雪の中を帰ってきて、玄関を開けた瞬間に思わず出る、あの言葉。ATK指数(あったけー指数)は、カタログの出力(kW)ではなく、その熱が体に届くまでの「素直さ・持続・質」を、何百台の設置・メンテナンスの現場から数値にした、当社独自のものさしです。
Why ATK ─ なぜ、作ったのか
最大出力や燃焼効率といった数字も、もちろん大切です。そこに、本体の構造による熱の伝わり方が加わって、体に届く暖かさや、その暖かさの続き方に、一台ごとの個性が生まれます。設置して、火を入れて、何年もメンテナンスで通わせていただくうちに、私たちはその違いを肌で感じてきました。
D'STYLEは2006年から、岩手を中心に何百台という薪ストーブを設置し、手入れを重ねてきました。その現場での体感を、あなたにも比べていただける形にしたのが、ATK指数です。どの機種にも、良さと似合う場所があります。その中から、より暖かく、その暖かさが長く続く一台を見つけていただく。ATKを、そんな選びの手がかりのひとつとして見ていただけたら、と思います。
Personality ─ いちばん大事な考え方
薪ストーブには、いろんな"子"がいます。立ち上がりが早い子、ゆっくりだけど朝まで暖かい子。燃費のいい子、燃費は少し悪くても暖かさが抜群の子。暖かさは控えめでも、炎の姿だけは誰にも負けない子もいます。それでいいと思っています——ぜんぶ、個性です。
当社は、日本で流通しているほとんどの薪ストーブを実際に焚き、設置し、手入れしてきました。だから「どれが良い、どれが悪い」ではなく、どの子があなたの暮らしに合うのかを考えて提案します。ATK指数は、そのための目安のひとつ。「この数字を見ながら選ぶと、こういう生活ができるんだな」——そんなふうに眺めてもらえたら幸いです。
あなたのおすすめストーブは、どの子になりましたか。
4 Axes ─ 何を見ているか
火の大きさではなく、暮らしの中の暖かさを測ります。だから、火が消えた後にどれだけ暖かさが続くか──蓄熱に、最も大きな比重を置いています。
火を入れてから、部屋が暖まり始めるまでの速さ。本体の構造で決まります。
火が落ちた後、どれだけ長く暖かいか。「本物」と「名ばかり」を最も分ける軸です。
芯からじんわり包む、遠赤外線の質。本体表面の凹凸(表面積)も影響します。
暖房出力・対応面積・燃焼効率。カタログ数値に基づく軸は、このパワーだけです。
つまり、評価のほとんどは「構造で決まる暖かさ」。カタログ数値(パワー)は、ごく一部です。出力が大きいだけの機種は、ATK指数では高くなりません。
※出力の物差しは全機種「定格出力」ベースに統一して比べています(欧州機と北米機で表記基準が違うため)。
Structure ─ 構造で語る
ATK指数の土台は、本体の構造分類です。機種の優劣ではなく、「どういう仕組みで熱を伝えるか」の違い。それぞれに個性と、向いている使い方があります。
天然石が蓄熱の主役。比熱は鋳鉄の約2倍で、火が落ちても長く暖かい。そのぶん立ち上がりは最もゆっくり。
例:ハースストーン
係数 ─ 立 0.40/蓄 1.00/輻 1.00 (1.0が理想)
鋼板の芯を蓄熱石で包んだ構造。立ち上がりは中庸だが、蓄熱と輻射を石が高める。
例:HETA(ヒタ)
係数 ─ 立 0.58/蓄 0.90/輻 0.92 (1.0が理想)
鋳鉄一枚で素直に熱を伝える正統派。バランスがよく、世界の定番が集まるタイプ。
例:ヨツール、AGNI(一体成型)
係数 ─ 立 0.65/蓄 0.78/輻 0.82 (1.0が理想)
分厚い鋼板で、とにかく速く、高温に。速暖が身上。冷めは早めなので焚き方でカバー。
速暖を求める使い方に
係数 ─ 立 1.00/蓄 0.50/輻 0.58 (1.0が理想)
鋼板・鋳鉄・空気層などを重ねた構造。層の分だけ熱はゆっくり伝わる。大きな出力で広い家を暖める場面で活きます。
パワー重視の使い方に
係数 ─ 立 0.50/蓄 0.48/輻 0.55 (1.0が理想)
※各タイプの係数(立ち上がり/蓄熱/輻射)は、数百台の現場経験から定めた当社独自の評価基準です。1.0が理想で、小さいほど熱が伝わりにくくなります。計算の全体は、下の「計算の全公開」でご確認いただけます。
Recommended ─ 推奨機種
ここでご紹介するのは、当社が自信を持って「おすすめです」と言える子たち——70 ATK以上の機種です。ランキングではありません。載っていない機種にも個性と適所があります──店頭で正直にご説明します。
適正サイズは住宅性能で大きく変わるため、「高断熱住宅/一般住宅/中古住宅」の3段階で目安を示します。
TYPE 01 ソープストーン(天然石の蓄熱)
メーカー公表:暖房面積 176㎡(約53坪)
TYPE 02 蓄熱石クラッド鋼板(速さと持続の両立)
メーカー公表:暖房面積 140㎡(約42坪)
TYPE 03 鋳鉄(一体成型)+強い凹凸表面
表面の強い凹凸が放熱フィンのように働き、輻射を広く届けます。
TYPE 03 鋳鉄(一体成型)+強い凹凸表面・コンパクト
AGNI-Cの弟分。コンパクトながら、一体成型鋳鉄と凹凸表面の暖かさはそのまま。
※「メーカー公表」は、各メーカーがカタログでうたっている暖房面積(いわゆる「何坪用」)です。ヨツールをはじめ欧州のメーカーは、面積ではなく定格出力(kW)で実力を表すため、坪数を公表していません。同じストーブでも国によって数字の出し方が違う——その理由は、読みもの「同じ薪ストーブなのに、国で数字が違う。」で解説しています。
Physics ─ 係数の物理的根拠
ATK指数の係数は、思いつきや好みではありません。「熱がどれだけ速く伝わり、どれだけ長くとどまるか」——これは材料の比熱(熱のため込みやすさ)と質量(厚み・重さ)で物理的に決まります。第三者機関に問われても、根拠をきちんとお答えできる形にしています。
この物理から、3つの軸が決まります。
・立ち上がり(速さ)= 表面が放熱温度に達する速さ。ため込む量(比熱×質量)が小さいほど速い。→ 鋼板が最速、石が最遅。
・蓄熱・持続= ため込んだ熱を出し続ける時間。比熱×質量が大きいほど長い。→ 石が最長、鋼板が最短。(立ち上がりと、ちょうど裏返しの関係)
・輻射の質= 遠赤外線の穏やかさと届き方。石の表面は最も穏やかで質が高い。鋳鉄は凹凸があれば放熱面積が増える。
| 構造 | 立 | 蓄 | 輻 | 物理的な理由 |
|---|---|---|---|---|
| ① ソープストーン | 0.40 | 1.00 | 1.00 | 比熱2倍・高質量。最も遅く温まり、最も長く放熱する。石の輻射は最上質。 |
| ② 蓄熱石クラッド鋼板 | 0.58 | 0.90 | 0.92 | 鋼板の芯は速いが、被覆した石が熱を先に吸う→立ち上がりは中庸。蓄熱・輻射は石が高める。 |
| ③ 鋳鉄 | 0.65 | 0.78 | 0.82 | 中程度の厚み・質量→中庸の速さと持続。凹凸があれば放熱面積が増え、輻射が伸びる。 |
| ④ 厚板鋼板 | 1.00 | 0.50 | 0.58 | 薄く軽い→最速で温まる。ただし質量が小さく、冷めるのも速い。 |
| ⑤ 多層ハイブリッド | 0.50 | 0.48 | 0.55 | 層・空気層が熱を内側にとどめ、外表面の温度が上がりにくい→速さ・持続・輻射が落ちる。 |
→ 横に動かすと、続きが見えます
今回、立ち上がりの係数を物理に合わせて見直しました。「石(比熱2倍)が最も遅く、鋳鉄が中庸、鋼板が最速」——という材料の順序に、数字を一致させています。優劣ではなく、物理の順序に正直に合わせた、というだけです。
熱を大量にため込むので、温まるのは最も遅い。でも火が消えても長時間じんわり放熱し、表面が穏やかで遠赤外線の質が最も高い。高断熱の家で本領。ゆっくり蓄えて、長く優しく。
※世界の蓄熱式暖房(メーソンリーヒーター)が石を使うのと同じ物理。
適度な質量で、立ち上がり・蓄熱・輻射のバランスが最も良い。厚い鉄が熱を再放射し、凹凸があれば放熱面積が増える。一番万能。どの家でも良い仕事をする。
※世界の定番(ヨツール等)が鋳鉄である理由。中古の家でも安定。
薄い分、表面がすぐ高温になり最速で立ち上がる。強い出力を一気に出せる。ただし質量が小さく、止めると冷めるのも速い。近くで最高に温かい。中古でも高出力で押し切る。
※HETA等の鋼板機。速暖と力が身上。
計算式 ── 全文公開
ATK指数 = 立ち上がり〔構造係数×20〕 + 蓄熱・持続〔(構造×0.7+重量比×0.3)×35〕 + 輻射の質〔構造×25×表面〕 + パワー〔(出力比×0.6+坪比×0.12+効率比×0.28)×20〕
適正坪 = メーカー公表坪数 × (ATK÷80・上限95%) × 住宅係数〔構造別〕
※軸の重み(20/35/25/20)と「80=メーカー坪の満額」は、数百台の現場から定めた当社独自の評価基準です。構造係数は、上の材料の比熱・質量という物理が根拠。個別の計算は、下の「ヘリテイジの計算例」と対話型計算機で全部お見せしています。
第三者からのご指摘には、こうお答えします
Transparency ─ 計算の全公開
ATKは、思いつきの数字ではありません。構造・出力・重量・効率から、決まった式で算出しています。代表として ハースストーン ヘリテイジ(87 ATK) の計算を、係数までまるごと公開します。
入力値(メーカーカタログ+実測)
ATK指数の計算
| 軸(配点) | 計算式 | 点 |
|---|---|---|
| ① 立ち上がり(20) | 0.40 × 20 | 8.0 |
| ② 蓄熱・持続(35) | (1.00×0.7 + [215÷240]×0.3) × 35 | 33.9 |
| ③ 輻射(25) | 1.00 × 25 × 1.0 | 25.0 |
| ④ パワー(20) | (1×0.6 + 1×0.12 + [81÷85]×0.28) × 20 | 19.7 |
| 合計 | ATK指数 | 87 |
→ 横に動かすと、続きが見えます
適正坪数 = メーカー公表53坪 × (87 ÷ 80 = 上限95%) = 高断熱 約50坪。一般・中古は、住宅性能と構造で低減(①石=一般×0.88/中古×0.80)。
同じ式に各機種の実データを入れた結果です。坪数は住宅性能別(高断熱/一般/中古)。数字はすべて公開します。
| 機種 | 構造 | 定格kW | 効率 | 重量 | 立% | 蓄% | 輻% | 力% | ATK | 高断熱 | 一般 | 中古 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ハースストーン ヘリテイジ | ①ソープストーン | 12.2 | 81% | 215 | 40 | 97 | 100 | 99 | 87 | 50 | 44 | 40 |
| HETA SKULD ブラックウッド | ②蓄熱石クラッド | 9.1 | 83% | 243 | 58 | 93 | 92 | 90 | 85 | 40 | 36 | 34 |
| 岡本 AGNI-C | ③鋳鉄+凹凸 | 10.2 | 86% | 240 | 65 | 85 | 98 | 97 | 87 | — | — | — |
| ヨツール F500 ECO | ③鋳鉄 | 10.5 | 86% | 200 | 65 | 80 | 82 | 100 | 81 | 58 | 53 | 50 |
| 岡本 AGNI-CC | ③鋳鉄+凹凸 | 7.6 | 86% | 200 | 65 | 80 | 98 | 80 | 81 | — | — | — |
| ヨツール F400 ECO | ③鋳鉄 | 6.2 | 74% | 170 | 65 | 76 | 82 | 71 | 74 | 39 | 35 | 33 |
| ヨツール F205 | ③鋳鉄 | 6.5 | 86% | 138 | 65 | 72 | 82 | 75 | 74 | 34 | 31 | 29 |
※ 坪数は目安です(断熱・天井高・吹き抜けで変動)。当社の目安は、住宅性能を考慮して常にメーカー公表坪数以下にしています。
※ AGNI-C/AGNI-CC(—表記)は、岡本が暖房坪数を公表していないため、適正坪数は算出できません(ATKは確定です)。
Try it ─ 自分で計算
カタログの数字を入れるだけ。ATKは、誰でも同じ式で出せます。気になる薪ストーブの「暖かさの質」を、確かめてみてください。(推奨機種の数字とも一致します)
Before You Decide ─ 大事な前提
当社の適正サイズは、岩手の住宅事情がベースです。盛岡市の岩洞湖(薮川)周辺は過去に氷点下35℃を記録し、本州でも指折りの寒さの土地。同じストーブでも、盛岡と関東では「必要な暖かさ」が違います。カタログの「何坪用」という表記も、実は同じことが言えます。国で数字が違う理由 →
薪ストーブの働きは、住宅の断熱・気密性能に大きく左右されます。だから当社は適正サイズを一つの数字で断定せず、高断熱住宅・一般住宅・中古住宅の3段階でお示しします。吹き抜け・天井高・間取りでも変わるため、最後は現地でしか分かりません。
※いまの中古住宅は、多くが平成の家(断熱等級3〜4)。無断熱の昭和の家ほど性能は落ちないので、中古の目安も一般に近くしています(本当に古い無断熱の家は、現地で確認します)。
ATK指数は、D'STYLEが現場経験から作った当社独自の評価基準です。ランキングでも、他社製品を否定するためのものでもありません。「私たちはこう感じてきた」という、施工屋の正直な体感の数値化です。判断するのは、お客様です。
大きすぎるストーブは暑すぎて焚けなくなり、小さすぎれば寒い。構造が合わなければ「思っていた暖かさと違う」になる。ATK指数は、その失敗を減らすための道具です。気になる機種があれば、現地調査のうえで正直にご提案します。
All Heating ─ 暖房まるごと
当社はエアコンの取付も灯油機器の修理も行う「熱の専門会社」です。だから、どの暖房も否定しません。暖房は一日の中で役割を分け合うもの。同じ4つの軸で見ると、それぞれの個性が見えてきます。
| 方式 | 立ち上がり | 持続 | 芯までの熱 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| 薪ストーブ | ゆっくり〜ふつう 構造で変わる | とても長い 火が消えても数時間暖かい | とても深い 輻射で芯から | リビング・家族の中心。日中から夜、家全体を。 |
| ペレットストーブ | はやい | そこそこ 火が落ちてもしばらく暖かい | 深め | リビング。炎を楽しみつつ、手軽さ重視。 |
| 灯油ファンヒーター | とてもはやい | 短い 消すとすぐ引く | 浅い | 脱衣所など、一時的にサッと暖めたい場所。 |
| エアコン | はやい | 短い 消すとすぐ引く | 浅い | 寝室・個室・朝のタイマー。無人でも安心。 |
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代表・橋本の家の実例です──朝6時はエアコンのタイマー。起きたら薪ストーブに火を入れ、夜は寝室までポカポカ。翌朝、玄関を開けた瞬間から家じゅうが暖かい。優劣ではなく、役割の違い。その組み合わせ方まで含めて、ご提案します。
FAQ ─ よくあるご質問
家の性能、地域の寒さ、暮らし方。全部ひっくるめて、失敗しない一台をご提案します。盛岡・国道4号線沿いのショールームで、実際に焚いている炎もご覧いただけます。相談・現地調査のご相談は無料です。
019-681-24779:00〜17:00/定休日:毎週水曜日・大型連休・年末年始値段のことも、面倒なところも、先に出しておきます。読んだうえでご相談いただいた方が、話が早く進みます。
サウナ・薪ストーブ・ペレットの対応エリア岩手県・青森県・秋田県の全域と、宮城県・山形県の一部エリアに対応しています(県名をタップで市町村一覧)。
写真ではわからないことが、いくつもあります。熱の届き方、はぜる音、部屋のにおい。盛岡・国道4号線沿いのショールームで、実際に焚いています。ご相談は無料です。
岩手県・青森県・秋田県の全域と、宮城県・山形県の一部エリアへ伺います。
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