字が大きいほど、変化がはっきりしている、という程度に読んでいただければ十分です。
この4つの中で、いちばん大きく動いたのは分時換気量でした。つまり「呼吸が落ち着く」という部分が、この慣れのいちばんの中身だったことになります。息ができない、という体験が変わっていく。まさにそこです。ただし、いちばん大きく動いたこの指標は、10群・106名という、心拍数より小さい束の上で出た数字です。
一回換気量は、6群・46名と最も小さい解析でした。統合すれば有意に下がっているのですが、個々の研究では有意差が出なかった群がいくつもあります。効果量の値も、私たちが確認した範囲では抄録に添えられていません。都合よく省くのはやめておきます。
もうひとつ、条件です。この論文が解析の対象にしたのは、水温26℃以下、水着など裸の肌のまま、胸(胸骨)以上までつかる、150秒以上、体表面積の50%以上が水に触れる——という基準を満たした浸漬でした。顔はつけません(潜水反射が混ざるのを避けるためです)。実際に使われた水温は26℃から10℃の範囲で、平均するとおよそ13℃。つまり、はっきり冷たい水に、胸まで、2分半以上。これがあの数字の出どころです。以前この記事では「何℃の水に何分つかったのか読み取れません」と書きましたが、これも誤りでした。論文には書いてあります。

「4回」は入口の目安です。統合値は平均9回目の姿
さて、回数です。ここが、この論文をめぐっていちばん誤解されやすいところで、私たちも取り違えました。訂正を含めて書きます。
抄録の冒頭に、およそ4回の浸漬で慣れが起きる、という一文があります。目を引く数字です。ただ、これはこのメタ解析が今回見つけたことではありません。先行研究——Barwood らの2007年の報告などです——から引き継がれた、既知の前提として置かれた一文です。その先行研究では、4回のあと、浸漬の最初の30秒の心拍が約18%、呼吸数が約23%下がったとされています。ゼロではない。けれど、慣れきった状態とは別ものです。
論文の本文はこう書いています。完全に慣れるための閾値としては8回が提案されている、と。そして、今回統合された研究群の浸漬回数の平均は9.1±3.8回。心拍数に限れば8.6±3.6回で、範囲は6回から18回でした。
つまり、さきほどの心拍マイナス14拍、呼吸マイナス8回、分時換気量マイナス21.3リットルという数字は、初回と最終回——平均すればおよそ9回目——の差です。4回でその下がり幅が得られる、という意味ではありません。私たちは以前、この記事のタイトルから締めまで「4回」で通していました。読み違いです。書き直します。
4回は、慣れが動き始める入口の目安。8回あたりで、ひととおり。数十回ではなく、その単位。これくらいが、論文に対して正直な読み方だと思います。
読み方の注意を、もう三つ。
ひとつ。これは複数のグループを束ねた平均の姿です。3回で落ち着く方もいれば、10回でもまだ苦しい方もいる。4回目や9回目に、体の中で何かのスイッチが入るという話ではありません。
ふたつ。誰のデータなのか。延べ159名のうち、10の研究が男性のみを対象にしていて、女性は3つの研究に計13名。全体の約8%です。対象者の多くは大学生でした。つまり、これは主として若い男性のデータです。著者ら自身も考察の最後に、女性と高齢の参加者を対象にした研究が著しく不足している、と書いています。私たちがサウナの設置をご相談いただく相手は五十代、六十代のご夫婦が多く、完成後によく使われるのは女性であることも珍しくありません。その方たちに、この数字がそのまま当てはまるとは言えません。以前この記事では「年齢や男女の構成は分かりません」と書きましたが、分からないのではなく、書いてあるのに読まなかっただけでした。
みっつ。日本人のデータも入っています。以前この記事には「少なくとも日本人を対象にした研究ではありません」と書いてありました。誤りです。統合された群のひとつは、若林斉氏らが2012年に報告した日本の研究で、男性7名、22±2.1歳、水温26.0℃、胸までの浸漬でした。しかもこの群は、12回の浸漬を重ねても心拍の慣れは統計的に有意ではなかった(P>0.05)と記録されています。私たちの言いたいことにとって、いちばん都合の悪い群です。だから書いておきます。回数を重ねれば必ず楽になる、という話ではありません。
それでも、この研究がくれるものは大きいと思っています。息が詰まるのは反射であること。反射は繰り返しで薄れうること。そして、その薄れ方の幅が数字として出ていること。最初の一歩で心が折れた方に渡せる言葉として、これは十分に強い。強いからこそ、回数だけは盛らずに渡したい。
慣れにくい人がいます
もうひとつ、併せて紹介しておくべきことがあります。
このメタ解析の本文が引いている研究に、Barwood らが2017年に Physiology & Behavior 誌へ報告したものがあります(174巻10-17ページ)。題は、冷水ショック反応の慣れは繰り返される不安によって妨げられる、という意味の一文です。水に入るたびに強い不安が伴うと、回数を重ねても反射が薄れていかない。以前この記事では「書誌情報を特定していません」と逃げていましたが、特定できる論文でした。挙げておきます。
ちなみに、実験的に不安を与えたこの種の研究は、今回のメタ解析では交絡を避けるために除外されています。裏を返せば、現実の水辺には、その除外された条件のほうがふつうにある、ということでもあります。
これは、現場感覚とよく合います。
怖い、と思いながら入ると、体は緊張したままです。緊張したまま冷たい水に入れば、また苦しくなる。苦しかったから、次はもっと怖い。この輪の中に入ってしまうと、4回どころか10回入っても楽にならない。私たちが「無理に長く入らないで」とお伝えしているのは、実はこの輪を作らないためでもあります。
最初の数回で大事なのは、時間でも根性でもなく、怖くなかった、という記憶を作ることだと思っています。10秒で出てもいい。膝下だけでもいい。今日はやめておく、でもいい。
ただし、ここは正直に併記しておきます。膝下だけ、ぬるめの水、という入り方は、さきほどの論文が解析した刺激条件(水温26℃以下・胸まで・150秒以上・体表面積の50%以上)から外れています。論文自身が、慣れには刺激の特異性と強さが効くと論じています。弱い刺激で慣らした分が、そのまま強い刺激にも移るとは限らない。私たちが弱いところから始めることをおすすめするのは、慣れを効率よく積むためではありません。怖い記憶を作らないためです。目的が違います。ここを混ぜて説明すると、研究の顔を借りた作り話になってしまいます。
そして、逆の言い方もできます。もし何度入っても怖さが減らないのであれば、それは慣れる途中ではなく、合っていないのかもしれない。無理に続ける必要はありません。サウナの楽しみ方は水風呂だけではありませんから。
ここは薬でも治療でもない領域です。心臓や血圧に持病がある方、お薬を飲んでいる方は、回数の話をする前に、まず主治医に相談していただくのがいちばん確かだと思います。私たちが答えられるのは、設備と入り方の設計までです。

岩手の水は、夏でも冷たい
この話が岩手で切実なのは、天然の水風呂が身近すぎるからです。
中津川。雫石川。北上川の支流。山あいの沢。春の雪解け水は言うまでもなく、真夏でも、足を入れて三十秒もすれば痛くなる水があります。奥羽山系から来た水は、里に降りてきてもまだ冷たい。
井戸水と地下水も同じです。私たちが見てきた範囲では、盛岡近郊やその周辺の現場で、夏場でも井戸水がかなり低い温度のまま出てくるお宅があります。水道水も、冬になれば手が痛くなるところまで下がります。
つまり、岩手では「わざわざ冷やさなくても、十分に冷たい水がある」。これは恵まれた条件です。同時に、初回の一歩目が想像よりずっと強い刺激になる、ということでもあります。
言い換えると、あの論文が使った水温の帯——26℃から10℃、平均でおよそ13℃——は、岩手の沢や井戸水と、そう遠くありません。実験室の話が絵空事ではない、ということでもあり、うちの水はあの研究と同じくらい強い刺激なのだ、ということでもあります。
屋外にサウナを設置したお宅で、脇の沢に入ってみましょう、という流れになることがあります。景色は最高です。ただ、そこは水温も足元も管理されていません。石は滑るし、深さは場所によって変わるし、出るときに掴むものがない。実験室の冷水浸漬とはまるで別物です。研究は水温と時間を揃えたうえで測っていますが、岩手の川は、そのどちらも揃いません。
ですから、天然の水に入る日ほど、時間を先に決めておくこと。ひとりで入らないこと。上がる場所を先に見ておくこと。この三つだけは、毎回お伝えしています。研究が測っているのは水温と時間ですが、岩手の現場で効いてくるのは、そのまわりにある足場や導線のほうだったりします。
最初の数回は、逃げ道を先に作る
では、実際にどう入るか。私たちがお客様にお渡ししている案内を、そのまま書きます。研究から導いた手順ではなく、施工と引き渡しの現場で積み上げた見立てです。そこは分けて読んでください。
ひとつ、水温を上げておく。最初の数回は、冷えきった水にこだわらないでいい。井戸水そのままが厳しければ、少し足して温度を上げる。刺激を弱めておけば、反射も小さくなります。慣れてから下げれば済む話です。
ふたつ、肩まで入らない。膝下だけ、腰まで、と段階を作る。冷水ショック反応は皮膚が冷たさを検知して始まるものですから、触れる面積が小さいほど反応も穏やかになる、というのが私たちの見立てです。いきなり全身に行かない。繰り返しますが、この入り方は論文の刺激条件からは外れます。慣れの回数を稼ぐ入り方ではなく、初回の恐怖を避ける入り方だと思ってください。
みっつ、外気浴に切り替えられるようにしておく。水風呂が怖い日は、風に当たるだけでいい。特に岩手の冬は、外に出た瞬間の空気そのものが強い刺激です。無理に水に入らなくても、温冷の落差はちゃんと作れます。
よっつ、出口を先に作る。手すり。滑らない床。段差の解消。上がる側の足場。息が乱れた状態で、濡れた足で、暗い中を歩くのがいちばん危ない。設計でつぶせるところです。
いつつ、時間を先に決めて、ひとりで入らない。これは天然の水でも自宅の水風呂でも変わりません。
そして、水風呂を置けない家もあります。むしろ、そちらのほうが多い。浴室に自宅サウナを設置する場合、水風呂の槽まで納まる家は限られます。その場合はシャワーと外気浴で組み立てます。脱衣室からシャワー、そして外に出るまでの動線を、間取りの段階で決めておく。水風呂がなければ、ととのわない、ということはありません。
岩手の冬は、脱衣室と屋外の温度差が大きい土地です。だからこそ、私たちは脱衣室の暖房計画までをサウナ設置の仕事だと考えています。

引き渡しの日に、私たちが話していること
サウナが完成した日。火を入れて、温度が上がるのを待つあいだに、私たちはこの話をします。
最初の数回は、無理をしないでください。息が詰まっても、あなたが弱いわけではありません。あれは反射で、繰り返すと薄れていきます。研究では、初回と最終回——平均するとおよそ9回目——を比べて、心拍が1分に14拍、呼吸が8回減っていました。慣れが動き始めるのが4回あたり、ひととおり慣れる目安が8回前後、というのが研究の世界の言い方です。ただし、測られたのは主に若い男性で、女性は約8%しかいません。12回入っても有意に変わらなかった群もあります。あなたの体がその通りに動く保証はありません。だから、回数でも時間でもなく、怖くなかったという記憶を作ってください。
そう話すと、たいてい、少し肩の力が抜けた顔をされます。数字があると、人は自分を責めなくて済む。505本の読みものを書いてきて、そこがいちばん効くところだと感じています。
ただし、数字は正確に渡さないと逆に働きます。4回で慣れると聞いた方が5回目で苦しかったとき、今度はその数字が自分を責める材料になる。この記事の回数の説明を書き直したのは、そういう理由です。
最後に、設備の話を少しだけ。ここから先は研究の話ではなく、私たちの商売の話です。分けて読んでください。
以前この記事には「サウナ室そのものが穏やかであるほど、水風呂の一歩目も穏やかになります」と書いてありました。取り下げます。冷水ショック反応は皮膚が冷たさを検知して起きる反射で、サウナ室の熱さや深部体温の高さとは別のところで始まります。今回の論文にも、そんな因果は一行も書かれていません。自社のストーブの話につなげるために研究の権威を借りていた、と読まれても仕方のない一文でした。
そのうえで、サウナ室の設計そのものには、私たちの好みがあります。ハルビア(HARVIA)の薪サウナストーブ、たとえば Legend 240 のように石をたっぷり載せられる機種は、石が熱を溜めてから空気にゆっくり返してくれる。熱の角が丸くなる、という言い方をよくします。石は蓄熱、鋳物は火当たりの柔らかさ。素材で体感が変わります。長く座っていられる部屋であれば、水風呂まで行かずに外気浴で切り上げる日にも、ちゃんと居場所になります。これは水風呂の反射とは無関係の、部屋づくりの話です。
薪の管理が難しいお宅には、ペレットサウナストーブ VENERE matic のような自動運転の機種もおすすめしています。バレルサウナに納めた実例が岩手にもあります。
岩手・盛岡でサウナの設置をお考えでしたら、水風呂やシャワー、脱衣室、外気浴までの動線を含めて、最初にご相談ください。国道4号沿いのショールームで、火の入った実機を見ていただけます。
水風呂で息ができないのは、反射です。反射は繰り返すと薄れます。ただし、このメタ解析が示した心拍マイナス14拍という幅は、初回と最終回——平均でおよそ9回目——の差であり、4回で得られる幅ではありません。測られたのは主に若い男性159名で、女性は約8%。12回でも有意に慣れなかった日本の群もあります。数字は、自分を責めないための材料として使えば十分だと思います。持病のある方、お薬を飲んでいる方は、回数の前にまず主治医へご相談ください。なお本記事は研究の紹介であり、サウナの設置・使用による疾病の予防や治療の効果を示すものではありません。
参照した研究
- Barwood MJ, Eglin C, Hills SP, Johnston N, Massey H, McMorris T, Tipton MJ, Wakabayashi H, Webster L. Habituation of the cold shock response: A systematic review and meta-analysis. Journal of Thermal Biology 119:103775(2024年1月号、オンライン公開2023年12月27日)。筆頭著者所属は英リーズ・トリニティ大学。共著はポーツマス大学、ボーンマス大学、チチェスター大学、および北海道大学(若林斉)。
- 同論文の適格基準:水温26℃以下、水着など裸の肌のまま胸骨以上まで浸漬、150秒以上、体表面積の50%以上、初回と最終回を含む4回以上の反復。顔面の浸水は潜水反射を避けるため除外。実際に用いられた水温は26〜10℃、平均およそ13℃。
- 同論文の統合値(初回浸漬と最終浸漬の差):心拍数 -14拍/分(効果量d -1.19、k=17・n=145)、呼吸数 -8回/分(d -0.78、k=12・n=73)、分時換気量 -21.3 L/分(d -1.64、k=10・n=106)、一回換気量 -0.4 L(k=6・n=46)。群数と人数は指標ごとに異なる。
- 回数について:抄録冒頭の「およそ4回で慣れる」は先行研究(Barwood et al. 2007、Tipton et al. 1998 ほか)に基づく既知の前提。本文では完全な慣れの閾値として8回が提案されているとし、統合対象研究の平均浸漬回数は9.1±3.8回(心拍数は8.6±3.6回、範囲6〜18回)と明記されている。
- 対象者:計159名(1群あたり約8.8±2.6名)。10研究が男性のみを対象、女性は3研究に計13名(全体の約8%)。多くは大学生。考察で著者らは、女性および高齢の参加者を対象とした研究が著しく不足していると限界を述べている。
- 統合対象に含まれる日本の研究:Wakabayashi H, Wijayanto T, Kuroki H, Lee J-Y, Tochihara Y (2012)。男性7名、22±2.1歳、水温26.0℃、胸までの浸漬。12回の反復後も心拍の慣れは有意ではなかった(P>0.05)と記録されている。
- 不安と慣れの関係:Barwood MJ et al. Habituation of the cold shock response is inhibited by repeated anxiety: implications for safety behaviour on accidental cold water immersions. Physiology & Behavior 174:10-17(2017)。上記メタ解析の本文で引用されている。なお実験的に不安を与えた研究は、交絡を避けるため統合の対象からは除外されている。
- ※本記事で示した水温・時間・回数は、実験条件下で測定された平均値です。膝下だけ、ぬるめの水といった弱い刺激は上記の適格基準から外れており、同論文が論じる慣れの刺激特異性・刺激強度依存を踏まえると、同じように慣れが起きるとは限りません。実験室の冷水浸漬とサウナ後の水風呂との条件差についても本文中に併記しています。
この記事は研究の紹介であり、効果を保証するものではありません。持病のある方、通院中・服薬中の方は、主治医にご相談のうえご利用ください。



