なぜ、安全基準が重要なのか
薪ストーブは、とても高温になる暖房機器です。設置方法を誤れば、火災や一酸化炭素中毒といった深刻なリスクにつながります。だから、施工は建築基準法・消防法、そして各製品の安全基準に沿って行う必要があります。
- 建築基準法:規定は全国で統一されています。薪ストーブを設置する部屋の内装制限、換気設備、煙突設置に関する規定が定められています。
- 消防法:ストーブ本体の材料、設置する場所と周囲の仕上げ、煙突の構造および取り付けなど、火災予防のうえで安全な距離を保つことが規定されています。
- 火災予防条例:地域の事情が反映されるため、市町村ごとに対応が異なります。事前に、所轄の消防署などへ確認しましょう。
火災の原因を知り、未然に防ぐ
① 煙道火災
煙道火災とは、薪ストーブの煙突内部に付着したタールに引火し、煙突の内部で激しく燃え上がる現象です。ひとたび起きると、煙突内部の温度は1,000℃以上に達することもあります。
予防の要は、煙突内にタールを付着させないこと。そのためには、煙の温度を下げないことが重要です。シングル煙突は外部への放熱が大きく、上に向かうほど煙の温度が下がります。煙は外気との温度差によって上昇(ドラフト)するため、温度が下がるとドラフトが弱まり、やがて煙突内で停滞してしまいます。
だから、薪ストーブには断熱二重煙突が必要です。煙の温度を保ってドラフトを確保し、タールの付着を減らします。万が一、煙道火災が起きても、断熱された煙突は外部に熱を伝えにくく、火事につながりにくくなります。あわせて、乾いた薪(含水率20%以下)を使うこと。生乾きの薪は十分に温度が上がらず、不完全燃焼を起こしてタールを作り、煙突にこびりつきます。
② 低温炭化
木材は通常、400℃くらいで加熱しなければ、自ら発火しません。ところが、100℃以下の低温でも長期間熱を受け続けると、木材の水分などが蒸発して炭化状態になります。こうなると、150℃程度でも着火することがあります。
目に見える柱や壁の木材は、空気にさらされて炭化が進みにくく、目視でも確認できます。しかし壁や天井の内側は、見えないだけでなく、空気が動きにくいため熱がたまりやすく、気づかぬうちに炭化が進行します。
「ストーブの周りをレンガなどの不燃材で覆っているから安心」ではありません。断続的に熱が加わると、そこに蓄熱し、ある日突然、壁の内部などから発火することがあります。これが低温炭化火災です。※この低温炭化のしくみは、薪ストーブでもペレットストーブでも共通します。
防ぐには、煙突や薪ストーブから可燃物まで、十分な距離をとって設置すること。レンガなどで炉壁を作る場合でも、壁と炉壁の間に25mm以上の空気層を設けます。そして炉壁の下部と上部を開放し、空気が流れるようにします。
設置基準と、安全な離隔距離
「離隔距離」とは、薪ストーブや煙突から周囲の可燃物までの、安全な距離のことです。本体の離隔距離は機種によって異なるため、メーカーに確認します。建築基準法・消防法の上では、薪ストーブは「かまど、こんろ」に該当し、家庭用ガスコンロと同じ扱いです。設置する部屋は、コンロのあるキッチンと同じ「火気使用室」になります。
室内の仕上げ材料の制限
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火気使用室の壁や天井の仕上げ材は、準不燃材料または不燃材料に制限されています。主な材料は、コンクリート・レンガ・瓦・陶磁器質タイル・繊維強化セメント板・モルタル・漆喰などです。平成21年に追加された国土交通省告示第225号により、周囲に一定の防火措置を行った場合は制限が緩和されるようになりました(令和2年の改正で、一戸建て以外にも適用が広がりました)。
換気
薪ストーブが良好に燃焼するためには、新鮮な空気が必要です。不完全燃焼を起こさないよう、給気口の設置が義務づけられています。
煙突
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二 煙突の高さは、その先端からの水平距離一メートル以内に建築物がある場合で、その建築物に軒がある場合においては、その建築物の軒から六十センチメートル以上高くすること。
三(2) 煙突は、建築物の部分である木材その他の可燃材料から十五センチメートル以上離して設けること。ただし、厚さが十センチメートル以上の金属以外の不燃材料で造り、又は覆う部分は、この限りでない。
(第2項)廃ガスの温度が低いこと等により防火上支障がない場合は、一号から三号を適用しない。
つまり、煙突は可燃材料から15cm以上離し、小屋裏や壁の貫通部では、周囲を金属以外の不燃材料(珪酸カルシウム板など)で覆う必要があります。煙突まわりの離隔の考え方は、「煙突について」のページで図解しています。なお、煙突・排気筒まわりの離隔という考え方は、ペレットストーブの排気筒にも共通します。
法律を守るだけでは、足りない。
この煙突に関する法律が施行されたのは、昭和25年です。当時、ステンレス製の断熱二重煙突は存在していませんでした。法律が想定しているのは、鉄板製の一重煙突、つまりシングル煙突なのです。
そもそも、シングル煙突で離隔15cmというのは、安全とは言えません。法律を守るのは、大前提です。けれども、この法律自体が古く、実際の煙突の安全基準としては不十分なのです。
だからプロは、法律とは別に、独自の安全基準を設けて
煙突を施工します。
メーカーも、機種ごとに安全基準値を公表しています。設計は、日本の安全基準に、各メーカーの安全基準を重ねて行わなければなりません。参考として、国土交通省の資料も公開されています(国交省の関連資料 ↗)。
ストーブごとの安全基準を、
一つひとつ、丁寧に。
D'STYLEは、DIYで挑戦されるお客様にも、ストーブごとの安全な離隔距離や安全基準を、丁寧にご説明しています。法律の最低ラインではなく、その先の安全まで。あなたのDIY工事が、安心して、楽しめるように。困ったときは、いつでもご相談ください。


