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YOMIMONO / 暖房費

青森・秋田の暖房費を、
統計で読む

文・有限会社D'STYLE|岩手・盛岡の薪ストーブとサウナの店

公開日:2026年9月14日 / 最終更新日:2026年10月25日

青森と秋田の冬の暮らしを数字で表すと、まず目に入るのは灯油の量です。総務省の家計調査によると、2023年から2025年の平均で、青森市の二人以上の世帯は1年に817リットルの灯油を買っています。県庁所在市と政令指定都市を合わせた52市のなかで最も多く、全国平均の約6倍にあたります。秋田市は568リットルで3位でした。

この読みものでは、家計調査と気象庁の平年値を手がかりに、青森・秋田の暖房費がどのような構造になっているのかを整理し、エアコン・灯油・薪ストーブ・ペレットストーブの「熱の値段」を同じ物差しで比べてみます。

雪の量と日照時間が、暖房の季節を長くします

気象庁の平年値(1991〜2020年)では、青森の1月の平均気温は−0.9℃、日最低気温の平均は−3.5℃です。秋田は1月の平均気温が0.4℃、日最低気温の平均が−2.1℃です。

二つの都市の冬を特徴づけるのは、気温よりも雪と日照です。青森の年間の降雪量の平年値は567センチで、1月だけで195センチに達します。秋田は年間273センチです。1月の日照時間は青森が48.5時間、秋田が39.0時間で、太平洋側の東京の192.6時間と比べると、4分の1から5分の1ほどにとどまります。

日照が少ないと、窓から入る日射で部屋が温まる時間も短くなります。日中に暖房を止めておける時間が限られ、朝から夜まで切れ目なく暖房を使う暮らしになりやすくなります。雪の多い土地では、屋外に置く機械が雪に埋もれないよう配慮することも欠かせません。暖房器具を選ぶときには、燃費の数字と同じくらい、こうした土地の条件を考えに入れる必要があります。

家計調査に表れる、灯油の暮らし

都市灯油(年間)灯油の購入量電気代(年間)
青森市92,401円(1位)817リットル171,061円
秋田市63,003円(3位)568リットル167,036円
盛岡市49,532円(4位)443リットル166,888円
全国平均15,094円133リットル149,965円
東京都区部2,044円17リットル136,060円

総務省「家計調査」二人以上の世帯、2023〜2025年平均。順位は県庁所在市と政令指定都市の52市のなかでの灯油の支出額の順位です。

青森市の灯油代は1世帯あたり年間92,401円、秋田市は63,003円です。全国平均の15,094円と比べると、青森市はおよそ6倍、秋田市はおよそ4倍になります。電気代も青森市は171,061円、秋田市は167,036円で、いずれも全国平均の149,965円を上回っています。灯油と電気を合わせると、青森市では年間26万円を超えます。

購入量と支出額から割り戻すと、この3年間に青森市の世帯が払った灯油の平均単価は1リットルあたり約113円、秋田市は約111円です。電気も同じように計算すると、青森市・秋田市とも1キロワット時あたり約32円になります。この単価には基本料金や燃料費の調整分、国の負担軽減策の影響も含まれていますが、実際に家計から出ていったお金を表す数字として、以下の比較に使います。

灯油817リットルは、どれほどの熱になるか

暖房費を比べるときには、燃料を「熱の量」に置き換えると見通しがよくなります。環境省の資料では、灯油1リットルの発熱量は36.5メガジュール、燃焼で生じる水蒸気の熱を除いた低位発熱量では34.2メガジュールとされています。低位発熱量をキロワット時に直すと、灯油1リットルはおよそ9.5キロワット時の熱にあたります。

青森市の世帯が1年に買う817リットルは、およそ7,800キロワット時の熱になります。同じ世帯が1年に使う電気は5,383キロワット時ですから、灯油から得ている熱は電気の1.4倍ほどです。秋田市では568リットルがおよそ5,400キロワット時で、電気の使用量5,274キロワット時とほぼ同じ規模です。家庭で使う電気全体と同じか、それ以上の熱を、冬のあいだ灯油から得ていることになります。

この数字は、暖房の方法を替えるときの規模感を教えてくれます。灯油で得ている熱をすべて電気の暖房に置き換えれば、電気の使用量は大きく増えます。どれだけ増えるかは、次に見るエアコンの効率で決まります。

1キロワット時の熱は、いくらで手に入るか

ここからは、燃料ごとに「1キロワット時の熱」の値段を計算します。暖房器具そのものの効率は機種によって異なるため、まず燃料の段階で比べ、そのうえで器具の効率を考えます。

灯油は、1リットル約113円を9.5キロワット時で割ると、1キロワット時あたり約12円です。電気ストーブやパネルヒーターのように電気をそのまま熱に変える器具では、電気1キロワット時がそのまま熱1キロワット時になるため、約32円です。

エアコンは事情が異なります。エアコンは外気から熱を集めて室内へ運ぶ仕組みで、使った電気の何倍もの熱を取り出せます。この倍率を成績係数(COP)と呼びます。COPが3なら熱1キロワット時あたり約11円、2なら約16円、1.5なら約21円です。灯油と並ぶのは、COPがおよそ2.7のときです。

注意したいのは、COPが外気温によって大きく変わることです。外の空気が冷たいほど集められる熱は減り、暖房能力も効率も下がります。さらに室外機に霜が付くと、霜を溶かすために暖房を止める運転が入ります。青森や秋田の1月の朝のように氷点下が続く条件では、カタログに記された効率を下回る時間が長くなります。外気温ごとの暖房能力の変化は「エアコン暖房の実力」で詳しく取り上げています。

薪とペレットは、何円なら灯油と並ぶか

薪とペレットは、地域や買い方によって値段の幅が大きい燃料です。そこで、灯油と同じ熱の値段になる「分岐点」を計算しておくと、手元の見積もりを当てはめるだけで比べられます。

英国の森林研究機関の資料では、含水率20%まで乾かした薪の低位発熱量は1キログラムあたり約4.1キロワット時、含水率10%の木質ペレットは約4.8キロワット時とされています。灯油の熱の値段である約12円をかけると、薪は1キログラムあたり約49円、ペレットは約57円が、燃料の段階で灯油と並ぶ値段になります。これより安く手に入れば灯油より割安、高ければ割高という目安です。

ここでは器具の効率を同じとみなしています。実際には、FF式の灯油ストーブ、薪ストーブ、ペレットストーブのそれぞれに機種ごとの効率があり、薪ストーブは焚き方によっても効率が変わります。とくに薪は、乾燥が足りないと水分を蒸発させるために熱が使われ、取り出せる熱がはっきりと減ります。含水率と熱量の関係は「薪の話」で詳しく説明しています。自分で原木を手に入れて割る場合は、燃料代が大きく下がる一方で、チェーンソーの燃料や道具、そして時間と労力がかかります。

数字に出ない違いと、停電への備え

燃料代のほかにも、暖房を選ぶうえで大切な違いがあります。灯油は寒さの厳しい朝でも出力が落ちにくい反面、給油の手間とにおいがあり、価格は国際情勢によって動きます。エアコンは手間がほとんどかからず、夏の冷房も兼ねられますが、厳寒時には能力が下がります。薪ストーブは輻射熱で体を直接温め、電気がなくても使えますが、薪の調達や保管、灰の処理、煙突の手入れが欠かせません。ペレットストーブは薪より手間が少なく炎の暖かさがありますが、点火や送風に電気を使います。

停電への備えも、北東北では現実の課題です。2011年3月11日の東日本大震災では、東北電力の管内で最大約466万戸が停電し、青森県・岩手県・秋田県は全域が停電しました。3日で約8割が復旧しましたが、まだ寒さの残る時期に、多くの家庭が暖房を使えない時間を過ごしました。FF式の灯油ストーブもエアコンもペレットストーブも、電気がなければ動きません。電気を使わずに暖を取れる薪ストーブは、この点でほかの暖房と性格が異なります。

ご自宅の数字で、比べてみる

ここまでの計算は、家計調査の平均値と標準的な発熱量にもとづく目安です。家の断熱性能、部屋の広さ、家族が家にいる時間によって、必要な熱の量は大きく変わります。比較をより確かなものにするには、昨冬の灯油の購入量と電気の検針票を手元に用意し、灯油1リットルを9.5キロワット時として熱の量に置き換えてみるのが近道です。

その熱の量に、エアコンならCOPで割った電気代を、薪やペレットなら1キログラムあたりの値段を当てはめれば、暖房を替えたときの燃料費をご自宅の条件で見積もれます。20畳のリビングをひと冬暖める場合の試算は「東北の暖房費」で紹介しています。

数字を並べるところまでが当社の仕事です。どの暖房が暮らしに合うかを決めるのは、数字をご覧になったお客様ご自身です。青森・秋田の冬の条件を踏まえて、燃料費、手間、停電への備えのどれを重く見るかを考える材料として、この記事をお使いいただければ幸いです。

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関連するページ:ペレットストーブとは・盛岡・岩手の薪ストーブ専門店

参考:灯油と電気の支出額・購入量は総務省統計局「家計調査」品目別ランキング(2023〜2025年平均、統計局)、気温・降雪量・日照時間は気象庁の平年値(青森・秋田・東京)、灯油の発熱量は環境省の算定ガイドライン参考資料(PDF)、薪とペレットの発熱量は英国Forest Research(英語)、停電の規模は内閣府 中央防災会議の専門調査会資料(PDF)による。単価・熱量・分岐点は、これらの数字から当社が計算した。

よくある質問

Q. 青森や秋田でも施工してもらえますか?

はい。当社は岩手・盛岡を拠点に、青森県・秋田県・山形県・宮城県をはじめ東北全域で施工を行っています。まずはご相談ください。

Q. 岩手以外の東北でも対応していますか?

はい。当社は岩手・盛岡を拠点に、青森県・秋田県・山形県・宮城県をはじめ東北全域で施工を行っています。まずはお気軽にご相談ください。

D'STYLE
橋本 大治(有限会社D'STYLE 代表)

岩手・盛岡で薪ストーブとサウナの施工を手がけて20年。

東北の冬を、あたたかく。

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