薪の話をさせてください。うちは祖父の代から薪を商いにしてきた家で、私で三代目です。薪のことなら、たぶん岩手でも、かなりしつこい部類に入ります。今日は、その三代分の実感を、数字も交えて正直にお話しします。

いい薪の条件は、ひとつだけです。よく乾いていること。樹種とか太さとか値段とか、そういうことより先に、まず乾燥なんです。ここを外すと、あとの何を工夫しても、薪は本気を出してくれません。
生乾きの薪は、三重に損をする
伐ったばかりの木は、重さの半分ちかくが水です。含水率でいえば、50パーセントを超えることも珍しくありません。これを燃やすと、火の熱がまず、その水を蒸発させるのに使われてしまう。だから部屋は暖まらないし、ガラスは煤ける。おまけに、燃えきらない煙が煙突の中で冷えて、タールになってこびりつく。乾いていない、ただそれだけで、これだけ損をするんです。
とくに怖いのが、この煙突のタールです。これは煙道火災という、煙突の中で起きる火事の、そのまま燃料になります。私は煙突掃除人でもあるので、タールでべっとりの煙突を、毎年たくさん見ます。そのほとんどの原因が、たどっていくと、薪の乾燥不足なんです。
薪は買うものというより、
「乾かすもの」なんです。
実際に、うちの薪はどれくらい乾くか
「よく乾いた薪」と言葉で言うのは簡単ですが、数字にしないと、どれくらいのことか伝わらないと思います。うちの実測でお話しします。
ナラやサクラを割ったばかりの含水率は、だいたい28パーセント前後です。これを、風の通る薪棚で二年乾かすと、18パーセントあたりまで下がります。
薪ストーブ業界で「よく乾いている」とされる目安は、おおむね含水率20パーセント以下です。うちの二年ものは、そこをきちんと下回ってきます。これが、うちが「二年もの」を勧める理由の、いちばんの根拠です。
一年でも、薪として使えないわけではありません。ただ、20パーセントの壁を確実に切るには、二年見ておくと安心だというのが、三代分の実感と、実際の数字が一致しているところです。
含水率の、正しい測り方
「うちの薪、ちゃんと乾いてるかな」と思ったら、ぜひ測ってみてください。ホームセンターで、安い木材用の水分計が手に入ります。
ただし、測り方にコツがあります。薪の表面に当てても、あまり意味がありません。表面は、空気にさらされて先に乾いてしまうからです。
正しいやり方はこうです。出来上がった薪を、斧で半分に割ってください。そして、割った断面の内側に、水分計のピンを当てます。表面ではなく中心。ここが、その薪の本当の含水率です。
この一手間をやるかどうかで、「乾いていると思っていたのに、実は生乾きだった」という失敗がなくなります。買った薪でも、自分で作った薪でも、一度試してみてください。数字で見えると、乾き具合が急に面白くなりますよ。
乾かし方は、風と日、あとは時間
薪づくりの基本は、単純です。割って、風の通る場所に積んで、雨をよけて、待つ。目安は先ほどお話しした通り、二年。最低でもひと夏です。
コツは「早く割る」こと。丸太のままでは、木はなかなか乾きません。割って断面を空気にさらして、はじめて乾燥が始まります。だから薪の暮らしは、いつも一年、二年先を見て、動くことになります。今年割った薪は、再来年の冬の主役です。
いい薪の見分け方(測らなくても分かる目安)
水分計がなくても、目と耳と手で、乾き具合はある程度分かります。お店やネットで薪を買うときは、ここを見てください。
①持って軽いこと。同じ大きさなら、軽いほうが乾いています。水分が抜けたぶん、単純に軽くなります。
②木口(切り口)にヒビが放射状に入っていること。乾くと木は、中心に向かって割れてきます。
③薪同士を叩くと「カーン」と高い音がすること。生木は「ゴッ」と鈍い音です。乾いた木は、中が詰まっていないぶん、よく響きます。
④皮が浮いて剥がれかけているのも、よく乾いたサインです。
この四つを覚えておけば、まず外しません。そして、迷ったら最後は水分計。割って、中心を測る。これがいちばん確実です。
樹種の、性格の違い
乾燥の次に、はじめて樹種の話です。ナラやサクラといった広葉樹は、みっしり重くて、火持ちがいい。長い夜の主役です。スギやマツの針葉樹は、軽くて火つきがよく、焚き付けや、朝いちばんの立ち上げに向いています。焚き付けに針葉樹、本番に広葉樹、と使い分けるのが理想です。
かつては、針葉樹はタールが出やすいと敬遠されましたが、近ごろは、針葉樹をしっかり燃やせるストーブも増えました。岩手は杉の間伐材が豊富な土地ですから、これを上手に活かせるのは、大きな強みだと思っています。
よくある質問
Q. 一年しか乾かしていない薪は、使えませんか
まったく使えないわけではありません。ただ、含水率20パーセントの壁を確実に切りたいなら、二年見ておくと安心です。急ぎで使う場合は、割ったばかりの薪よりも細めに割って、表面積を増やすと乾きが早まります。
Q. 水分計は、どこで買えますか
ホームセンターで、木材用の水分計として手に入ります。数千円のもので十分です。割った断面の内側に当てるのを、忘れないでください。
Q. 薪棚は、どんな場所がいいですか
風がよく通り、雨がかからない場所です。屋根はあってもいいですが、側面は塞がないでください。空気が動かないと、いつまでも乾きません。
Q. 買った薪が、生乾きだったらどうすればいいですか
すぐには使わず、風通しのいい場所に積み直して、追加で乾かしてください。含水率を測って、20パーセントを切ってから使うのが安全です。
薪割り、一緒にやりませんか
うちでは年に数回、薪割りイベントをやっています。丸太を囲んで、玉切りして、割って、積む。ひとりだと骨の折れる作業も、数人でやると、笑いの絶えない一日になります。斧が「スパン」と入ったときの手ごたえは、一度やると、癖になりますよ。薪ストーブをお使いの方も、これからの方も、大歓迎です。
それから、うちの薪はよく乾かした広葉樹が中心で、盛岡を中心に配達もしています。他社でストーブを買われた方も、まったく遠慮はいりません。薪のことは、三代目に聞いてください。
岩手・盛岡で薪ストーブ・ペレットストーブをお考えの方は、ハースストーン・バーモントキャスティングス正規代理店のD'STYLEへ。煙突の計画から設置工事まで、おすすめの一台をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。



