「薪ストーブって、どう選べばいいんですか」。ショールームでいちばん多い質問です。世界中のブランドを扱っている店として、正直にお答えします。
カタログの「対応畳数」は、岩手ではあてにならない
これはまず知っておいてほしいんですが、カタログに書いてある対応畳数は、多くが本州の温暖地基準です。岩手の1月、氷点下の朝にその数字どおり働いてくれると思っていると、だいたい裏切られます。
効いてくるのは畳数より、家の断熱と、天井の高さと、間取りです。同じ30坪でも、吹き抜けのある家と細かく仕切られた家とでは、必要な火力がまるで違う。だからうちは、現地を見てから機種の話をします。先に機種を決めてしまうと、たいてい後で困るんです。
鋳物か、鋼板か、それとも石か
薪ストーブの本体は大きく分けて、鋳物(鋳鉄)と鋼板です。鋳物はあたたまるのに時間がかかるぶん、火が消えたあとも長く暖かさを放ちます。ヨツールやドブレがこれです。鋼板は立ち上がりが早くて反応がいい。どっちが上という話ではなくて、暮らし方に合わせて選ぶものです。
一日中家に人がいて、火を絶やさない暮らしなら鋳物。共働きで帰宅後にサッと暖めたいなら、立ち上がりの早さも大事。ここも、暮らしを聞かせてもらえれば一緒に決められます。
鋳物の中にも、推しがいます。国産のAGNI(アグニ)です。表面積が大きくとられているので、同じサイズのストーブと並べると、ひとまわり大きな暖かさに感じる。毎日火を焚いている私の体感です。
うちのいちばんの推しは、「石」のストーブ
もうひとつ、これは覚えて帰ってほしいんですが、石です。ソープストーンという蓄熱性の高い天然石をまとったストーブは、遠赤外線がとにかく強い。日なたに当たったときみたいに、芯から温まります。
そして、あのまろやかさ。角のない、じんわり続く暖かさは、石のストーブでないと出ません。火を落としたあとも、石が長く熱を放ちつづける。「とにかく暖かいストーブがほしい」という方には、ソープストーンのハースストーンがぴったりだと思います。
ストーブ選びって、
半分くらいは煙突選びなんです。
本体より、煙突の話をさせてください
薪ストーブの性能と安全は、煙突で決まります。安い煙突でケチると、ドラフト(上昇気流)が弱くて燃えない、結露する、掃除が大変、と後悔が続きます。逆に、煙突計画がきちんとしていれば、ストーブは気持ちよく燃えてくれます。
私は煙突掃除人でもあるので、施工の良し悪しが10年後にどう出るかを、嫌というほど見てきました。だからうちは、壁の裏側まで美しい施工にこだわります。
岩手なら、針葉樹が燃やせるかも見る
岩手は杉の間伐材が豊富な県です。一般的な鋳鉄ストーブは針葉樹が苦手ですが、国産のAGNI(アグニ)のように針葉樹をクリーンに燃やせる設計のものもあります。地元の木を燃料にできるのは、コストの面でも森の面でも理にかなっています。
最後は、火を見て決めてください
さんざん理屈を並べておいて何ですが、最後の決め手は、たぶん理屈じゃないんです。ショールームで実際に火の入ったストーブを見て、「これだ」と思った一台が、たいてい正解です。うちには、いつも火が入っています。見に来てください。



