冬の電気代の明細を見て、3万円を超えていて驚いたことはないだろうか。エアコンを主暖房にしている寒冷地の家庭では珍しくない。岩手の20畳のLDKで、12月から3月まで1日14時間エアコンを回した場合、電気代は月に2万5千円から3万5千円あたりになる。
この記事では、エアコンの暖房にかかる電気代を計算し、薪ストーブの燃料費と横に並べてみる。
エアコン暖房の電気代を分解する
エアコンの電気代は「消費電力 × 運転時間 × 電力量単価」で決まる。暖房時の消費電力は機種によって異なるが、20畳用の場合、カタログの期間消費電力量から計算すると次のようになる。
定格消費電力:1,500〜2,000W
低温時消費電力:3,000〜4,000W(外気温2℃)
岩手の冬(マイナス5〜10℃)での電気代
1日14時間運転 × 30日 × 31円/kWh = 約20,000〜35,000円/月
4ヶ月(12〜3月)で 80,000〜140,000円
寒冷地では外気温が低いぶんエアコンの効率(COP)が下がり、同じ暖かさを得るために電力を多く使う。カタログに書かれた「年間電気代の目安」は外気温7度で計算されたものなので、岩手の冬には当てはまらない。
薪ストーブの燃料費
薪ストーブの燃料は薪だ。薪の値段は地域や入手方法で大きく変わる。
| 薪の入手方法 | 1束あたり | ひと冬(5ヶ月) |
|---|---|---|
| ホームセンターで購入 | 500〜700円 | 150,000〜210,000円 |
| 薪屋から軽トラ1台分 | (まとめ買い) | 80,000〜120,000円 |
| 原木を自分で割る | (労働+チェーンソー代) | 20,000〜40,000円 |
| もらえる環境がある | 0円 | チェーンソーの燃料代のみ |
幅がある。ホームセンターで1束ずつ買えば高くなるし、原木を自分で割れる環境があれば大幅に安くなる。岩手は果樹園や林業が身近にあるので、原木を入手できる人は多い。
並べてみる
| エアコン(20畳用) | 薪ストーブ(薪屋) | 薪ストーブ(自分で割る) | |
|---|---|---|---|
| ひと冬の燃料費 | 80,000〜140,000円 | 80,000〜120,000円 | 20,000〜40,000円 |
| 出力(マイナス10℃) | 3.1 kW(定格の43%) | 6〜15 kW(気温に無関係) | 同左 |
| 停電時 | 使えない | 使える(電気不要) | 同左 |
| 手間 | リモコン操作のみ | 薪の搬入・着火・灰処理 | +薪割り・乾燥1〜2年 |
| 初期費用 | 15〜30万円(工事込み) | 80〜200万円(本体+煙突+工事) | 同左 |
燃料費だけ見れば、薪屋からまとめ買いする場合はエアコンと同程度。自分で薪を用意できるなら、薪ストーブのほうが安い。一方、初期費用はエアコンのほうが圧倒的に低い。
ただし、暖かさの質は違う。エアコンは外気温が下がるほど出力が落ちる。薪ストーブは薪を入れれば入れただけ暖まる。マイナス10度の朝にエアコンが3.1kWしか出せないとき、薪ストーブは10kWでも15kWでも出せる。
電気代を減らす、もうひとつの使い方
エアコンと薪ストーブは二者択一ではない。併用する家庭が増えている。薪ストーブを焚いている間はエアコンを切る。薪が尽きたらエアコンに切り替える。外出中や就寝中はエアコン。家にいる間は薪ストーブ。こういう使い分けで、電気代を月1万円以上下げる家庭もある。
数字を並べるところまでが当社の仕事です。「このストーブが合う・合わない」を決めるのは、数字を見たお客様ご自身です。
薪ストーブは岩手・青森・秋田・山形・宮城のように冬が長い東北で、とくに力を発揮する暖房です。エアコンだけでは届かない寒さを、炎の輻射熱が補います。
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