サウナ室の熱は、上にたまります。天井近くと床近くでは、温度差が10度どころか20度になることも。ということは、同じベンチにいても、体の姿勢しだいで、浴びる熱はまるで変わるのです。今日は、サウナ室の姿勢学。座り方を変えるだけで、いつものサウナに新しい引き出しが増えます。

熱は、なぜ上にたまるのか
まず、種明かしから。温められた空気は軽くなって上へのぼり、冷えた空気は重くなって下へ沈みます。この空気の入れ替わり、いわゆる対流のせいで、サウナ室は天井付近がいちばん熱く、足元がいちばんぬるい層に分かれるのです。ロウリュで生まれた蒸気も、まず天井へ立ちのぼって、そこから降りてくる。フィンランドのサウナで、熱を浴びたいときほど上の段へ、と言われるのもこのためです。この「熱の地層」を味方につけるのが、姿勢の工夫というわけです。頭を守り、足を上げる。基本の原理は、たったこれだけです。
ふつうに腰掛けると、頭だけ熱い
いちばん多い座り方、ベンチに腰掛けて足を下ろす姿勢。実はこれ、熱の浴び方としては、いちばんムラのある姿勢です。頭は熱い層に、足先は冷たい層に。頭がのぼせてきたのに、足はまだ冷たいまま、という経験はありませんか。あれは姿勢のせいです。もちろん、楽で安定した基本姿勢ではあるので、悪いわけではありません。サウナハットで頭を守れば、ムラはだいぶ緩和されます。(ハットの話は、こちら。)
あぐらは、熱ムラを減らす名手
そこで、あぐらです。ベンチの上に足ごと上げてあぐらをかくと、足先が頭に近い高さに上がり、全身がほぼ同じ熱の層に入ります。足まで一緒に温まるので、体全体が均等に仕上がっていく。骨盤を立てて座れば腰も楽で、ストレッチや呼吸との相性もいい。フィンランドでもおなじみの座り方です。バスタオルを一枚厚めに敷いて、行儀よくどうぞ。膝を抱える体育座り、体をいちばん小さくまとめる胎児のような姿勢も、熱を包み込む同じ効果のあるかわいい座り方です。(呼吸の話は、こちら。)
寝サウナは、究極の均一
そして、寝サウナ。ベンチに横になれば、頭から爪先まで、完全に同じ高さ、同じ熱。全身がひとつの毛布にくるまれたような、均一なあたたまり方は、一度知るとやみつきです。ただし、これは空いているとき、または貸切・自宅サウナの特権。混んだ施設で場所を占領するのは無作法です。そして大事な注意をひとつ。寝サウナから起き上がるときは、必ずゆっくり。横になった体勢から急に立つと、立ちくらみが出やすくなります。一度座って、ひと呼吸おいてから立つ。これを癖にしてください。
今日の体に、今日の姿勢
基本の腰掛け、均一のあぐら、ごほうびの寝サウナ。同じ部屋に、三つの熱の浴び方があります。足先が冷えている日はあぐらから、疲れた夜は最初から寝サウナで。姿勢の引き出しを持つと、サウナはまた一段、自分の道具になります。もうひとつ足すなら、足を前のベンチや壁にそっと預けて、少しだけ高くしてみる。足がむくみやすい人には、これだけでも心地よさが変わります。同じ90度の部屋が、姿勢ひとつで何通りにも表情を変える。この小さな発見が、サウナ通いを飽きさせません。自宅サウナなら、誰にも気兼ねなく全部試せます。(自分の適温探しの話は、こちら。)
寝転べるサウナという、おすすめ
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写真: Visa580 (Wikimedia Commons, CC BY 2.5)



