「サウナって、何度がいいんですか?」。よくいただく質問ですが、私たちの答えはいつも同じです。「あなたの気持ちいい温度が、正解です」。突き放しているのではありません。サウナの温度に、万人共通の正解は本当にないのです。今日は、その「自分の適温」の見つけ方の話。自宅サウナを持つ方には、いちばん実用的な話になるはずです。

適温は、人の数だけある
同じ80度でも、汗のかきやすさ、体格、年齢、その日の体調で、感じ方はまるで違います。熱がりの人の70度と、寒がりの人の90度が、同じ「気持ちいい」だったりする。施設のサウナは万人向けの一つの温度しか出せませんが、自宅サウナの最大の贅沢は、この温度の主導権が自分にあることです。主導権を持ったら、次は探し方です。
低めから始めて、上げていく
探し方の鉄則は、低い方から。まず70度前後に設定して、ロウリュありで数回入ってみる。物足りなければ5度上げる。ちょうどよければ、そこがひとまずの基準値です。高い方から下げてくる探し方は、無理と我慢が混ざるのでおすすめしません。低い温度から少しずつ体を慣らしていくほうが、のぼせにくく、長く気持ちよくいられます。急がず、一週間ほどかけて自分の基準を見つけるつもりで。「もう少し欲しいな」を数回重ねてたどり着いた温度は、体が納得している温度です。数字の自慢のための温度ではなく、毎日入りたくなる温度を探してください。(体感温度の理屈は、こちら。)
本場フィンランドは、意外と低い
「サウナといえば熱いもの」と思っている方には、少し意外な話です。本場フィンランドの家庭のサウナは、日本の施設よりむしろ低めで、七十度台から八十度くらいで楽しむ人が多いのです。低めの温度に、ロウリュでたっぷり湿度を足す。この組み合わせが、彼らの日常の入り方です。日本の施設で九十度から百度が主流になったのは、乾いた熱で短い時間に汗を出す方式が広まったから。どちらが正しいという話ではありませんが、「もっと低くてもいい」と知っておくだけで、適温の選択肢はぐっと広がります。無理なく毎日入れる温度こそ、本場の知恵なのです。
変数は、温度だけではない
そして、覚えておいてほしいのは、いじれる変数が三つあることです。一つ、温度。二つ、湿度。ロウリュの量で、同じ温度でも体感は大きく動きます。低め設定+多めロウリュの「やわらか熱」は、フィンランドの家庭の定番です。三つ、座る高さ。上段と下段では体感で10度以上違うこともある。家族で適温が違っても、段で調整すれば同じ部屋で共存できます。温度計の数字は一つでも、部屋の中には何通りもの熱がある。これがサウナの面白いところです。
適温は、動くもの
最後に、見つけた適温は、固定ではありません。真夏と真冬、元気な日と疲れた日、朝と夜で、ちょうどいいは動きます。疲れた夜は5度下げる。雪の日は少し上げて、外気浴を長めに。食後や飲酒のあと、寝不足の日も、いつもの温度が急に高く感じられることがあります。そんな日は、体の声に素直に従って、低めに、短めに。無理をしない日をつくれるのも、主導権が自分の手にあるからです。この微調整ができるようになったら、あなたはもう、自分の体の専属サウナ職人です。(サウナ日記をつけると、この調整が上手になります。日記の話へ。)
主導権のあるサウナを
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写真: valokuvaaja Sonja Lahtinen (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



