「今夜こそ、ぐっすり眠りたい」。そう願いながら、天井をながめて時間だけが過ぎていく。そんな夜は、たぶん誰にでもあります。眠れないのは、あなただけの悩みではありません。厚生労働省の調査では、日本の成人の約2割が睡眠で十分な休養をとれていないと感じ、5人に1人がなんらかの睡眠の悩みを抱えているそうです。平均睡眠時間も、世界の国々のなかでいちばん短い部類。眠りというのは、案外みんなが静かに困っていることなのだと思います。
そんな夜に、ひとつ試してほしいものがあります。薬ではなく、熱です。夜のサウナには、眠りを深くする働きがちゃんとある。今日はその仕組みと、いちばん効かせるための入り方の話をします。
なぜ、サウナで眠くなるのか
眠りのスイッチは、じつは体温です。人は眠りに落ちるとき、体の内側の温度——いわゆる深部体温を、ゆっくり下げていきます。手足の先から熱を逃がし、脳の温度が下がっていく。その下り坂そのものが、体にとっては「そろそろ眠る時間だ」の合図になります。
ここで、サウナの出番です。夜、いったん体をぐっと温めておく。すると出たあと、体は上がった分を取り返そうと、いつもより大きく深部体温を下げていきます。この落差が深いほど下り坂は急になり、眠りの合図もはっきり脳に届く。就寝前に体を温めた人は、寝つくまでの時間が平均で約9分早まった、という報告もあります。たった9分。でも寝つけない夜の9分は、けっこう長いものです。

肝心なのは、入るタイミング
ただ、効かせられるかどうかは、入る時間帯で決まります。いちばん眠りを深くするのは、就寝の1〜2時間前。
早すぎると、寝床に入るころには体温が下がりきってしまい、肝心の落差が消えています。3時間以上も前だと、坂道はとっくに下り終わっている。逆に、出た直後に横になると、体はまだ火照ったまま。活動モードから抜けていないので、心臓も呼吸も、静けさにはほど遠い。温まった体がゆっくり冷めていく、その下り坂のいちばんいいところで布団にもぐり込む。1〜2時間前という間合いには、ちゃんと理由があるんです。
深い眠りと、正直な話
夜のサウナは、眠りの長さだけでなく、質そのものにも効いてきます。とりわけ、脳と体をいちばん深く休ませる徐波睡眠——いわゆる深い眠りが増えると考えられています。夜のはじめにこの深い眠りをしっかりとれると、翌朝の目覚めの軽さがまるで違います。
ただ、ここは正直に。夜のサウナは深い眠りを厚くする一方で、夢を見る浅い眠り、レム睡眠にはやや不利に働く、という指摘もあります。深く眠れることの引き換え、というわけです。それでも、寝つけないまま時間だけが流れていく夜を思えば、体を深い眠りへ導いてくれる熱は、じゅうぶん心強い。完璧をねらうより、まず眠りの入口をあけてくれる。それくらいに思っています。
朝までぐっすり、を取り戻す
年を重ねると、明け方にふと目が覚めて、そのまま眠れなくなる。そんな早朝覚醒に悩む方は少なくありません。原因のひとつが、やはり体温です。夜のあいだに深部体温が下がりすぎると、体はそれを「もう起きる時間だ」の合図と受け取ってしまう。まだ外は暗いのに、目だけが冴える。
就寝前のサウナは、ここでも助けになります。眠る前に体をしっかり温めておくと、体温が下がりきるまでの時間がのびて、明け方まで穏やかに保たれる。急な冷え込みで目が覚めることが減り、朝までひとつづきの眠りが戻ってきます。ただし、高齢の方や持病のある方は、熱の負荷にとりわけ気をつけて、無理のない温度と短めの時間から始めてください。

眠りは、追いかけるほど逃げていく。
熱をくぐって、体温が下る坂道に、ただ身をあずける。それだけのことなんです。
寝つけない夜、すぐ睡眠薬に手をのばす前に。まずは温かいサウナを試してほしいのです。一度熱をくぐった体が、時間をかけて冷めていく。その自然な下り坂が、眠りをたぐり寄せてくれる。そして自宅にサウナがあれば、寝る1〜2時間前のひと汗を毎晩の習慣にできます。銭湯やジムの営業時間を気にせず、疲れた夜こそ、家で整えてから眠りにつける。
自宅サウナを考え始めた方は、サウナの設計・施工のページをご覧ください。盛岡・国道4号線沿いのショールームでは、実物のサウナストーブとともに、暮らしに眠りを取り戻すサウナの使い方をご案内しています。ご相談は無料です。なお、眠りの悩みが長く続くときや、持病のある方は、自己判断せず医師に相談してください。



