薪ストーブの話をすると、時々こう聞かれます。「木を燃やすのって、環境に悪くないんですか」。とてもいい質問だと思います。煙も出るし、木も切る。なんとなく、自然に申し訳ない気がする。でも、じっくり調べていくと、話は逆であることがわかってきます。薪は、いま手に入るエネルギーの中で、もっとも筋のいい再生可能エネルギーのひとつなのです。今日は、その理屈を、ゆっくり話させてください。
薪は、太陽の缶詰
木は、太陽の光と、空気中の二酸化炭素と、水から、自分の体をつくります。何十年もかけて、日光のエネルギーを幹の中に貯金していく。つまり薪とは、森が何十年もかけてためた、太陽の熱の缶詰です。薪ストーブで薪を燃やすことは、その貯金を、冬の夜に引き出すこと。石油や石炭のように、地中に何億年も眠っていた炭素を掘り出して足すのではなく、木が育つあいだに空から吸い込んだ炭素を、空に返しているだけ。そしてまた次の木が、それを吸って育つ。これが「カーボンニュートラル」と呼ばれる考え方です。燃やしても、森が吸い直す。薪は、ぐるぐる回るエネルギーなのです。
木を使うことが、森を守る
「でも、木を切ったら森が減るのでは」。ここに、この話のいちばん面白い逆説があります。実は今の日本の森の悩みは、木の切りすぎではなく、木を使わなすぎることなのです。
かつての里山は、薪や炭のために定期的に木が切られ、光が入り、若い木が育つ、循環する森でした。ところが燃料が石油に代わって、山の木は使われなくなり、里山は放置され、混みすぎて暗くなり、光の入らない森は、かえって元気を失っていきました。手入れされない人工林、放置された広葉樹の山。木を適度に切って、使って、また育てることは、森の新陳代謝そのものです。薪を焚くことは、森を減らすことではなく、森を回すことに、ちゃんとつながっています。
岩手は、森の王国
そして、岩手です。岩手県は、面積のおよそ8割近くを森林が占める、日本屈指の森の王国です(岩手県の森林率は約77%と公表されています)。北海道に次ぐ広大な森林面積を持ち、アカマツもナラもクリも育つ。この森の恵みを、地元の暖房として使う。薪も、木を細かく砕いて固めたペレットも、岩手では「地産地消のエネルギー」になれます。遠い国から運ばれてくる燃料と違って、薪の代金は、地域の山と、山で働く人に還っていく。焚けば焚くほど、地元の森の手入れが回る。そういう暖房です。(薪の樹種の話はこちら、ペレットの話はこちら。)
正直な注意も、ひとつ
ただし、条件があります。きちんと乾いた薪を、性能のいいストーブで、正しく焚くこと。湿った薪をくすぶらせれば、煙もすすも増えて、ご近所にも空にも良いことがありません。現代の薪ストーブは、燃焼技術の進歩で、昔の火とは比べものにならないほどきれいに燃えます。いい道具と、いい薪と、いい焚き方。この三つが揃ってはじめて、薪は胸を張れるエネルギーになります。(煙を出さない焚き方はこちら、薪の乾燥はこちら。)
森の熱で、暮らす
電気代や燃料代の値上がりのニュースが続く時代に、庭の薪棚に積まれた「太陽の缶詰」は、家計にも心にも、静かな安心をくれます。岩手・盛岡のD'STYLEは、薪ストーブとペレットストーブの設置、そして乾燥薪の販売まで、森の熱で暮らす仕組みをまるごとお手伝いしています。環境の話に納得してから買いたい、という方、大歓迎です。おすすめの一台と一緒に、森とつながる暖房の話をしにいらしてください。



