サウナのベンチに直に腰をおろす前に、フィンランドの人はたいてい一枚の敷物を手にします。サウナマットです。木のベンチと体のあいだに敷く、小さな布や専用のマット。地味な道具ですが、あるとないとで、サウナの心地よさはずいぶん変わります。地味ですが、知れば知るほど奥のある道具です。今日は、この小さな一枚の話をします。
なぜ、直に座らないのか
フィンランドのサウナには、ベンチに直接腰をおろさず、必ず敷物を敷くという習慣があります。理由はいくつかあります。ひとつは衛生です。汗が木のベンチにしみ込むのを防ぎ、次に座る人も気持ちよく使えます。公共のサウナでは、これがマナーとして根づいています。もうひとつは、熱さから体を守るためです。上段のベンチはかなり熱くなり、木肌に直に座ると熱く感じることがあります。一枚敷くだけで、その熱がやわらぎ、腰を落ち着けていられます。小さな布が、体とサウナのあいだにちょうどいい距離を作ってくれます。
素材で、座り心地が変わる
サウナマットには、いくつかの素材があります。定番は、リネンやコットンの布です。汗をよく吸い、洗いやすく、清潔に保てます。フィンランドの家庭では、使い古したタオルを一枚、サウナ用に決めておくことも多いようです。専用のマットには、断熱性のあるフォーム素材のものもあり、これは熱をしっかり遮り、軽くて持ち運びやすいのが魅力です。座布団のように厚みのあるものを選べば、木のベンチの硬さもやわらぎ、長い時間でも腰が疲れません。素材ひとつで、同じベンチがまったく違う居心地になります。肌ざわりの好みもありますから、いくつか触れて、自分にしっくりくる一枚を見つけるのも楽しいものです。
一枚あると、どこでも整う
サウナマットの良さは、持ち運べることです。銭湯やサウナ施設、テントサウナ、旅先のサウナ。どこへ行くにも、お気に入りの一枚を鞄に入れておけば、いつでも自分の定位置を作れます。熱いベンチも、見知らぬ場所も、その一枚を敷いた瞬間に、自分のくつろげる場所に変わります。小さな道具ですが、サウナに慣れた人ほど、この安心感を大切にします。折りたためばかさばらず、洗えば繰り返し使えます。長く付き合える相棒になってくれます。
洗って、清潔に保つ
サウナマットは、汗を受けとめる道具です。だからこそ、清潔に使いたいものです。布のマットなら、使ったあとにさっと洗い、よく乾かせば、いつもさわやかな一枚で座れます。フォーム素材のものも、水でぬれても平気なので、流して干すだけで手入れがすみます。洗い替えを何枚か用意しておくと、毎日でも清潔なマットで入れます。手入れのしやすさは、道具を長く使ううえで大切な点です。清潔な一枚は、サウナの心地よさをいっそう深めてくれます。汗を気持ちよく受けとめてくれる敷物があるだけで、サウナへ向かう気持ちも軽くなります。
家のサウナでも、あると心地いい
自宅のサウナでも、マットは活躍します。家族で使うなら、一人ずつ自分の敷物を持てば、順番に入っても気持ちよく使えます。汗がベンチにしみ込みにくくなるので、木のベンチを長持ちさせることにもつながります。掃除の手間も軽くなります。小さな心づかいですが、こうした積み重ねが、家のサウナを毎日でも入りたい場所にしてくれます。道具をひとつずつそろえ、暮らしになじませていく時間もまた、サウナの楽しみのひとつです。
心地よい一枚から、サウナのある暮らしへ
たった一枚の敷物が、サウナの居心地を大きく変えてくれます。道具を少しずつそろえていく時間も、サウナの楽しみです。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビアのサウナヒーターで、こうした細やかな心地よさまで含めた、サウナのある暮らしをご提案しています。道具選びの話も、店でどうぞ。
写真: Jeff Reuben (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



