D'STYLE TECHNICAL

エアコンのカタログ、
正しく読めていますか?

カタログに書いてある「暖房20畳」は、東京の冬の朝の気温で測った数字です。
盛岡の1月、朝の-5℃でその数字がどう変わるか。
メーカーが言わないことを、数字で正直に書きます。

データ更新: 2026-09|出どころ: 省エネ性能カタログ・各社カタログの代表値

  1. カタログの数字の正体
  2. 冷房は強いのに暖房が弱い理由
  3. 外の気温で暖房力はこう変わる
  4. 「暖房20畳」は盛岡では何畳?
  5. 盛岡の冬のエアコン電気代
  6. 薪ストーブは外の気温に左右されない
  7. 盛岡でエアコンを選ぶなら
  8. よくある質問

01

カタログの数字の正体

エアコンのカタログには、たくさんの数字が並んでいます。
でも、いちばん大事な数字が小さな文字で書いてあります。

カタログに載っている5つの数字

数字意味測り方
冷房能力冷やす力(kW)外35℃・室内27℃
暖房能力温める力(kW)7℃・室内20℃
低温暖房能力寒いときの全力(kW)2℃・室内20℃
APF1年通しての省エネ度東京の気温パターン
畳数のめやすどのくらいの部屋に合うか1964年の断熱基準で計算

ここがポイント

「暖房能力」の外気7℃は、東京の冬の朝の気温です。
盛岡の1月の平均気温は -1.9℃、朝の最低気温は -6.5℃
カタログの暖房能力は、盛岡の冬とは別の世界で測った数字です。

「畳数のめやす」は、1964年(昭和39年)の断熱基準で計算しています。
60年前の家は、今の家よりずっと隙間が多かった。
今の高断熱住宅なら、エアコンは楽をしています。昔の家なら、もっとつらい。

02

冷房は強いのに、暖房が弱い理由

エアコンは「熱を作る機械」ではありません。
「外の空気から熱をかき集めて、部屋に運ぶ機械」です。

冷房と暖房の違い

冷房

部屋の中(27℃)から熱を吸い取って、
外(35℃)へ捨てる。

温度差 = 8℃

熱を捨てる先が暑くても、
捨てるだけだから楽。

暖房

外の空気から熱をかき集めて、
部屋の中へ運ぶ。

7℃のとき温度差 = 13℃
-5℃のとき温度差 = 25℃
-10℃のとき温度差 = 30℃

外が寒いほど、
かき集められる熱が少ない。

大きい部屋ほど、この問題が深刻になる

小さい部屋(6畳)に小さいエアコン。暖房が足りなければ、こたつ1台でフォローできます。

大きい部屋(20畳のリビング)に大きいエアコン。
暖房能力が半分に落ちたら、10畳分しかない。
20畳のリビングを10畳の力で温めるのは、無理です。
こたつ2台、ファンヒーター2台…… どんどん増えていきます。

さらに、大きい部屋ほど壁の面積が広く、窓も大きい。
「必要な熱量」は部屋が大きいほど急に増えるのに、
「エアコンが出せる熱量」は寒くなるほど急に減る。

この二重の挟み撃ちが、大きい部屋で起きます。

霜取り運転 ── 暖房が止まる時間

外気が5℃を下回ると、室外機の熱交換器に霜がつきます。
30〜90分ごとに「霜取り運転」が始まり、3〜15分間、暖房が止まります。
機種によっては冷風が出ます。

盛岡の冬(11月〜3月)は、ほぼ毎日この温度帯です。
実効の暖房時間は、10〜25%減ります。

03

外の気温で暖房力はこう変わる

カタログの暖房能力を100%として、外の気温が下がるとどこまで落ちるか。
赤い数字が、盛岡の冬です。

標準タイプ

機種7℃
カタログ値
2℃
低温暖房
0℃
初霜
-5℃
盛岡1月朝
-10℃
厳寒
-15℃
強い寒波
6畳用
冷房2.2kW
2.2kW
100%
1.8kW
83%
1.7kW
77%
1.3kW
60%
1.0kW
43%
0.6kW
27%
8畳用
冷房2.5kW
2.8kW
100%
2.3kW
83%
2.1kW
77%
1.7kW
60%
1.2kW
43%
0.7kW
27%
10畳用
冷房2.8kW
3.6kW
100%
3.0kW
83%
2.8kW
77%
2.2kW
60%
1.6kW
43%
1.0kW
27%
12畳用
冷房3.6kW
4.2kW
100%
3.5kW
83%
3.2kW
77%
2.5kW
60%
1.8kW
43%
1.1kW
27%
14畳用
冷房4.0kW
5.0kW
100%
4.2kW
83%
3.8kW
77%
3.0kW
60%
2.2kW
43%
1.3kW
27%
18畳用
冷房5.6kW
6.7kW
100%
5.6kW
83%
5.1kW
77%
4.0kW
60%
2.9kW
43%
1.8kW
27%
20畳用
冷房6.3kW
7.1kW
100%
5.9kW
83%
5.4kW
77%
4.3kW
60%
3.1kW
43%
1.9kW
27%
23畳用
冷房7.1kW
8.5kW
100%
7.1kW
83%
6.5kW
77%
5.1kW
60%
3.7kW
43%
2.3kW
27%

寒冷地タイプ(ズバ暖・スゴ暖・フル暖など)

機種7℃
カタログ値
2℃
低温暖房
0℃
初霜
-5℃
盛岡1月朝
-10℃
厳寒
-15℃
強い寒波
6畳用
冷房2.2kW
2.5kW
100%
2.2kW
90%
2.1kW
86%
1.9kW
76%
1.6kW
66%
1.4kW
56%
10畳用
冷房2.8kW
3.6kW
100%
3.2kW
90%
3.1kW
86%
2.7kW
76%
2.4kW
66%
2.0kW
56%
14畳用
冷房4.0kW
5.0kW
100%
4.5kW
90%
4.3kW
86%
3.8kW
76%
3.3kW
66%
2.8kW
56%
18畳用
冷房5.6kW
6.7kW
100%
6.0kW
90%
5.8kW
86%
5.1kW
76%
4.4kW
66%
3.8kW
56%
20畳用
冷房6.3kW
7.1kW
100%
6.4kW
90%
6.1kW
86%
5.4kW
76%
4.7kW
66%
4.0kW
56%

寒冷地エアコンは「落ちにくい」だけで、「落ちない」わけではありません。
-15℃では標準タイプの約2倍の能力が残りますが、カタログ値の6割程度です。
過信は禁物です。

04

「暖房20畳」は、盛岡では何畳?

カタログの暖房の畳数を、盛岡の冬の気温で換算しました。

機種 冷房
(鉄筋)
暖房
カタログ値
(木造・7℃)
暖房
盛岡の朝
(-5℃)
暖房
厳寒の夜
(-10℃)
6畳用 9畳 5畳 3畳 2畳
8畳用 10畳 6畳 4畳 3畳
10畳用 12畳 8畳 5畳 3畳
12畳用 15畳 9畳 5畳 4畳
14畳用 17畳 11畳 7畳 5畳
18畳用 23畳 15畳 9畳 7畳
20畳用 26畳 16畳 10畳 7畳
23畳用 30畳 20畳 12畳 9畳

20畳用のエアコンが、盛岡の厳寒の夜には7畳の力しか出せない。
これがカタログには書いていない、いちばん大事な数字です。

05

盛岡の冬、エアコン暖房の電気代

暖房能力が落ちても、電気代は落ちません。むしろ上がります。
能力が落ちた分、エアコンはフル稼働で電気を食います。

機種 東京の冬
(7℃・1日14時間)
盛岡の冬
(-5℃・フル稼働)
6畳用 ¥7,598/月 ¥19,270/月
14畳用 ¥20,440/月 ¥37,367/月
20畳用 ¥31,604/月 ¥45,570/月

盛岡で20畳用エアコンを暖房でフル稼働させると、月4〜5万円
12月〜3月の4か月で 16〜20万円

薪ストーブの薪代は、年間 10〜15万円(購入する場合)。
自分で調達できれば、もっと安くなります。

06

薪ストーブは、外の気温に左右されない

エアコンは外が寒いほど弱くなる。薪ストーブは外が寒いほど強くなる。
煙突のドラフト(上昇気流)が強まり、燃焼が安定するからです。

エアコン暖房

外が寒い → 熱源(外の空気)が減る

→ 能力低下+霜取りで止まる

→ 電気代が跳ね上がる

いちばん寒いときに、いちばん頼りにならない。

薪ストーブ

外が寒い → 煙突ドラフトが強くなる

→ 燃焼が安定、出力は変わらない

→ 蓄熱で火が消えても暖かい

いちばん寒いときに、いちばん頼りになる。

数字で比べてみると

エアコン20畳用薪ストーブ
(定格7kW級)
7℃での暖房力7.1kW7.0kW
-5℃での暖房力4.3kW7.0kW
-10℃での暖房力3.2kW7.0kW
-15℃での暖房力2.5kW7.0kW
電源を切ったあと即座に冷える蓄熱で1〜3時間温かい
月の費用(12〜3月)¥30,000〜50,000¥25,000〜40,000
(薪購入の場合)

07

盛岡でエアコンを選ぶなら、ここを見る

エアコンを否定しているわけではありません。
夏の冷房と、春秋の軽い暖房には、エアコンは最高の道具です。
でも冬の主暖房には、カタログの数字を正しく読んでから決めてください。

見るべき3つの数字

  1. 低温暖房能力(外気2℃での最大出力)
    カタログの奥のほうに小さく書いてあります。盛岡では「暖房能力」より、こちらが現実に近い。
  2. 暖房の畳数(木造)
    鉄筋のほうは大きく見えますが、岩手の住宅は木造が多い。木造の数字で見てください。
    その数字をさらに6割にしたのが、盛岡の真冬の実力です。
  3. 暖房の消費電力(最大値)
    盛岡の冬はフル稼働が当たり前。最大消費電力 × 14時間 × 30日 × 31円 が、だいたいの月の電気代です。

薪ストーブとエアコンの併用という選択

冬の主暖房は薪ストーブ。
帰宅直後の立ち上がり待ちや、深夜の補助にエアコン。
この組み合わせが、盛岡の冬でいちばん合理的です。

薪ストーブが本気を出すまでの20〜30分を、エアコンがつなぐ。
薪ストーブが温まったら、エアコンは消す。
それぞれが得意なことだけをやる。いちばん賢い使い方です。

FAQ

よくある質問

寒冷地エアコンなら大丈夫ですか?

標準タイプより確実に強いですが、-15℃ではカタログ値の6割程度まで落ちます。 20畳用の寒冷地エアコンでも、-15℃では12畳分くらいの力。 「大丈夫」の基準は、お住まいの広さと断熱性能によります。

ペレットストーブはどうですか?

ペレットストーブも外気温に左右されません。出力は4〜10kW(機種により異なります)。 電源は必要ですが薪の調達が不要で、自動運転ができます。 薪ストーブとエアコンの中間の性格です。 ペレットストーブのページに詳しい話があります。

このページの数字は正確ですか?

能力低下率は、各メーカーの公表データと JIS B 8615-1 の試験条件を基に、 当社が算出した推定値です。実際の低下率は機種・設置環境・使用条件により異なります。
カタログの数字(暖房能力・低温暖房能力・APF)は省エネ性能カタログ2025年版の代表値です。

薪ストーブの工事はいくらくらいですか?

ストーブ本体と煙突工事で、150万円〜350万円くらい(機種と工事内容によります)。 詳しくは費用と相場のページをご覧ください。 相談は無料です。

数字を並べるところまでが当社の仕事です。
「このストーブが合う・合わない」を決めるのは、数字を見たお客様ご自身です。

ここに書いた数字の話を、もう一段深くしたい方。
盛岡のショールームで、火のそばで続きをどうぞ。

019-681-24779:00〜17:00 定休日:毎週水曜日・大型連休・年末年始
GO DEEPER / まだ、続きがある

この先も、同じ深さで書いてある。

ここまで読んだあなたと、話したい。

ここに書いたことは、全部うちが現場でやっていることです。 煙突の高さも、給気の穴も、機種の選定も、この考え方で決めています。
盛岡のショールームには、火を入れた実機があります。数字の話の続きを、炎の前でどうぞ。

019-681-24779:00〜17:00 定休日:毎週水曜日・大型連休・年末年始