「寒冷地仕様」「寒冷地エアコン」と名のつくエアコンがある。標準のエアコンと何が違うのか。価格は高いが、それに見合う差はあるのか。
違いは4つある。
1. コンプレッサーが大きい
寒冷地エアコンは標準型よりコンプレッサーの容量が大きい。外気温が下がってもより多くの冷媒を圧縮できるので、暖房能力の低下が穏やかになる。
| 外気温 | 標準型(能力低下率) | 寒冷地型(能力低下率) |
|---|---|---|
| 7℃ | 100% | 100% |
| 0℃ | 77% | 86% |
| −5℃ | 60% | 76% |
| −10℃ | 43% | 66% |
| −15℃ | 27% | 56% |
| −25℃ | (動作限界外) | 36% |
マイナス10度で標準型は定格の43%しか出せない。寒冷地型は66%。出力の差は1.5倍になる。
2. 霜取り運転が賢い
標準型のエアコンは霜取り運転中に暖房が完全に止まる。室温がガクッと下がる。
寒冷地エアコンは「ノンストップ暖房」や「バイパス暖房」と呼ばれる機能を持つ。霜取り中でも室内への暖房を止めない仕組みだ。蓄熱した熱を使ったり、室外機の別の熱交換器で霜取りと暖房を同時に行う。
3. 室外機にヒーターがある
寒冷地エアコンの室外機には底面ヒーターが内蔵されている。ドレン水(除霜で出た水)が凍結して排水口を塞ぐのを防ぐ。標準型にはこのヒーターが無い。排水口が凍ると室外機の中に氷がたまり、最終的に動かなくなる。
4. 動作可能な外気温が低い
標準型:−15℃まで(それ以下は安全装置で停止)
寒冷地型:−25℃まで(一部の機種は−30℃)
盛岡の冬の最低気温はマイナス13度前後で、標準型でもギリギリ動作範囲内だ。ただし動作はしても、マイナス13度での出力は定格の3割以下で、暖房として頼りにならない。寒冷地型はマイナス13度でも5割以上の出力が残る。
それでもエアコンだけでは厳しい
寒冷地エアコンは標準型より格段に強い。だが、マイナス10度で66%、マイナス15度で56%。20畳用でも実質13畳分、11畳分だ。20畳のLDKを1台でまかなうのは難しい。
寒冷地エアコンは「標準型より強い」が「寒冷地で万能」ではない。サブの暖房と組み合わせるか、薪ストーブやペレットストーブをメインにしてエアコンを補助にするか。使い方を決めてから選ぶのが確実だ。
エアコンの暖房能力と外気温の関係は物理法則なので、この計算は北海道から九州まで全国どこでも同じように使えます。とくに岩手・青森・秋田・山形・宮城の東北5県は冬の外気温が厳しく、この問題が暮らしに直結する地域です。
エアコン暖房の実力 標準型・寒冷地型の外気温ごとの出力計算。 薪ストーブのページ 外気温に左右されない暖房。取扱い機種の一覧。