AGNI ─ なぜ、そう言えるのか
杉を、薪にできる。
スギやヒノキは薪に向かない。薪ストーブの世界では、長くそう言われてきました。早く燃え尽きるうえに炉内が高温になり、ストーブ本体を傷めるからです。だから薪といえばナラやクヌギ、広葉樹のこと。山にいちばん多い木が、いちばん使えない。おかしな話ですが、そういうものだとされてきました。
AGNI(アグニ)は、その針葉樹を焚くために生まれた薪ストーブです。できる理由は、素材と構造の2つだけ。難しい話は抜きにして、順番に説明します。
戦後に植えたスギ・ヒノキが育ちきり、間伐した木の行き先がない。岐阜も、岩手も、秋田も同じです。
創業1560年。お寺の釣鐘と、マンホールの蓋を鋳ってきた岐阜の岡本が、AGNIを鋳ています。
マンホールの蓋と同じ「ダクタイル鋳鉄」。この素材で薪ストーブを鋳っているのは、岡本だけです。
※「世界唯一」は、ダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)で薪ストーブを製造しているのは自社のみとする、株式会社岡本の公表にもとづく表現です。
日本は国土の約7割が森林です。そのうちのかなりの面積が、戦後に人の手で植えたスギ・ヒノキの人工林。建材にするつもりで植えた木が育ちきり、いま、間伐の時期を迎えています。
ところが、間伐した木の行き先がない。細い木、曲がった木、枝の部分。建材にならないものは、山に置いたままになりがちです。手が入らない森は暗くなり、下草が生えず、根が張らない。雨が降ったときに土を留める力も落ちます。岐阜も、岩手も、秋田も、同じ景色です。
薪にすればいい、と誰でも思います。けれど薪ストーブの側が受けつけませんでした。針葉樹はヤニを含み、火がつきやすいかわりに一気に燃えます。炉内が高温になり、鋳物が傷む。煙突にすすも溜まりやすい。だから多くのメーカーは「広葉樹をお使いください」と書いてきました。いちばん身近な木が、いちばん使えない木だったわけです。
AGNIは、ここを引き受けるために作られた薪ストーブです。針葉樹の高温に耐えて、しかもきれいに燃やしきる。そのために選ばれたのが、次の素材でした。
AGNIを鋳るのは、岐阜の株式会社岡本。創業は永禄3年、西暦1560年です。桶狭間の戦いと同じ年に、初代・岡本太右衛門が鋳造業を始めました。以来ずっと、お寺の梵鐘(釣鐘)を鋳ってきた会社です。
そしていまは、マンホールの蓋も作っています。道路に埋まっている、あの丸い鉄の蓋です。大型トラックが上を通っても、割れない。何十年も雨風にさらされて、割れない。あれと同じ鋳物で、AGNIの本体はできています。
釣鐘の技術というのは、大きなものを、継ぎ目なく、肉厚のまま一体に鋳る技術です。AGNIの燃焼室の内箱が継ぎ目のない一体構造(AGNI Bell Cast)なのは、この延長線上にあります。鋼板をセメントで貼り合わせた箱でも、セラミックを組んだ炉でもありません。
薪ストーブの会社が鋳物も作っているのではなく、450年鋳物だけをやってきた会社が、薪ストーブを鋳っている。順番が逆なのです。
ここが、この話のいちばん大事なところです。まず、中学1年生にもわかる言い方で。そのあと、専門的なところまで書きます。
まず、やさしい話から
鋳物(いもの)は、純粋な鉄のかたまりではありません。鉄の中に「炭素」が混ざっています。えんぴつの芯と同じ、あの黒い炭です。
溶けた鉄が冷えて固まるとき、この炭素は鉄の中に溶けきれなくなって、粒になって出てきます。これを黒鉛(こくえん)といいます。鉄の地の中に、黒い粒がぱらぱら散らばっている——それが鋳物の中身です。
ここからが本題です。この黒鉛は、二通りのかたちで出てきます。
ひとつは、せんべいのかけらのように、薄く平べったいかたち。もうひとつは、ビー玉のように、まるいかたち。同じ量の炭素でも、このかたちが違うだけで、鉄の強さがまるで変わります。
板チョコを思い浮かべてください。板チョコに溝が入っていると、指で押しただけでその線に沿ってパキッと折れます。薄く平べったい黒鉛は、鉄の中でこの溝と同じ働きをします。力がかかると、溝の先から割れが走っていく。硬いのに、あっけなく割れる。
まるい黒鉛には、この溝がありません。ビー玉をいくら並べても、折り線にはならない。だから鉄そのものの粘りが残り、力がかかっても曲がるだけで折れません。
ふつうの鋳物 = 溝が入った板チョコ。
ダクタイル鋳鉄 = 溝のない、まるい粒入りの鉄。
AGNIは、後ろのほうです。
言葉を正しくすると、こうなります。前者をねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄・JIS記号 FC)、後者をダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄・JIS記号 FCD)といいます。
板ガラスに、細かいヒビが無数に入っている状態を想像してください。ヒビの先には力が集まります。少し力がかかっただけで、そこから一気に割れが走る。ねずみ鋳鉄の中では、薄い板状の黒鉛がこのヒビと同じ働きをします。硬いのに、粘りがない。急に熱くしたり冷やしたりすると割れるのは、これが理由です。
溶けた鉄にマグネシウムを加えると、黒鉛が球のかたちで固まります。球には、力の集まる先端がありません。だから割れの起点にならず、鉄そのものの粘りがそのまま出る。ductile =「よく伸びる」という名前は、ここから来ています。マンホールの蓋や水道管に使われているのは、この鋳鉄です。
薪ストーブの本体に使われてきたのは、ほとんどが前者です。ダクタイル鋳鉄で薪ストーブを鋳っているのは、岡本だけ。素材そのものが、ほかと違います。
鉄に炭素が約2.1%を超えて含まれるものを鋳鉄と呼びます(それ以下は鋼)。実用の鋳鉄はおおむね炭素2.5〜4%。炭素は鉄に溶けきらず、凝固のときに黒鉛として晶出します。この黒鉛のかたちと、まわりを取り巻く鉄の組織(基地組織)で、鋳鉄の性格が決まります。
片状黒鉛は、厚みに対して長さが何十倍もある薄い板です。黒鉛そのものには強度がほとんどありません。つまり鉄の中に、あらかじめ入っている微小な亀裂と同じことです。
材料力学でいう応力集中が起きます。物体に切欠き(ノッチ)があると、その先端に力が集中する。先端が鋭いほど集中の度合いは大きくなります。片状黒鉛の先端は非常に鋭いため、平均の何倍もの応力がそこにかかり、亀裂がつながって一気に破断します。ねずみ鋳鉄が「硬いのに脆い」のは、強度が低いからではなく、内部に切欠きを抱えているからです。
球状黒鉛には、この鋭い先端がありません。球のまわりでは応力が分散し、亀裂の起点になりません。基地組織の粘りがそのまま材料の粘りとして出てきます。
自然に任せれば、黒鉛は片状で出ます。球にするには、溶けた鉄(溶湯)にマグネシウムを添加します。Fe-Si-Mg合金などの形で入れると、溶湯中の硫黄と酸素が取り除かれ、黒鉛が表面張力で球になろうとする。1948年に確立された技術で、これがダクタイル鋳鉄の始まりです。
添加のあとに接種(Fe-Siなどを加える処理)を行い、黒鉛の核を細かく多く分散させます。処理が甘いと球にならない黒鉛が混じるため、球状化率という指標で管理されます。溶湯の温度、成分、時間、注湯までの間隔——どれが狂っても球にならない。ここが、450年の鋳造技術がものを言うところです。マグネシウムを入れれば誰でも作れる、という材料ではありません。
黒鉛のまわりの鉄は、フェライト(やわらかく粘りがある)とパーライト(硬く強い)の割合で性格が変わります。フェライトが多いほどよく伸び、パーライトが多いほど強く硬くなる。JIS G 5502 の材質記号が FCD400-18/FCD450-10/FCD600-3/FCD700-2 …と続くのは、この配合の違いです。数字が「強さ-伸び」の組み合わせで書かれているのは、鋳物屋がこの二つを設計できるからです。
| ねずみ鋳鉄 FC200 相当 | ダクタイル鋳鉄 FCD450-10 相当 | |
|---|---|---|
| 黒鉛のかたち | 片状(薄い板) | 球状 |
| 引張強さ | 200 N/mm² 以上 | 450 N/mm² 以上 |
| 伸び | 規格に規定なし (実際にもほぼ伸びない) | 10 % 以上 |
| ヤング率(縦弾性係数) | およそ 100〜120 GPa (応力で変化する) | およそ 160〜170 GPa (鋼に近い) |
| 熱伝導率 | およそ 45〜50 W/(m・K) こちらが有利 | およそ 30〜36 W/(m・K) |
| 振動の吸収(減衰能) | 高い/こちらが有利 | ねずみ鋳鉄より低い |
| 繰り返しの加熱冷却 | 亀裂が進みやすい | 亀裂が進みにくい |
→ 横に動かすと、続きが見えます
※ 引張強さと伸びはJISの規定値。ヤング率・熱伝導率・減衰能は規格の規定ではなく、材料として一般に知られている代表値です。実際の値は成分と鋳造条件で変わります。
上の表のとおり、熱の伝わりやすさと振動の吸収は、片状黒鉛のほうが上です。薄い板状の黒鉛が鉄の中で網の目のようにつながっていて、熱の通り道になるためです。工作機械のベッドにねずみ鋳鉄が使われるのは、この減衰能のためです。
では、なぜAGNIはあえて熱伝導で不利なダクタイル鋳鉄を選んだのか。針葉樹を焚くと決めたからです。針葉樹は炉内を高温にします。熱の伝わりやすさより、その温度と、毎日の伸び縮みに耐えることのほうが先だった。
そして、熱伝導のハンデは形で取り返しています。AGNIの本体表面が細かい凹凸になっているのは、放熱する面積を稼ぐためです。平らな本体のおよそ2倍と言われる放熱量は、ここから来ています。ダクタイル鋳鉄は薄く軽く鋳れるので、こういう複雑な形が作れる。素材の弱点を、鋳物の技術で埋めているわけです。
薪ストーブは、朝に火を入れて夜に落とす。それを冬じゅう、何年も繰り返します。鉄は熱で伸び、冷えて縮む。この繰り返しで少しずつ亀裂が育っていくことを熱疲労といいます。薪ストーブの本体が割れるのは、たいていこれです。
伸びる余地のない材料は、伸び縮みの分を全部「割れ」で受けるしかありません。10%以上伸びる材料は、その分を変形で吸収できます。カタログの出力や効率には出てこないところですが、10年20年で差が出るのはここです。
もうひとつ、鋳鉄には成長という現象があります。高温にさらされ続けると内部が酸化して体積が増え、寸法が狂っていく。ねずみ鋳鉄は黒鉛の片が酸素の通り道になるため、これが起きやすい。球状黒鉛にはその通り道がありません。天板が700℃まで上がっても変形しないという話は、ここまで含めた話です。
ねずみ鋳鉄は、熱をよく通し、振動を吸い、安く作れる、よくできた材料です。ただし内部に切欠きを抱えているという一点だけが、薪ストーブとは相性が悪かった。
ダクタイル鋳鉄はその切欠きを球に変えた材料で、強さは約2倍、伸びは10%以上。マンホールの蓋や水道管に使われているのは、割れては困るからです。その鋳物で薪ストーブを鋳っているのが、岡本だけ。だからAGNIは、針葉樹の高温を毎日受けても壊れません。
「粘りがある」「割れにくい」だけでは、売り文句と区別がつきません。数字で見ます。鋳鉄の強さは日本産業規格(JIS)で材質ごとに決められていて、二つの鋳物は別の規格で扱われています。
ふつうの鋳物(JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品/FC200)の引張強さ。記号の数字が、そのまま最低の強さです。
ダクタイル鋳鉄(JIS G 5502 球状黒鉛鋳鉄品/FCD450-10)の引張強さ。おなじ鋳物で、およそ2倍です。
そのFCD450-10の伸び。記号の後ろの数字がそれです。ねずみ鋳鉄の規格には、そもそも伸びの規定がありません。
最後の一行が、いちばん物を言っています。JIS G 5501 に伸びの欄がないのは、引っ張ってもほとんど伸びずに割れてしまうからです。定める意味がない。いっぽう JIS G 5502 では、伸びが材質記号そのものに入っている。FCD450-10 の「10」が伸び10%以上、FCD400-18 なら18%以上。伸びを名前に入れている材料と、伸びを測らない材料。そのくらい、性格が違います。
薪ストーブは、朝に火を入れて夜に落とす。それを毎日、何年も繰り返す道具です。鉄は熱で伸び、冷えて縮む。この伸び縮みを吸収できるかどうかが、10年後20年後のクラックを決めます。
この下で、鋳物の違いをさらに詳しく(比較表・規格の読み方)↓天板は350℃で常用できます。料理をする方はここを使い込みますが、AGNIは熱のかかる部分にもダクタイル鋳鉄を使っているので、700℃まで上がっても変形しません。ふつうの鋳物なら反ったり歪んだりする領域です。
これは性能自慢というより、安心の話です。薪ストーブでいちばん多い壊れ方は、焚きすぎによるクラックと歪みです。うっかり空気を開けすぎた、乾いた針葉樹をたくさん入れてしまった——そういうときに差が出ます。AGNIは、その一回で壊れません。
そして本体の表面は、細かい凹凸にしてあります。熱を放つ面積が増えるので、放熱量は平らな本体のおよそ2倍と言われます。同じ薪の量でも、部屋への熱の届き方が変わります。ダクタイル鋳鉄は薄く軽く鋳れるので、こういう形が作れるわけです。
もうひとつ。国産である、ということ。設計も鋳造も国内なので、部品の供給と修理の見通しが立ちます。20年30年と焚き続ける道具では、これがいちばん効いてきます。Dスタイルは盛岡から岩手県全域・秋田・青森へ、導入後の点検・煙突掃除・修理まで続けて伺います。
素材が耐えるようになっても、それだけでは足りません。針葉樹をクリーンに燃やしきるには、空気を細かく、正確に操れることが要ります。ここで効いてくるのが、釣鐘の技で鋳った継ぎ目のない内箱です。継ぎ目がなければ空気が漏れない。漏れなければ、絞った空気が狙ったところに届く。
そのうえで、薪を3段階に分けて燃やします。1次燃焼で火をつけ、2次燃焼(クリーンバーン)で未燃ガスを燃やし、3次燃焼で触媒に通して残りまで燃やしきる。だから少ない薪で長く暖かく、煙もすすも少ない。
ここから下は、その中身です。図と写真で、ひととおり見ていただけます。
AGNIの中身は、釣鐘の技で肉厚一体に鋳込んだ内箱(AGNI Bell Cast)と、薪を3段階で燃やしきる構造。気密が高いから空気を絞れて、絞れるから燃やしきれる。少ない薪で長く暖かく、排気もきれい。鋳鉄ストーブで針葉樹を扱えるのも、ここに理由があります。

AGNIの燃焼室の内箱は、釣鐘を鋳ってきた岡本の成形技術で、肉厚のまま一体に鋳込まれています。鋼板をセメントで貼り合わせた箱でも、セラミックを組んだ炉内でもありません。継ぎ目がないぶん空気が漏れず、かつてないほど気密が高い。
気密が高ければ、わずかな空気まで正確に操れます。ここがAGNIの出発点です。この先に出てくる高効率な燃焼も、覆いかぶさるような炎も、針葉樹を焚けることも、すべてこの構造から生まれています。



前面の吸気口から新鮮な空気を送り、薪に火を回します。

背面の空気をバッフル板で加熱し、未燃ガスを再燃焼。窓の曇りも防ぎます。

整えた空気を触媒に通し、残ったガスまで燃やしきる。空気を絞っても機能します。
通常の燃焼ではなく、ゆらゆらとした揺らぎや、上から覆いかぶさるような優雅な動きを見せる燃焼状態。幻想的で、その炎に魅せられる人が多く、特別な時間をもたらしてくれます。
この美しい炎は、燃焼温度と空気の吸気量の条件が整うと出現します。高温燃焼時に吸気量を減らすエアー調整をすることで、ゆっくりと燃焼させる——つまり効率の高い燃焼です。AGNIは Bell Cast の気密で、少ない空気を正確に制御できます。だから高効率な燃焼状態を保てて、この炎を容易に楽しめます。



※ 写真:AGNI(株式会社岡本)。炎の見え方は薪の種類・乾燥度・空気の調整により変わります。
空気を精密に操れると、薪を最後まで燃やしきれます。1次→2次→3次で未燃ガスまで燃やすAGNIは、燃焼効率85.7%(AGNI-C)。燃え残りが少ないから、煙も、すすも少ない。
煙が少ないことは、ご近所への配慮になり、煙突も汚れにくく、掃除もラクになります。そして大気に出ていくのは、きれいな排気。メーカー・岡本の言葉を借りれば 「クリーンバーンで、完全燃焼ときれいな排気」。それが、AGNIのめざす燃え方です。

AGNIは、針葉樹燃焼にも対応しています。針葉樹は、高温燃焼になり炉内を痛めやすい、早く燃え尽きやすいという欠点があります。けれどAGNIの内箱肉厚構造は、一般的な薪ストーブに用いられるセメント接着された鋼板構造やセラミック素材などと比べて、長期の使用にも耐える堅牢な構造と気密性を備えています。だから、繊細な空気制御を必要とする針葉樹燃焼を可能にしているのです。
さらに AGNI Bell Cast とあわせて、独自の高効率燃焼システム AGNI Burning Efficiency によって、高い省エネ燃焼を実現しています。
創業は永禄3年(1560年)。初代・岡本太右衛門が岐阜で鋳造業を興してから450年以上。AGNIを鋳るのは、その岡本です。釣鐘を鋳ってきた技が、ストーブの一体構造に受け継がれています。
創業は永禄3年(1560年)。お寺の梵鐘(釣鐘)を鋳てきた岐阜の鋳物師・株式会社岡本が、450年以上受け継いだ技で、AGNIの一体構造を鋳ています。時代が変わっても、火と鉄に向き合う手は変わりません。



写真:株式会社岡本の鋳造工程。AGNIは、この一貫した国内生産から生まれます。
岡本が450年つくってきたのは、お寺の釣鐘と、マンホールの蓋です。大型トラックが乗っても割れない、あの蓋。素材はダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)といいます。AGNIは、その鋳物でできています。薪ストーブにこの素材を使っているのは、岡本だけです。
そしてAGNIは、針葉樹を焚くために生まれた薪ストーブです。広葉樹は言うまでもありません。どんな薪もきれいに焚いて、鋳鉄に蓄えて、じわりと放す。それができるのは、素材からして違うからです。
鋳鉄は、鉄に炭素が混ざった鋳物です。この炭素は黒鉛として鉄の中に散らばりますが、そのかたちで、性質がまるごと変わります。
ふつうの薪ストーブに使われる鋳鉄(ねずみ鋳鉄)は、黒鉛が薄い片状で入っています。板のように伸びた黒鉛は、鉄の中では切れ目と同じです。力がかかると、その先端から割れが走る。硬いけれど粘りがなく、急に熱を入れたり冷やしたりするとクラックが入るのは、ここに理由があります。引っ張って切れるまでの伸びは、ほとんどありません。
ダクタイル鋳鉄は、溶けた鉄にマグネシウムを加えて、この黒鉛を球のかたちで晶出させたものです。球は切れ目になりません。だから鉄そのものの粘りが、そのまま出る。引張強さはねずみ鋳鉄のおよそ2倍、伸びは10%以上あります。ductile(よく伸びる)という名前は、ここから来ています。割れの起点がないので、クラックの発生率が桁で下がります。
| ねずみ鋳鉄 一般的な鋳物の薪ストーブ | ダクタイル鋳鉄 AGNI(岡本) | |
|---|---|---|
| 黒鉛のかたち | 薄い片状(フレーク) | 球状 |
| 割れの起点 | 片の先端が起点になる | 起点になりにくい |
| JISの規格 | JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品 | JIS G 5502 球状黒鉛鋳鉄品 |
| 材質記号(例) | FC200 | FCD450-10 |
| 引張強さ | 200 N/mm²(MPa)以上 | 450 N/mm²(MPa)以上 = およそ2倍 |
| 伸び(延性) | 規格に伸びの規定がない (実際にもほとんど伸びない) | 10 % 以上 |
| 熱の出入り | 急な加熱・冷却でクラックが入りやすい | 伸縮を吸収する |
| 使われる場所 | 一般的な鋳物部品 | マンホールの蓋・水道管・自動車の足回り |
→ 横に動かすと、続きが見えます
この数字は、どこから来ているか
鋳鉄の強さは、日本産業規格(JIS)で材質ごとに決められています。上の表は、その規格そのものです。
JIS G 5501「ねずみ鋳鉄品」… FC100・FC150・FC200・FC250・FC300・FC350 と、引張強さで区分されます。記号の数字が、そのまま最低引張強さ(N/mm²)です。FC200なら200N/mm²以上。この規格には、伸びの規定がありません。片状の黒鉛が切れ目のように働くため、引っ張ってもほとんど伸びずに割れてしまい、規格として定める意味がないからです。「1%未満」と書いているのは、そういう理由です。
JIS G 5502「球状黒鉛鋳鉄品」… こちらは記号が2つの数字でできています。FCD450-10 なら、前が引張強さ450N/mm²以上、後ろが伸び10%以上。伸びが記号に入っていること自体が、この材料の性格を示しています。FCD400-15、FCD400-18 のように、さらに伸びる区分もあります。
つまり「ねずみ鋳鉄は伸びない/ダクタイル鋳鉄は10%以上伸びる」は、当社やメーカーの言い分ではなく、規格の書きぶりそのものです。規格票は日本産業標準調査会(JISC)や日本規格協会で誰でも確認できます。
※ AGNIの本体材質は、株式会社岡本が「ダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)」と公表しています。JIS G 5502 のどの記号にあたるかは公表されていないため、上の FCD450-10 は同規格の代表的な区分として挙げたものです。鋳造条件によって実際の値は変わります。

AGNIを鋳る株式会社岡本の取り組みは、地元・岐阜新聞にも取り上げられました。450年の鋳物技術から生まれた高効率・高品質のAGNIは、いま海を越えて注目されています。その一台を、岩手・盛岡のDスタイルがお届けします。

日本は国土の約7割が森林の国。戦後に植えたスギ・ヒノキが育ちきり、間伐と利用を待っています。手を入れた森は明るくなり、若い木が育ち、土砂災害にも強くなる。
AGNIは、その針葉樹を薪にできます。「燃やしにくい」とされてきた杉・ヒノキをクリーンに燃やしきる。地元の間伐材を暖かさに変えることは、燃料コストの面でも、岩手・秋田・青森の森を守る面でも理にかなった選択です。薪は燃やしても、森が吸収する分とつり合うカーボンニュートラルな燃料です。

薪が放出するCO₂と、森が吸収するCO₂はつり合う(カーボンニュートラル)
OFFICIAL DEALER ─ 岩手県盛岡市
盛岡市厨川、国道4号線沿い。岩手県盛岡市で唯一のAGNI正規代理店として、選定から現地調査、煙突の設計、施工、そのあとの点検・煙突掃除・修理まで、ぜんぶ当社で引き受けます。売って終わりにしません。岩手県全域から秋田県・青森県まで伺います。
価格・寸法図・全仕様は各機種のページに載せています。 AGNI-C / AGNI-CC / AGNI-HUTTE
Fuel & Care ─ 買ったあとも、ずっと。
人が生きるのに衣食住が欠かせないように、薪ストーブにも薪サウナにも、「薪という燃料」と「メンテナンス」は必ずついてきます。売って終わりの店では、そこで行き詰まる。D'STYLEは、この2つを自社で持っているから、火のある暮らしを、買ったその先まで支え続けられます。ここが、当社の強みです。
薪の販売はもちろん、ご自宅の薪棚のそばまで届ける配達、原木の販売、薪割り機のレンタルまで。燃料の心配をせずに、火のある暮らしを続けられます。ストーブが他社の一台でも、薪だけのご購入でも、大歓迎です。
薪の販売・配達を見る →煤や煙道火災のリスクは、定期的な煙突掃除と点検で防げます。他社で入れた一台も含め、点検・部品交換・修理まで対応。長く、安全に焚き続けられます。
メンテナンス・煙突掃除を見る →薪も、掃除も、修理も、ぜんぶ一社で。だから、"売ったあとまで面倒を見られる店"で選んでください。
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ATK指数 ─ この一台の「暖かさの質」
暖かさの質(当社独自の指数)
メーカー非公表のため、適正坪数は算出できません
なぜ 87 ATK? ─ 暖かさの質の内訳
ゆえに、87 ATK。一体成型鋳鉄+強い凹凸で、輻射を広く届ける一台です。
計算式の全文・全機種の比較はこちら →値段のことも、面倒なところも、先に出しておきます。読んだうえでご相談いただいた方が、話が早く進みます。
薪ストーブ・サウナ・ペレットの対応エリア岩手県・青森県・秋田県の全域と、宮城県・山形県の一部エリアに対応しています(県名をタップで市町村一覧)。
写真ではわからないことが、いくつもあります。熱の届き方、はぜる音、部屋のにおい。盛岡・国道4号線沿いのショールームで、実際に焚いています。ご相談は無料です。
岩手県・青森県・秋田県の全域と、宮城県・山形県の一部エリアへ伺います。
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