法律の先にある、「業界の安全基準」
薪ストーブや煙突の設置には、建築基準法や消防法の規定があります。ただ、この法律の基準をそのまま採用すると、危ない場合がある。その理由は第2回でお話ししたとおりです。
そこで、日本暖炉ストーブ協会などの業界団体が、アメリカのNFPA(米国防火協会)の基準や、欧州のEN基準といった国際的な安全基準を参考に、より安全性を高めるための「設計・施工ガイドライン」を独自に定めています。法的な拘束力はありませんが、事実上、日本国内で最高水準の安全基準となっています。
なお、こうした建築基準法・消防法や施工ガイドラインの考え方は、薪ストーブ(そしてペレットストーブ)にも共通します。ペレットストーブは強制ファンで排気しますが、法令と安全基準に沿って設置する原則は同じです。
国際基準の「読み方」(CE / EN 1856-1)
世界で信頼される煙突には、第三者機関による安全性の証明があります。欧州規格 EN 1856-1 に基づくCEマーキングのコードには、明確な意味があります。たとえば、次のような表示です。
- T600
- 温度等級。定格600℃で、700℃の排気テストをクリア。
- N1
- 圧力等級。負圧運転用(漏出は40Paで1秒間に2ℓ/m²以下)。
- W
- 凝縮水耐性。ウェット(結露)条件でも使用可。
- V2
- 耐腐食性。木材・ガス・灯油の腐食生成物に耐性。
- L50050
- 内筒はL50(SUS316L相当)、材料の厚みは0.50mm。
- G50
- 煤火災耐性。1000℃・30分の煙道火災テストをクリア/可燃物から50mm。
国内の販売に、CEマーキングは必須ではありません。けれど、この表示がある製品は、第三者機関が安全基準・性能基準を満たしていると証明しています。煙突を選ぶとき、こうした国際基準を満たしているかどうかは、一つの確かな選択基準になります。
DIY設置で、知っておくべき10のこと
ここに、薪ストーブと煙突の設置に関して、知っておくべき事項を挙げておきます。DIYで施工する方はもちろん、専門店に任せる場合でも、目を通しておく価値があります。
- 風圧帯を避けるため、煙突のトップは屋根面から900mm以上高くする。
- 水平距離3m以内に棟などの建築物がある場合は、それより600mm以上高くする。
- シングル煙突の可燃物までの離隔は460mm以上(天井まで600mm)。
- 断熱二重煙突から可燃物までの離隔は125mm以上を確保する。
- 屋根や壁の貫通部、屋外部分には、必ず断熱二重煙突を用いる。
- 燃焼に必要なドラフトを確保するため、煙突の長さは最低4m。
- 理想的なドラフトのため、煙突は可能なかぎり真っ直ぐに。不要な曲げは避ける。
- 横引きは可能なかぎり短く、できれば1m以内におさめる。
- 炉壁を作る場合は、壁との間に25mm以上の空気層を設ける。
- 施工時には、煙突掃除などのメンテナンス性も考慮する。
煙突まわりの離隔や設置基準の図解は、「煙突について」のページにまとめています。※可燃物からの離隔という考え方は、ペレットストーブの排気筒にも共通します。
D'STYLEの一押しは、NOVA断熱二重煙突
数ある煙突のなかで、D'STYLEが一番におすすめするのは、NOVA(ノヴァ)断熱二重煙突です。現在、数値の上で確認したかぎり、日本の煙突のなかで最も安全な煙突だと考えています。私たちが確認した範囲では、T600クラスの安全基準を満たすのは、SFL(NOVA)の煙突です。それ故に重く、施工には手間もかかります。けれど、価格が許すのであれば、私たちはNOVAで安全をお届けしたい。それが本音です。
世界最高水準の断熱で、
家を「低温炭化」から守る。
NOVAは、英国 SF Limited 社が手がける断熱二重煙突です。日本でも40年以上の実績があり、外筒(SUS304)と内筒(SUS316L)の間に25mmの断熱層を高密度で充填。煙突内部の熱を大きく抑え、隠蔽部の低温炭化を防いで、大切な家屋を守ります。EN 1856-1をクリアし、20年の長期保証も。差し込んで回すだけで確実にロックするTWIST-LOCK接続など、施工性と安全性を高める工夫が随所にあります。
写真・技術資料:ファイヤーサイド/SF Limited(NOVA・POWRMATIC)。詳しい仕様は、次回の専用ページでご紹介します。
まとめ
薪ストーブのDIY設置は、やってみると本当に楽しいものです。ただ、その楽しさを支えているのは、しっかりした知識と、安全基準への理解なんです。この連載では、おもに法令と、国内の安全基準になっている施工ガイドラインについてお話ししてきました。
結局、安全があってこその、
火のある暮らしなんだと思います。
わからないこと、不安なことがあれば、いつでもD'STYLEにご相談ください。あなたのDIYを、安全の面から支えます。


