薪ストーブでいちばん多い心配が、煙です。 何が入っているのか、なぜ出るのか、日本に決まりはあるのか。 都合の悪いことも含めて、裏の取れたことだけを並べます。
「うちは煙なんて出ていません」と言うお宅と、 「においがする」と言うお隣。どちらも嘘をついていないことがあります。
煙は、燃焼時の不完全燃焼で生じた煤や、低分子量の燃焼生成ガスが縮合してできた微粒子のこと。固体(炭化水素粒子)や液滴(タール粒子)、表面を液体で覆われた固体微粒子の複合体である。
| 大きさ | メートルで書くと | |
|---|---|---|
| 煙の粒子 | 0.1〜1.0μm | 10⁻⁷〜10⁻⁸ m |
| においの分子 | 1Å〜0.1μm | 10⁻¹⁰〜10⁻⁸ m |
だから、煙突から白いものが見えなくなっても、においは先へ行っています。 煙が見えるかどうかで判断すると、話が噛み合いません。
しかも煙の粒子は、大半がさらに小さい。英国政府の委託試験では、木質燃料から出る粒子の65%以上がPM1(直径1μm以下)だった。目に見える煙より、見えない粒子のほうが本体である。
木は、火をつければ燃えるという単純なものではありません。 温度によって、順番に姿を変えていきます。環境省の資料が、その段階を表にしています。
| 段階 | 温度 | 起きていること | 熱 |
|---|---|---|---|
| ① 水分の蒸発 | 100℃以上 | 燃料中の水分が放出される | 熱は吸収され、放出されない |
| ② 可燃性ガスの放出 | 260℃付近 | 熱分解が起きる。化合物が生成・放出される | 熱はあまり放出されない |
| ③ ガスの発火と燃焼 | 280〜660℃ | 290℃以上でタール分が生成。350〜400℃でガス放出が最大。400℃で煙の放出が終了。450℃でタール生成終了 | 燃焼過程を維持できる熱を放出 |
| ④ 木炭の燃焼 | 480℃以上 | 残存固形物がほとんど炎を上げずに燃える | 残存する熱を放出 |
焚きはじめに白い煙が出るのは、この段階を必ず通るからです。 異常ではありません。 問題になるのは、そこから温度が上がらないまま、長く留まってしまうことです。
| 木材の温度 | 起きていること |
|---|---|
| 100℃ | 乾燥による自由水の放出 |
| 150℃ | 結合水の放出 |
| 225℃ | 木材表面での炭化開始 |
| 270℃ | ヘミセルロースが分解を開始 |
| 290℃ | 炭化が緩慢に進行し、少量の気体が放出 |
| 350℃ | 急激な発熱反応が始まる。ガス放出増大、煙の発生開始。表面着火 |
| 400℃ | 熱分解ガスの発生終了。煙の発生終了。木炭のグラファイト化 |
| 450℃ | ガスの放出およびタールの生成終了 |
| 500℃ | 赤熱燃焼による炭の燃焼 |
木材の分解生成物と空気(酸素)によってできた可燃性混合気が引火あるいは発火して、光と炎を発して燃焼する。木材の発熱量の3分の2以上がここで出る。
発光はあるが炎のない燃焼で、一般的には大量の煙の発生を伴う。酸素不足の状態、あるいは可燃性混合気が燃焼限界に達していない状態の燃焼。酸素不足の状態では、空気の供給によって爆発的に燃焼が拡大する危険性がある。
有炎燃焼が終わり、タール類の生成や可燃性ガスの放出が終わったあと、熱分解炭素残渣物の酸化によって起こる燃焼。発光はあるが、一般的な炎の形成と煙の発生はない。
煙がいちばん出るのは、この燻焼のとき。空気を絞りすぎた状態、薪を入れすぎた状態、湿った薪を入れた状態が、これにあたる。そしてこの状態で急に扉を開けて空気を入れると、爆発的に燃え広がる危険がある。扉はゆっくり開ける。
ここは書かない会社が多いところです。けれど、 知らずに使うより知って使うほうがいい。分かっているものを並べます。
完全に燃やしきれば、出るのは二酸化炭素と水になる。上の物質は、燃やしきれなかったときに出る。そして塗装した木・防腐処理した木・合板・ごみを燃やすと、燃やし方に関係なくダイオキシン類や重金属が出る。
これは気持ちの問題ではない。建設解体材・塗装材・処理材・家庭ごみを薪ストーブで燃やす行為は、廃棄物処理法第16条の2が禁じる「廃棄物の焼却」にあたる。同法第25条の罰則は、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(またはその併科)。薪を燃料として燃やすことは焼却にあたらないが、ごみを入れた瞬間に別の話になる。
においについては、査読を通った日本語の論文があります。 公立諏訪東京理科大学の上矢恭子先生たちが、日本火災学会論文集に出したものです。
悪臭防止法が定める特定悪臭物質22種のうち、アルデヒド類を抜き出したもの。どれも「甘酸っぱい、焦げたにおい」と表現されている。
| 物質 | どんなにおいか |
|---|---|
| プロピオンアルデヒド | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい |
| ノルマルブチルアルデヒド | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい |
| イソブチルアルデヒド | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい |
| ノルマルバレルアルデヒド | むせるような甘酸っぱい焦げたにおい |
| イソバレルアルデヒド | むせるような甘酸っぱい焦げたにおい |
意外に思われるかもしれません。 日本には、家庭の薪ストーブの煙を規制する法律がありません。 根拠を条文で示します。
第2条第2項が「ばい煙発生施設」を「工場又は事業場に設置される施設」と定義している。住宅は工場でも事業場でもないので、そもそも定義に入らない。
第1条が「工場その他の事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭」を対象と明記している。臭気指数という測り方はあるが、一般家庭には適用されない。
離隔距離など、火災を防ぐための決まりはある。ただしこれは排出を規制するものではない。
環境省自身が、こう書いています。
良い機械を入れれば済む、という話ではありません。 オーストリアで、実際に人が住んでいる家4軒を測った研究があります。 焚き方の講習を受ける前と後で、排出がどう変わるか。
オーストリアの実際の住宅4軒で、焚き方の講習を受ける前と後で排出を実測した。教えたのは、着火方法、燃料の性状と炉内での置き方、空気の送り方。
いずれも中央値。ベンゾ[a]ピレンは最大で−97%だった。
正直に、同じ論文の但し書きも書いておきます。
同じ論文は「訓練を受けた人が元の癖に戻る可能性があり、定期的な訓練が必要かもしれない。この点は検証していない」とも書いている。
同じ現行機(Ecodesign適合)で、よく乾いた薪(含水率11〜20%・湿量基準)を使い、定格出力で焚いた場合と、空気を絞って低出力で焚いた場合を比べた。
| 測ったもの | 定格で焚く | 絞って低出力で焚く | 倍率 |
|---|---|---|---|
| PM2.5 | 54 | 125 | 2.3倍 |
| 総粒子(TPM) | 73 | 141 | 1.9倍 |
| 凝縮性の粒子 | 43 | 96 | 2.2倍 |
| 有機炭素(TOC) | 168 | 288 | 1.7倍 |
| ブラックカーボン | 22 | 132 | 6.0倍 |
| 一酸化炭素 | 1,688 | 2,031 | 1.2倍 |
単位は g/GJ
そしてもう一つ。バッチ式(手で薪をくべる)の機器では、揮発性有機化合物の60〜90%が、着火の直後に出る。一日の排出の大半が、最初の20〜30分で決まるということ。(Bhattu ほか, Environmental Science & Technology, 2019年)
ここまでは、国の資料と研究の話でした。 ここからは、当社が岩手の現場でお客様にお伝えしていることを書きます。 社長の言葉のまま載せます。
乾燥が甘い薪を使うと、どうしても煙やにおいが出てしまいます。そうならないように、薪棚に入れて2年間乾燥させるのが望ましい。
この一行は、調べてみると海外の資料と同じことを言っていました。
上だけ覆い、横は開ける。横を覆うと湿気がこもる。
覆いは濡れた薪を乾かさない。乾いた薪が再び湿るのを防ぐのが役目。
2m³以上で売る薪には、最低2年の乾燥手順を書いた告知を添える義務がある。
現場で積み上げてきたやり方が、海外の研究や法令と同じところに来ています。「雨に当てない・風に当てる」は、覆い方の話としてそのまま裏が取れます。
割り箸とまでは言わなくても、ボールペンくらいの太さの薪を用意します。そこから、小さな炎をゆっくりと大きな炎に育てていくイメージで焚いていく。
この焚き方が効く理由は、測定でも説明がつきます。手で薪をくべる機器では、揮発性有機化合物の60〜90%が着火の直後に出ます。つまり最初の20〜30分が、その日の煙のほとんどを決めている。細い薪から炎を育てるのは、その山をなだらかにする焚き方です。
そういう焚き方を意識して薪ストーブを使うことが、トラブルの回避になります。そして結果として、長く、気持ちよく薪ストーブのある暮らしを楽しむことにつながります。
2年に1度はメンテナンスをしないと、お互い不安です。煙突の中も、炉内の消耗品も、使っている人からは見えないところにあります。ご連絡いただければうかがいます。
煙とにおいの多くは、薪と焚き方で決まります。ただし煤やタールが溜まってくれば、同じ焚き方をしていても煙は増えます。溜まっているかどうかは、開けてみないと分かりません。
当社では、現場に関わる者はJFSA認定技術者の資格を取っています。建築基準法・消防法・労働安全衛生法と海外のガイドラインを学び、試験を受けた者だけが認定されます。3年ごとの更新があるので、取ったら終わりにはなりません。
当社は独自の保険に加入しており、10年間で最大3億円の保証がかかっています。資格を取り、基準どおりに据えて、それでも残る「万が一」のための備えです。使わずに済むのがいちばんですが、お客様の家に火を入れさせていただく仕事なので、持っています。
弊社のお客様でなくても構いません。煙のことやにおいのことが気になっている方がおられましたら、しっかりとサポートします。ぜひ聞きに来てください。
岩手・盛岡の有限会社D'STYLE TEL 019-681-2477 9:00〜17:00/水曜定休
薪の含水率には湿量基準と乾量基準の2つがあり、同じ木でも数字が変わる。20%(湿量基準)=25%(乾量基準)。燃料の話で使うのは湿量基準で、このページの数字もすべて湿量基準。製材のJAS規格は乾量基準なので、木材屋さんの数字とは基準が違うことがある。
| 測ったもの | 湿った薪 21〜30% | よく乾いた薪 11〜20% | 乾かしすぎ 0〜10% |
|---|---|---|---|
| PM2.5 | 359 | 48 | 131 |
| 一酸化炭素 | 3,315 | 1,503 | 2,386 |
| 揮発性有機化合物 | 753 | 96 | 373 |
| ブラックカーボン | 161 | 16 | 47 |
| ベンゾ[a]ピレン(mg/GJ) | 59 | 23 | 140 |
単位は g/GJ(ベンゾ[a]ピレンのみ mg/GJ)
乾きすぎた燃料は燃焼速度が速くなり、空気の供給が追いつかない。現代の機械は、適正に乾いた薪に最適化されている。
薪は乾いていること(12〜20%・湿量基準)。自然通気の薪ストーブでは、含水率10%未満は、局所的な酸素不足により粒子と一酸化炭素の排出を著しく増やしうる。
25%を超えると煙は著しく増える。一方、8〜20%の範囲では含水率の影響は有意でない。
「20%」は魔法の境目ではないし、「乾かせば乾かすほど良い」でもない。8〜20%に収まっていれば、その中の差は小さい。
| 薪 | 実測(乾燥炉) | 水分計の表示 |
|---|---|---|
| トウヒ 伐採直後 | 42.9% | 22% |
| トウヒ 乾燥材 | 39.8% | 22% |
| ブナ 伐採直後 | 36.4% | 29% |
| ブナ 人工乾燥 | 3.6% | 4% |
実際には40%以上ある薪が、水分計では22%と表示されうる。繊維飽和点(乾量基準で約30%)を超えると、ピン式の水分計は原理的に当てにならない。「水分計で20%台だから大丈夫」は、濡れた薪では成立しない。
必ず割りたての中央の面で測る。木口は低く出る。
スギ間伐材35cm前後、四割または半割、枕木の上に高さ1m、10月開始。約2か月で7割以上が20%以下に。軒下は5か月で全数10%前後。露天では30%近いままの薪も残った。結論は「スギで3か月以上、ヒノキで4か月以上」。
針葉樹は最低6か月、広葉樹は12か月。積む前に割る。地面から離す。上だけ覆い、横は開ける(横を覆うと湿気がこもる)。
2m³以上で販売する薪には、最低2年の乾燥手順を書いた告知を添える義務がある。
夏24週で53%→21〜33%。冬17週では58%→49〜51%で、ほとんど乾かなかった。覆いは濡れた薪を乾かさない。乾いた薪が再び湿るのを防ぐのが役目。
広葉樹(ナラなど)について、日本の公的な乾燥曲線は見つからなかった。「ナラは2年」といった言い方は当社の経験によるもので、公的な試験の裏づけがあるものではない。
薪には国際規格がある。分類は木材の出所による。品質基準は含水率(M)・寸法(L/D)・樹種・灰分の4つで決まる。日本ではまだあまり知られていません。
| 項目 | A1クラス(最高級) | A2クラス | Bクラス |
|---|---|---|---|
| 主な原料 | 幹、枝(樹皮を含む) | 幹、枝、伐採残渣 | 幹、枝、化学未処理の廃材 |
| 含水率(M) | M15(15%以下)または M20(20%以下) | M25(25%以下) | M25(25%以下) |
| 灰分(A) | 1.0% 以下 | 1.5% 以下 | 3.0% 以下 |
| 推奨用途 | 高性能薪ストーブ、暖炉 | 一般的なストーブ、ボイラー | 産業用大型ボイラー等 |
欧州エコデザインや米EPA基準をクリアした薪ストーブの薪として推奨されるのは A1クラス。
| 含水率 | 発熱量 | |
|---|---|---|
| 含水率 0% | 19.5 MJ/kg | 約4,660 kcal/kg |
| 含水率 20% | 14.8 MJ/kg | 約3,540 kcal/kg |
| 含水率 50%(生木) | 7.9 MJ/kg | 約1,890 kcal/kg |
スギ材を想定した値(湿量基準)。ただし「50%の薪は熱が44%減る」と読むのは正しくない。50%の薪は半分が水なので、木の実質1kgで比べれば、水を蒸発させる分の損は約1割。残りは、水を買って、運んで、積んでいる分にあたる。実際の損はこれより大きく、炉の温度が上がらないことによる不完全燃焼が上乗せされる。
環境省が、北海道から九州まで72の市町村に電話で聞き取りをしています。 薪ストーブのクレームを受けたことがあるか。
| 地域 | クレームあり | なし |
|---|---|---|
| 北海道 | 5 | 0 |
| 東北 | 7 | 1 |
| 信越 | 6 | 4 |
| 関東 | 4 | 10 |
| 東京 | 2 | 2 |
| その他 | 7 | 25 |
| 直接の原因 | 件数 |
|---|---|
| 薪の含水率が高い | 13件 |
| 煙突の高さ不足 | 7件 |
| 隣家との離隔距離不足 | 5件 |
| 煙突の設置方法がまずい | 3件 |
| 隣家とのコミュニケーション不足 | 3件 |
| 煙突の不具合 | 2件 |
そして、その奥にある原因。
| 根本の原因 | 件数 |
|---|---|
| 適切な利用方法の不理解 | 18件 |
| 適正燃料に対する不理解 | 17件 |
| 適切な清掃方法の不理解 | 9件 |
機械の問題ではなく、使い方の問題だと、国の報告書が言っています。 だから当社は、売って終わりにしません。
同じ報告書には、こういう記録も残っています。 都合が悪いので普通は載せませんが、隠すほうが不誠実だと思います。
どれも環境省『木質バイオマスストーブ普及のための環境ガイドライン』(平成24年3月)に記録されているもの。判決については、裁判所・年月日・事件番号までは公表されていない。
正しく焚いていても、解決しないことがあります。 だからこそ、建てる前の計画と、ご近所への挨拶が効きます。 煙突の位置は、あとから変えるのが難しいところです。
| 隣家のひさしが重なりそうな距離 | ひさしより低い位置に煙突を設けると、ひさしの下に煙がこもる |
| 隣家の洗濯干し場が近い | 洗濯物に煙の臭いが付く |
| 隣家の窓が近い | 煙が窓から室内へ入る |
| 隣家の給気口が近い | 煙が給気口から室内へ引き込まれる |
| 隣が高層の建物 | 自宅の屋根より高く煙突を立てていても、煙が流れていく |
| 集合住宅で自分の部屋より上に部屋がある | 煙がのぼって窓から入る |
| 発火源 | 令和6年・全国 |
|---|---|
| 総出火件数 | 37,141件 |
| ストーブ | 1,016件 |
| 取灰(灰の始末) | 227件 |
| 煙突・煙道 | 149件 |
煙突・煙道を発火源とする火災は、令和6年に岩手県で6件(令和5年は9件)。
「煙突・煙道」は薪ストーブ専用の区分ではない。風呂かまど・ボイラー・焼却炉を含む。確定値の資料に「薪」という語は一度も出てこない。「岩手の薪ストーブの煙突火災が年6件」とは言えない。
このページの数字は、すべて原典を確かめたものだけを載せています。 環境省の資料、消防庁の統計、法令の条文、査読を通った論文、 英国政府が委託した試験報告。当社が行った実験ではありません。
当社は平成29年9月1日に 日本暖炉ストーブ協会 へ入会しました(岩手県内の施工販売会社としては初の加盟です)。 協会でも煙とにおいの測定が続いていますが、 まだ公表されていないものは、このページには載せていません。 確かめられないことを根拠にすると、読んだ方が確かめようがなくなるからです。
煙の粒子とにおいの分子では、大きさが100倍以上違うからです。煙の粒子は0.1〜1.0マイクロメートル、においの分子は1オングストロームから0.1マイクロメートル。においの分子のほうが軽くて小さいので、早く、遠くまで拡散します。煙が見えなくなっても、においだけが届くのはこのためです。
完全に燃やしきれば、出るのは二酸化炭素と水です。燃やしきれないと、PM2.5などの粒子、多環芳香族炭化水素(PAH)、一酸化炭素、窒素酸化物、アルデヒド類やベンゼンなどの揮発性有機化合物が出ます。環境省の資料は「これらの物質は、良好な燃焼により完全燃焼に近づければ、大幅に減らすことができる」としています。塗装材・防腐処理材・合板・ごみを燃やすと、燃やし方に関係なくダイオキシン類や重金属が出ます。
ありません。大気汚染防止法の「ばい煙発生施設」は工場または事業場に設置される施設と定義されているため、住宅は対象外です。悪臭防止法も事業場が対象です。環境省自身が「家庭等で使用されるもの…は同法の規制の対象外」「規制や基準が整備されておらず、メーカーの判断にゆだねられています」と書いています。守るべき数字が無いということは、守らなくてよいということではありません。
焚き方です。オーストリアで実際の住宅4軒を測った研究では、焚き方の講習を受けただけで一酸化炭素が42%、粒子が45%、発がん性のベンゾ[a]ピレンが76%減りました。論文は「使用者への訓練の効果は、電気集じん機や触媒といった最新の技術的対策に匹敵する」と結論しています。当社が焚き方をお伝えしているのは、これが理由です。
煙の面では、代償が大きいことが実測されています。英国政府が委託した試験では、よく乾いた薪を使っていても、空気を絞って低出力で焚くとPM2.5が2.3倍、ブラックカーボンが6.0倍になりました。湿った薪を絞って焚く組み合わせは、乾いた薪を定格で焚く場合の約11.5倍です。
違います。英国政府の委託試験では、含水率0〜10%まで乾かした薪は、11〜20%の薪と比べてPM2.5が2.7倍、ベンゾ[a]ピレンが6.1倍でした。ベンゾ[a]ピレンにいたっては湿った薪より悪い数字です。乾きすぎた薪は燃焼が速くなり、空気の供給が追いつかないためと説明されています。8〜20%(湿量基準)に収まっていれば、その中の差は小さいという研究もあります。
濡れた薪では当てになりません。ある研究では、乾燥炉で測った実測値が42.9%の薪を、ピン式の水分計は22%と表示しました。両手法の差は最大100%に達したと報告されています。繊維飽和点を超えると、原理的に測れなくなるためです。測るときは必ず割りたての中央の面で。木口は低く出ます。
環境省の資料に、そのまま使える一文があります。「煙突からの煙が陽炎または水蒸気が出てすぐに消滅し、煙臭もほとんどない状態が正常な燃焼」。米国EPAも「正しく設置され、正しく使われた薪燃焼機器は、ごく少量の煙しか出さないはずです。日常的に煙が見えたり臭ったりするなら、どこかに問題があります」としています。
当社は薪棚に入れて2年間乾燥させることをおすすめしています。大切なのは、雨には当てず、風には当てることです。屋根はかけても、横は開けておく。横まで覆うと、湿気がこもって乾きません。米国EPAも「上だけ覆い、横は開ける」としていますし、ニュージーランドの研究では、覆いは濡れた薪を乾かす役には立たず、乾いた薪が再び湿るのを防ぐのが役目だと報告されています。
割り箸とまでは言わなくても、ボールペンくらいの太さの薪を用意してください。そこから、小さな炎をゆっくりと大きな炎に育てていくイメージで焚きます。いきなり太い薪に火をつけようとすると、燃えきらないまま煙だけが出る時間が長くなります。手で薪をくべる機器では、揮発性有機化合物の60〜90%が着火の直後に出るという測定があります。最初の20〜30分が、その日の煙のほとんどを決めています。
使えます。ただし市街地になるほど、近隣への煙とにおいの配慮が要ります。細い薪から小さな炎を育てる焚き方をすれば、煙もにおいも出さずに燃やすことができます。建てる前なら、煙突の位置と高さを隣家との関係で決められるので、計画の段階からご相談いただくのがいちばん確実です。
まずご連絡ください。環境省の調査では、クレームの直接原因の最多は「薪の含水率が高い」で、次が煙突の高さ不足でした。根本原因の9割は「利用方法・燃料・清掃への理解不足」とされています。多くは直せるものです。ただし正直に申し上げると、煙突を高くしても解決しなかった例、訴訟になって使用禁止の判決が出た例も、同じ報告書に記録されています。早いうちにご相談いただくほど、打てる手は多くなります。
薪ストーブで本当に怖いのは、壁の中や囲いの中など、 できてしまえば誰にも確かめられないところです。 当社は日本暖炉ストーブ協会に加盟し、現場に関わる者は認定技術者の資格を取っています。 そこで学んだことと、国の資料や研究で裏の取れたことを、そのまま公開しています。
どのページも、出どころを全部書いています。 当社が行った実験ではないものは、そう明記しています。 数字は、一次資料まで確かめたものだけを載せました。
ここに書いたことは、全部うちが現場でやっていることです。
煙突の高さも、給気の穴も、機種の選定も、この考え方で決めています。
盛岡のショールームには、火を入れた実機があります。数字の話の続きを、炎の前でどうぞ。