フィンランドのサウナ事故を法医学の記録から数えた研究は、以前にもご紹介しました。今回は場所を変えて、韓国です。同じように国の記録を後ろから見比べたところ、浮かび上がった人物像は驚くほどよく似ていました。50代の男性、そして酒です。岩手・盛岡で薪ストーブ式やペレット式の自宅サウナを手がけてきたD'STYLEが、この数字を暮らしの側からどう受け止めるかをお話しします。
103例という記録
韓国の国立科学捜査研究院(National Forensic Service)が、2008年1月から2015年12月までの8年間に扱ったサウナ関連の死亡例を後ろ向きに解析した報告があります。掲載誌はForensic Science, Medicine and Pathology、2018年です。対象となったのは103例。決して多い数字ではありません。ただ、一つひとつの記録の裏に、その日サウナに入った一人の人がいたことは変わりません。
男性が9割近く、年齢は50代・60代に集中
103例のうち男性は88例、全体の85.4%を占めました。女性は15例、14.6%です。平均年齢は55歳。年齢の内訳を見ると、50〜59歳が33例(32.0%)、60歳を超える層も33例(32.0%)で、合わせると全体の3分の2近くがこの二つの年代に収まっています。若い人の事故ではない、ということがまず見えてきます。
血中アルコール0.08%以上が73.8%
最も大きな数字がここです。血中アルコール濃度が0.08%以上だった、いわゆる酩酊状態にあった例が76例、全体の73.8%にのぼりました。0.08%未満は27例にとどまります。以前ご紹介したフィンランドの研究(Kenttämies A, Karkola K, Journal of Forensic Sciences 2008)では、サウナ内死亡の約50%が飲酒の影響下にあったと報告されていました。韓国のこのデータはそれよりもさらに高い比率です。国が違い、サウナの文化も違うのに、酒という要因は同じように前面に出てきます。フィンランドだけの特殊事情ではなかった、ということです。
血中アルコール濃度とは何か
血中アルコール濃度0.08%というのは、日本の基準で言えば、はっきりと酔いの自覚がある段階に相当します。呂律が回りにくくなったり、バランス感覚が鈍ったりする水準です。サウナの中は暗く、狭く、熱がこもります。その状態に、酔いによる感覚の鈍りが重なったとき、何が起きやすくなるかは想像に難くありません。この研究は、死亡に至った経緯の細部までは踏み込んでいません。あくまで、酩酊していた例が多かったという事実の集計です。因果関係を証明したものではなく、後から記録を数えて傾向を示した研究であることは、記しておきます。
岩手の酒とサウナの距離の近さ
岩手は南部杜氏の地酒どころで、どぶろくも祭りごとの宴もある土地です。酒は特別なものではなく、日常のすぐそばにあります。D'STYLEに自宅サウナやKUUTAの相談にいらっしゃる方の年代も、この研究の中心である50代・60代とよく重なります。だからこそ、私たちがお伝えしたいのは「飲むな」という一言ではありません。順番を変える、という提案です。友人を招いてサウナに入るとき、上がってからの一杯を楽しみにしている方は多いはずです。その楽しみ自体を否定する必要はありません。ただ、サウナに入る前の一杯と、上がってからの一杯とでは、意味がまったく違います。

D'STYLEが施工で気をつけていること
庭サウナや室内サウナを納めるとき、私たちが実際に工夫している点をいくつかご紹介します。まず、脱衣スペースの動線です。玄関から入ってすぐに飲み物を置ける場所を作るのではなく、サウナから上がって、着替えを終えた後にたどり着く位置に飲み物のスペースを設けます。物理的な順番が、行動の順番を自然に作るという考え方です。次に、来客時の段取りです。主人がホスト役として最後にサウナへ入る家では、それまでに宴が進んでいることがあります。私たちは施工の際、そうした使い方をされるご家庭には、あらかじめ「最初の一巡は主人から」という順番をご提案することがあります。設備の話としては以前の記事でも触れましたが、扉を外開きにすること、脱衣室からサウナ室の様子が完全に見えない配置は避けることなども、基本の対策として続けています。


数字が教えてくれること
この研究が教えてくれるのは、危険を煽ることでも、安心させることでもありません。分母と分子をきちんと数えると、そこに現れた顔ぶれは50代の男性で、多くが酒を伴っていた、という一つの事実です。フィンランドで見えた景色と、韓国で見えた景色が重なった。それだけのことですが、重なったという事実には重みがあります。私たちが日々お客様と接する中で感じてきた実感とも、静かに一致します。
サウナと酒は、岩手の暮らしの中でずっと隣り合ってきました。それを切り離す必要はないと、私たちは考えています。ただ、順番だけは意識してほしい。韓国の103例が示した数字は、そのことを静かに裏付けています。持病のある方、服薬中の方は、サウナと飲酒の組み合わせについて、必ず主治医にご相談ください。D'STYLEでは、岩手・盛岡で薪ストーブ式・ペレット式の自宅サウナの設置をご相談いただけます。設備の工夫でできることは、私たちがお手伝いします。
本記事は研究の紹介であり、サウナの設置・使用による疾病の予防や治療の効果を示すものではありません。
参照した研究
- Forensic Science, Medicine and Pathology 2018 (韓国National Forensic Serviceデータ, 2008-2015年, DOI:10.1007/s12024-018-9993-7)
- Kenttämies A, Karkola K. "Death in Sauna." Journal of Forensic Sciences 2008;53(3):724-729
この記事は研究の紹介であり、効果を保証するものではありません。持病のある方、通院中・服薬中の方は、主治医にご相談のうえご利用ください。



