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YOMIMONO / 暮らし

薪ストーブとエアコンの併用。
盛岡の一年で考える役割分担

文・有限会社D'STYLE|岩手・盛岡の薪ストーブとサウナの店

公開日:2026年9月18日 / 最終更新日:2026年10月25日

薪ストーブを入れたらエアコンは外してよいか。ショールームでよくいただく質問です。私たちの答えは、どちらも残して役割を分けていただくのがよい、というものです。二つの暖房は熱のつくり方がまったく違い、得意な場面と苦手な場面がほぼ正反対に並んでいます。

この読みものでは、気象庁が公表している盛岡の平年値を手がかりに、一年のどの時期に、一日のどの時間に、どちらを主役にするとよいかを整理します。あわせて、併用しても残る乾燥の問題や、電気代の考え方にも触れます。

二つの暖房は、熱の出どころが違います

エアコンの暖房は、屋外の空気から熱を汲み上げて室内へ運ぶヒートポンプです。外から熱を運んでくる仕組みのため、外の空気が温かいほど効率よく働き、冷え込むほど汲み上げられる熱が減っていきます。国の省エネ性能カタログでは、暖房の標準能力を外気温7℃・室内20℃の条件で示し、寒冷地の方には外気温2℃での低温能力を参考にするよう案内しています。

薪ストーブは、薪を燃やした熱で鉄や石を温め、その表面から放たれる輻射熱で部屋を暖めます。熱源は炉の中の火ですから、外が何度であっても出せる熱はほとんど変わりません。そのかわり、焚き付けから部屋がじんわり暖まるまでに30分から1時間ほどかかり、留守のあいだは火を焚けません。

まとめると、エアコンはすぐ動き、無人でも運転でき、夏は冷房にもなる一方で、厳しい寒さには弱い暖房です。薪ストーブは立ち上がりが遅く人の手を要する一方で、寒さの底でも力が落ちず、電気がなくても燃え続けます。弱点が重ならないことが、併用が成り立つ理由です。

盛岡の一年を、気象庁の平年値で区切る

どちらをいつ使うかは、その土地の気温で決まります。気象庁の1991年から2020年の平年値によると、盛岡で最低気温が0℃を下回る冬日は年に平均121.6日あります。月別に見ると、11月が9.8日、12月が25.6日、1月が29.8日、2月が26.8日、3月が23.6日、4月が5.8日です。1月の日最低気温の平年値はマイナス5.2℃で、日中も0℃に届かない真冬日は年に12.4日数えます。

この数字から、盛岡の暖房シーズンは三つに分けて考えることができます。12月から3月は、ほぼ毎朝が氷点下になる本格的な冬で、薪ストーブが家の暖房の中心になる時期です。11月と4月は、冷え込む朝と穏やかな日が入りまじる端境期で、朝晩だけエアコンで足りる日もあれば、雨の日に火を入れたくなる日もあります。この時期は、細めの薪で短く焚いて部屋の湿っぽさを払い、日中の暖かい時間は火を休ませるといった、軽やかな使い方がよく合います。

一方で、盛岡にも夏の暑さはあります。同じ平年値で、最高気温が30℃以上になる真夏日は年に22.4日あり、そのうち11.3日が8月に集中しています。薪ストーブは冷房ができませんので、夏のエアコンは欠かせない設備です。冬だけを見てエアコンを外してしまうと、夏に困ることになります。

一日の流れで見る役割分担

本格的な冬の一日を例に、役割分担を考えてみます。朝は、起床の少し前にエアコンのタイマーで部屋の冷え切った空気をやわらげておき、そのあいだに薪ストーブの焚き付けをします。火が育ち、ストーブ本体が温まってきたら、エアコンの役目はいったん終わりです。

日中に家を空けるご家庭では、出かける前に薪を足すのをやめ、熾火のまま静かに燃え尽きるのを待ちます。蓄熱性の高い機種であれば、火が落ちてからも本体と室内の壁や床にしばらく熱が残ります。帰宅が遅く家が冷えてしまう日は、帰宅時刻に合わせてエアコンを動かしておくと、玄関を開けたときの寒さが和らぎます。

夕方から夜は、薪ストーブが本領を発揮する時間です。家族が集まる居間を輻射熱で包み、天板ではやかんの湯が沸きます。就寝前は太めの薪を入れて空気を絞り、ゆっくり燃やします。寝室が居間から離れている間取りでは、寝室だけエアコンを使うという分け方も自然です。

エアコンを、空気を回す道具として使う

薪ストーブを焚いているあいだ、エアコンは必ずしも止める必要がありません。暖房運転のままでも、室内機の温度センサーが設定温度に届いたことを感じ取れば、エアコンはみずから出力を絞ります。ストーブの熱で部屋が暖まるほど、エアコンの消費電力は自然に下がっていきます。

吹き抜けや天井の高い部屋では、もうひとつ使い道があります。暖かい空気は軽いため、天井近くにたまりやすく、床との温度差が生まれます。エアコンの送風運転やシーリングファンで空気をゆるやかにかき混ぜると、天井付近の暖気を足元へ戻すことができます。輻射熱は空気を介さずに物や人を直接温めますが、空気の層の偏りまでは解消しないため、こうした道具を組み合わせると部屋全体の温度がそろいやすくなります。

輻射と対流の違いについては「輻射熱という熱の届け方」で詳しくご紹介しています。

乾燥は、併用しても残る課題です

冬の室内が乾くのは、暖房器具そのものよりも、冷たい外気に含まれる水分が少ないことが主な原因です。たとえば気温0℃・湿度80%の外気を、換気によって室内に取り込み20℃まで温めると、含まれる水蒸気の量は変わらないまま、相対湿度はおよそ2割まで下がります。これは空気の性質によるもので、エアコンでも薪ストーブでも同じように起こります。

薪ストーブは排気を煙突から屋外へ出すため、部屋に水蒸気を加えることはありません。そこで役に立つのが天板のやかんです。暖房のついでに湯気が立ち、そのお湯でお茶を淹れることもできます。それでも足りない日は加湿器を併用し、湿度計を一つ置いて数字で確かめておくと、乾きすぎにも結露にも早く気づくことができます。

電気代は、エアコンを休ませる時間で決まります

寒冷地でエアコンだけに頼ると電気代がかさむことは、国の資料からも読み取れます。2018年冬版の省エネ性能カタログは、東京の気温をもとにした年間の目安電気料金に対し、地域ごとの補正の目安として係数を示しています。冷暖房兼用機で東京を1.0としたとき、盛岡は2.3、秋田は1.9です。寒冷地では暖房能力の不足分を補う電気ヒーターの消費も加算されており、寒さがそのまま電気の使用量に表れることがわかります。

併用によって変わるのは、エアコンが全力で働く時間の長さです。とりわけ外気温が低く効率の落ちる夜から朝にかけて、薪ストーブが暖房を引き受けるほど、電気の使用量は抑えられます。一方で薪にも費用がかかり、その額は乾いた薪をすべて購入するか、原木を割って自分で乾かすかで大きく変わります。薪の入手方法と乾燥については「薪のすべて」にまとめています。

併用を前提に、家と機種を選ぶ

併用を最初から想定しておくと、機種選びや設置場所の考え方も変わります。薪ストーブは家族が長く過ごす居間の中心に据え、エアコンは寝室や離れた部屋、夏の冷房を受け持つ位置に置く。薪ストーブの出力は、家全体を一台で賄う大きさよりも、居間とそのつながる空間を心地よく暖められる大きさを基準に選ぶと、暑すぎて空気を絞り込み、薪をくすぶらせてしまう燃やし方を避けやすくなります。

手入れの時期も、二つの機器で分かれます。薪ストーブは、焚き始める前の秋に煙突の掃除と本体の点検を済ませておくのが基本です。エアコンについては、先に挙げた省エネ性能カタログが2週間に1度のフィルター掃除を呼びかけています。冬は薪ストーブ、夏はエアコンと主役が交代する時期に、それぞれの手入れを済ませておくと、どちらの機器も本来の力を発揮しやすくなります。

どの部屋をどちらが受け持つかは、断熱の性能、間取り、吹き抜けの有無、ご家族の在宅時間によって答えが変わります。外気温ごとのエアコンの能力については「エアコン暖房の実力」で数字を並べていますので、検討の材料としてご覧ください。二つの暖房それぞれに得意な仕事を任せることが、寒い土地で無理なく冬を過ごす近道だと私たちは考えています。

関連するページ:薪ストーブの費用と相場・盛岡・岩手の薪ストーブ専門店

参考:盛岡の冬日・真冬日・真夏日の日数と気温は、気象庁の平年値(1991〜2020年、気象庁)による。暖房能力の測定条件と地域係数は、省エネ性能カタログ2018年冬版(資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイト)による。

よくある質問

Q. 薪ストーブとエアコンを同時に動かしてもいいですか?

同時に動かしても問題ありません。ただし薪ストーブが十分に暖まっていればエアコンは不要です。薪ストーブを焚き始めて部屋が暖まるまでの間だけエアコンをつけておき、暖まったら切る、という使い方が一般的です。

Q. 岩手以外の東北でも対応していますか?

はい。当社は岩手・盛岡を拠点に、青森県・秋田県・山形県・宮城県をはじめ東北全域で施工を行っています。まずはお気軽にご相談ください。

D'STYLE
橋本 大治(有限会社D'STYLE 代表)

岩手・盛岡で薪ストーブとサウナの施工を手がけて20年。

二つの暖房を、うまく使う。

盛岡のショールームで薪ストーブの暖かさを体験できます。ご相談は無料です。