先日、仲間の職人たちと集まって、一日がかりの勉強会をひらきました。テーマは、「煙突まわりの熱は、どう伝わり、どこに籠るのか」。カタログの数字を眺めるだけでなく、実物大のモックアップ——壁と屋根の一部を本物と同じように組んだ試験体——を足場の上に立ち上げ、煙突が屋根を貫く部分の熱を、手を動かして確かめました。

なぜ、わざわざ実物で組むのか
薪ストーブ本体の性能は、メーカーの試験値があります。けれど、実際に火事につながる事故の多くは、本体ではなく「煙突まわり」で起きます。屋根や壁を貫くところ、断熱材との取り合い、貫通部の離隔——ここは家ごとに条件が違い、図面の数字だけでは見えないことがあるのです。だから、本物と同じ材料で組んで、実際の熱を確かめる。手間はかかりますが、これがいちばん確かなやり方だと思っています。
熱は、どこへ逃げ、どこに籠るのか

煙突の熱は、まっすぐ上に抜けるだけではありません。貫通部の金物や周囲の木部へ、じわじわと伝わっていきます。二重断熱煙突と適切な離隔があれば、木部の温度は安全な範囲に収まる。逆にそこが甘いと、長い年月のあいだに木がゆっくり炭化し、ある日の一度の高温で火がつく——煙道火災は、金属を曲げるで紹介した、あの怖さにつながります。

髄の髄まで調べる、という仕事

「そこまでやるの?」と言われることもあります。でも、火を扱う仕事です。お客様の家と暮らしを預かる以上、納得できるまで、髄の髄まで調べておきたい。仲間と知恵を持ち寄れば、一人では気づけないことにも手が届きます。こういう地味な積み重ねが、屋根の中で静かに家族を守ってくれる——そう信じて、私たちはこれからも学び続けます。
火のある暮らしは、豊かです。その豊かさを、安心して長く楽しんでいただくために。表からは見えないところにこそ、いちばん手をかけたいと思っています。



