サウナをもっと深く楽しむための道具は、いろいろあります。サウナハット、ヴィヒタ、アロマ。でも実は、いちばん効く道具を、私たちは生まれたときから持っています。呼吸です。お金もかからず、忘れ物の心配もない。それなのに、ほとんどの人が、サウナ室で自分の呼吸に気づいていません。今日は、サウナと呼吸の、静かで深い話をさせてください。
熱い部屋では、吐く息から
サウナ室に入って、ベンチに腰を下ろしたら、まず、ゆっくり息を吐いてみてください。吸うことより、吐くことから。細く、長く、体の中の空気を全部出すつもりで。すると、次の息は、勝手に深く入ってきます。
ゆっくり吐く呼吸には、体の緊張をほどく働きがあると言われています。息を吐いているあいだ、体は「休んでいい」という合図を受け取る。熱いサウナ室で、あえてゆったりと長い息を吐いていると、熱さへの身構えがほどけて、熱が、圧力ではなく、心地よさとして入ってくるようになります。熱いのを我慢するのではなく、熱と一緒に呼吸する。この感覚がつかめると、サウナは一段、深くなります。
ロウリュは、鼻で味わう
ロウリュの蒸気が降りてきたら、ぜひ、鼻でゆっくり吸ってみてください。湿り気を帯びた熱い空気が、鼻の奥を通っていく感覚。木の香りと、蒸気のまろやかさ。ロウリュは肌で浴びるものと思われていますが、半分は、呼吸で味わうものです。アロマを垂らしたロウリュなら、なおさらです。ユーカリや松の香りが、呼吸のたびに、胸の奥まで届いていく。(香りの話は、サウナのアロマに詳しく。)
水風呂は、息を止めない
水風呂が苦手な方に、いちばん効くコツも、呼吸です。冷たい水に入る瞬間、人はどうしても息を止めてしまいます。息を止めると、体はますます緊張して、冷たさが痛みに変わる。だから、逆をやります。入る前にひとつ深呼吸、入りながら、ふーっと細く吐き続ける。吐いているあいだは、体がこわばりきらないので、冷たさの角が取れて、あの「羽衣」の静けさに、すっとたどり着けます。水風呂の達人たちが涼しい顔をしているのは、我慢強いからではなく、呼吸が上手だからです。
外気浴は、空に向かって
そして、外気浴。ここでの呼吸は、もう、何も工夫しなくていい。椅子に体をあずけて、空を見て、体がしたいように呼吸をさせてあげるだけです。サウナと水風呂を経た体の呼吸は、驚くほど静かで、深くなっています。その自分の息の音に、ただ耳を澄ませる。息が、ゆっくり出たり入ったりしている。それだけのことが、こんなに気持ちいいのかと驚く。それが、ととのいの入口です。(ととのうの正体もあわせてどうぞ。)
呼吸を思い出す場所
考えてみれば、私たちは一日に何万回も呼吸をしているのに、自分の息に気づく瞬間は、ほとんどありません。サウナは、その呼吸を思い出させてくれる、数少ない場所です。スマホの通知も、仕事の続きも入ってこない熱い小部屋で、ただ、吸って、吐く。これは、道具のいらない瞑想です。難しい作法は何もいりません。今夜のサウナで、まず、ひとつ長い息を吐くところから。
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、この「呼吸を思い出す部屋」の設置をお手伝いしています。毎日の暮らしの中に、深い呼吸の時間を。おすすめの一台のご相談、いつでもお待ちしています。



