薪ストーブというと、みんな炎の話をします。機種はどうとか、デザインがどうとか。でも、10年20年と気持ちよく焚き続けられるかどうかは、たぶん煙突で決まるんです。今日は煙突掃除人として、本当のことを話します。

煙突の中で、何が起きているか
薪を燃やすと、煙と一緒に燃え残りの成分が煙突を通ります。乾燥の足りない薪を焚いたり、空気を絞ってとろとろ燃やし続けたりすると、この成分が冷えた煙突の内側にタールとしてこびりつきます。
タールは、平たく言えば固形燃料です。これに何かの拍子で火がつくと、煙突の中で火事が起きます。煙道火災といって、煙突が真っ赤になって、最悪は建物に燃え移る。「煙突掃除をサボった先」にあるのは、これです。
火事になるかどうかは、正直、運です。
でも、タールが溜まるかどうかは、運じゃない。
友人から聞いた、煙道内火災の話
正直に書きます。私自身は、煙道内火災の現場をこの目で見たことはありません。ただ、実際に見たという友人から、話を聞いたことがあります。
その友人によると、火はストーブのすぐ上あたりの煙突から、ゆっくりとトップに向かって燃え広がっていったそうです。そこまでにかかった時間が、およそ40分。そして、完全に鎮まるまでには、およそ1時間半かかったといいます。
この1時間半のあいだ、その場にいた人たちは、ただ煙道内火災に怯えながら待つしかなかった。「とても怖かった」と、友人は話していました。煙突の中は、外からは見えません。中で何が起きているのか分からないまま、ただ収まるのを待つ時間が、いちばん恐ろしいのだと思います。
もうひとつ、聞いた話があります。煙道内火災が起きてしまったお宅で、消防車を呼んだところ、放水によって家の中が水浸しになり、結局リフォームすることになった、というケースです。火そのものが収まっても、そのあとに残るものがある。これも、正直に知っておいていただきたい話です。
これは伝聞であって、私が確認した数字ではありません。ただ、掃除を怠った先に何が待っているのか、具体的な時間の感覚として、知っておいて損はないと思います。
だるまストーブをお使いの方は、とくにご確認を
とくに、だるまストーブで生活されているご家庭には、あらためて確認していただきたいことがあります。だるまストーブは、その形状や設置のされ方から、可燃物との距離が近いお宅が多い傾向にあります。
ストーブや煙突のまわりに、燃えやすいものが近すぎないか。今一度、見回してみてください。壁や床との離隔距離は、火を扱ううえでいちばん基本の安全対策です。
掃除は、年に一度でいい
では、どのくらいの頻度で掃除すればいいのか。ワンシーズン薪を焚いたら一度、が基本です。使い方や薪の質で汚れ方は変わりますが、「今年はいいか」を二年続けるのはおすすめしません。掃除と一緒に本体の点検もすれば、ガスケットの傷みや部品の緩みも早めに見つかります。
基本は、屋根に登らない英国式。
うちの煙突掃除は、英国RODTECH社の器具と手順を使った、室内側からの掃除です。煙突掃除の本場・英国の安全基準で認定を受けた安全インストラクターとしては、私が東北で第一号でした。
回転するブラシを下から通していくやり方で、雪の積もった屋根に登る必要がありません。岩手の冬でも安全に、しかも隅々まで掃除できます。養生をきちんとするので、部屋が煤だらけになる心配もいりません。
この方法のおかげで、安全でありながら、以前よりお安く煙突掃除をご提案できるようにもなりました。
ただし、タールが多い現場もあります。その場合は、お客様が「登らなくていい」とおっしゃっても、私たちは必ず屋根に登ります。そして、トップに溜まったタールを、ゴシゴシと落とさせていただく。その分、時間は長くかかりますが、どうかご了承ください。汚れを、見て見ぬふりはしません。
あなたの冬が、人生でいちばん好きな季節になるように。そのために、まず安全です。私たちが力を入れているのは、結局そこなんです。
よくある質問
Q. 煙道内火災は、どのくらいの頻度で起きるものですか
正確な発生率をお示しすることはできませんが、原因の多くは煙突内のタールです。年に一度の掃除でタールの有無をきちんと確認していれば、大きく防げるものだと考えています。
Q. 掃除をしていれば、絶対に安全ですか
絶対、とは申し上げられません。ただ、タールを溜めないことが、いちばん確実にできる備えです。乾いた薪を使うこと、空気を絞りすぎないこと、そして年に一度の掃除。この三つが基本です。
Q. だるまストーブは危険なのでしょうか
だるまストーブそのものが危険というより、設置のされ方によって可燃物との距離が近くなりやすい、という点に注意が必要です。離隔距離を今一度ご確認ください。心配な場合は、点検だけでもお気軽にご相談ください。
他社で買ったストーブ、大歓迎です
「よそで買ったから頼みにくくて」という電話をよくもらいます。まったく気にしないでください。どこで買ったストーブでも、煙突は同じように汚れて、同じように掃除が必要です。むしろ、何年も掃除していない一台こそ、早く診せてほしい。
薪ストーブは、買ったあとの年月のほうがずっと長いんです。その長い年月に責任を持つ。煙突掃除人って、そういう仕事だと思っています。
岩手・盛岡で薪ストーブ・ペレットストーブをお考えの方は、ハースストーン・バーモントキャスティングス正規代理店のD'STYLEへ。煙突の計画から設置工事まで、おすすめの一台をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。
写真: Antti Leppänen (Wikimedia Commons, CC BY 4.0)


