サウナの道具というと、ハットやアロマが注目されがちですが、実はいちばんの働き者は、もっと地味な顔をしています。タオルです。敷いて、拭いて、巻いて、包む。サウナの時間の最初から最後まで、ずっと肌のそばにいる布。今日は、この一枚の布の話をさせてください。布にこだわると、サウナは、もうひと味変わります。

敷く一枚は、マナーであり快適さ
サウナ室のベンチに、タオルを一枚敷いて座る。これは汗をベンチに残さないための基本のマナーであると同時に、自分の快適さの土台でもあります。熱くなった木に直接触れず、ちょうどいい肌ざわりで座れる。フィンランドでは、ペフレッティと呼ばれる敷き布を使うのが習慣で、使い捨ての紙製から、洗って繰り返し使う布製まで、みんな自分の一枚を持ってサウナに入ります。敷く布が決まっている人のサウナは、所作がきれいです。熱で温まった木肌に、汗や皮脂を残さない。それは次に使う人への心づかいであり、木を長持ちさせる手入れにもつながります。(本場の入り方は、こちら。)
リネンという、蒸気の相棒
サウナの布としていちばん相性がいいのは、リネン、つまり麻だと私たちは思っています。リネンの原料は亜麻という植物で、その繊維は人類最古の布のひとつ。古代エジプトでミイラを包んだのも亜麻布でした。北欧やバルトの国々でも、亜麻は暮らしを支えた作物です。リネンは吸水が早く、乾きも早く、濡れても肌に張りつきにくい。ざっくりした織りの風合いは、蒸気の中でさらりと涼しげです。体に巻くサウナラップなら、家族やお客さんとのサウナでも気楽で、湯上がりにそのまま外気浴へ出られます。肌にまとわりつかず、汗をかいてもべたつかない麻の感触は、高温多湿の蒸気の中でこそ、ほんとうの値打ちを見せてくれます。
拭く布は、押さえるために
サウナから水風呂へ行く前に、汗をさっと拭う小さな一枚。外気浴の前に、体の水気を押さえる一枚。この「拭く布」は、ごわごわより、やわらかいものを。温まった肌は繊細なので、こすらず、押さえるように使います。よく乾いたタオルで水気を取ってから外気浴に出ると、冬でも体が冷えすぎず、ととのいの時間を長く楽しめます。(サウナ後の肌ケアの話は、こちら。)
一枚を、育てるように使う
リネンの美徳は、使い込むほどにやわらかくなること。おろしたては少し硬いのですが、洗って、乾かして、また使ううちに、繊維がほぐれて、くったりと体になじんでいきます。何年も洗いざらしたリネンは、もはや相棒です。使ったあとはよく乾かして風を通し、湿ったまま畳まない。この手入れさえ守れば、一枚は驚くほど長く付き合ってくれます。道具を育てる楽しみは、サウナの時間そのものを深くしてくれます。新品を次々に買い替えるより、一枚を長く育てるほうが、味わいも愛着も深くなる。道具と長く付き合えることは、サウナ好きの隠れたぜいたくです。
白い布が並ぶ、幸せな景色
そして、これはサウナのある暮らしの、ささやかな幸福のひとつ。天気のいい日に、サウナ用のタオルとリネンが物干しで白く揺れている景色は、なんとも言えず、いいものです。今夜もサウナに入るぞ、という予告のような、洗いたての布の匂い。サウナの気持ちよさは、こういう暮らしの手ざわりの積み重ねでできています。
布から始める、サウナ支度
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、サウナ本体の設置はもちろん、タオルやリネンといった身の回りの支度のご相談にも乗っています。まずはお気に入りの一枚から、サウナ支度を始めるのも、おすすめです。布一枚から、ようこそ、サウナの世界へ。



