火のある部屋というと、壁にぽっかりと口をあけた暖炉を思いうかべる方も多いはずです。炎がまっすぐ見え、パチパチとはぜる音が響く暖炉は、あこがれの風景です。西洋の家に古くからあり、物語や映画の中でも、暖炉は家族の集う場所として描かれてきました。一方、鋳物や鋼の箱に炎を閉じこめた薪ストーブは、見た目も暖まり方も暖炉とは違います。同じ木を燃やす道具でありながら、その成り立ちも役わりも、それぞれに個性があります。今日は、似ているようで性格の異なる、暖炉と薪ストーブの話をします。

開いた火と、閉じた火
暖炉と薪ストーブのいちばんの違いは、火が開いているか、閉じているかです。暖炉は炉の前面が大きく開いていて、炎をさえぎるものがありません。炎のゆらぎや薪のはぜる音を、じかに感じられるのが魅力です。いっぽう薪ストーブは、炎を耐熱ガラスの扉の中に閉じこめます。ガラス越しに炎を眺める落ちつきと、扉を閉じることで生まれる燃焼の力。開いた火と閉じた火、それぞれに違った良さがあります。
暖まり方の、違い
火が開いているか閉じているかは、暖まり方にも大きく関わります。開いた暖炉は、炎の熱の多くが煙とともに煙突へ抜けていき、部屋を暖める力はおだやかです。目の前は暖かくても、部屋全体まではなかなか届きません。閉じた薪ストーブは、炎の熱を箱の中にため、本体をじっくり熱して、その熱で部屋全体をあたためます。同じ薪を燃やしても、熱を暮らしにどれだけ生かせるかが、大きく変わってくるのです。
薪ストーブという、進化
薪ストーブは、暖炉のあこがれを受けつぎながら、暖房としての力を高めた道具だと言えます。炎を閉じこめて熱を逃がしにくくし、空気の流れを調え、煙まで燃やす。そうして、少ない薪から長く、力づよい暖かさを引き出せるようになりました。それでいて、ガラスの向こうにはちゃんと炎がゆれている。暖炉の情緒と、暖房のたのもしさ。その両方を一台にまとめたのが、いまの薪ストーブです。あこがれと実用が、うまく手を結んでいます。
暮らしに、どう火を置くか
暖炉には暖炉の、薪ストーブには薪ストーブの魅力があります。ただ炎を眺めて心を休めたいのか、部屋をしっかりあたためて冬を過ごしたいのか。暮らしの中で火に何を求めるかによって、選ぶ道具は変わります。寒さの長い岩手のように、暖房としての力がしっかり求められる土地では、熱を逃がさない薪ストーブが心強い相棒になります。火をどう暮らしに置くか、それを考えること自体が、火のある暮らしの入り口です。
炎を見る道具として
薪ストーブの多くは、扉の正面に大きな耐熱ガラスを備えています。これは暖房のためというより、炎を眺めるための工夫です。熱をしっかり閉じこめながら、それでも人は炎を見ていたい。その願いに応えて、ガラスの内側にそって空気を流し、すすで曇らせず澄んだ炎を保つしくみが備わっています。夜、部屋の明かりを落とし、ガラスの向こうでゆらぐ炎だけをながめる時間は、暖炉のあこがれをそのまま受けついだものです。あたたかさを暮らしに生かしながら、火を見る喜びも手ばなさない。薪ストーブは、実用と情緒のあいだに、ちょうどよい居場所を見つけた道具だと言えます。
あなたの火を、盛岡で選ぶ
炎の情緒と、暖房の力。その両方を兼ねそなえた薪ストーブは、寒い岩手の冬にこそふさわしい火です。岩手・盛岡のD'STYLEは、暮らし方に合った薪ストーブを、火の性格からご提案しています。どんな火を家に置きたいか、その相談を、店でどうぞ。
写真: Ildar Sagdejev (Specious) (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)




