音楽が定額で聴き放題の時代に、レコードの売上が伸び続けています。若い世代が、わざわざ手間のかかる円盤を選んでいる。この現象と、薪ストーブ人気は、根っこが同じだと私たちは見ています。今日は、レコードと火の夜の話です。
手間が、儀式になる
レコードを聴く手順を思い出してください。盤を袋から出し、埃を払い、ターンテーブルに載せ、針をそっと落とす。再生ボタン一つの時代に、なんという手間。でも、この手間こそが、音楽を「流れているもの」から「聴くもの」に変えます。薪ストーブも同じです。スイッチ一つの暖房の時代に、薪を運び、組んで、火を点ける。手間が、暖かさを「あるもの」から「味わうもの」に変える。レコードと薪は、手間を儀式に変える技術の、双璧なのです。(アナログの価値は、こちら。)
パチパチの二重奏
そして、音の相性です。レコードの針がひろう、あの微かなパチ、プチというノイズ。デジタルでは消される「余計な音」ですが、愛好家はあれごと音楽だと言います。薪ストーブの前でレコードをかけると、針のパチと、薪のパチが、混ざります。どちらがどちらか分からない夜のノイズの二重奏は、静けさの一種です。ジャズのバラード、古い歌謡曲、ビル・エヴァンスの冬の夜。炎の灯りとレコードの音の部屋は、どんな高級バーにも負けません。(薪の音の正体は、こちら。)
A面という、ちょうどいい時間
レコードのもう一つの発明は、A面二十数分という時間の単位です。聴き終わると、針が上がり、静寂が戻る。そこで立って、盤を裏返し、ついでに薪を一本くべる。この「二十分ごとの小さな用事」が、夜のリズムを刻みます。だらだら流れ続けるプレイリストにはない、章立てのある夜。サウナの1セットが約十五分なのと同じで、人の集中と休息には、ちょうどいい長さの器が要るのです。
アナログの夜を、組み立てる
火と、レコードと、一杯と、本。電源より電池より、手間と質感でできた夜は、翌朝の心持ちが違います。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハースストーン、バーモントキャスティングス、ハルビアの正規代理店として、アナログの夜の土台となる火をお手伝いしています。あなたの一枚目のレコードの話も、店で聞かせてください。ご相談、いつでもどうぞ。



