冬キャンプが、すっかり市民権を得ました。雪の中にテントを張り、中に小さな薪ストーブを入れて、煙突をテントから突き出す。あの「テントの中の火」の魅力に取り憑かれた人が、岩手にも増えています。今日は、冬キャンプの火の話。そして、その火が、家の火へと続いている話です。

テントの中の火は、原体験の凝縮
冬キャンプの薪ストーブの何が、これほど人を惹きつけるのか。あれは、火のある暮らしの原体験を、ぎゅっと凝縮したものです。小さな幕の中、外は雪と静寂、中はストーブの熱と炎の灯り。薪をくべる音、天板にのせたやかんの湯気、うっすら曇る小窓。家一軒ぶんの「火の暮らし」が、テント一張りに濃縮されている。あの夜を一度過ごすと、火のない部屋がどこか物足りなくなる。冬キャンパーが最終的に自宅の薪ストーブにたどり着くのは、テントサウナの人が常設サウナに向かうのと、まったく同じ道筋です。(その道の話は、テントの次へ。)
安全の話は、はっきりと
ただし、テント内の火には、家の薪ストーブにはない危険があります。一酸化炭素です。狭く閉じた幕内での燃焼は、換気を怠れば命に関わります。薪ストーブ対応テントと正しい煙突の突き出し、常時の換気の確保、そして一酸化炭素チェッカーは念のため複数台。これは装備というより、参加資格だと考えてください。それから、就寝時はいったん火を落とすのが、幕内の大原則です。家の薪ストーブが「寝ているあいだも安心して熾火を残せる」のは、計算された給排気と煙突、そして不燃の炉台があってこそ。テントの火と家の火は、同じ炎でも、安全の設計思想がまるで違うのです。(家の夜の火の話は、火の始末。)
冬キャンプは、火の学校になる
冬キャンプの一夜は、じつは、火のいい練習にもなります。湿った薪はどれだけ火つきが悪いか、細い焚き付けから太い薪へどう育てるか、天板の熱をどう料理に使うか。テントという小さな舞台で、火の性格をまるごと体で覚えられます。ここで身についた勘は、そっくりそのまま、家の薪ストーブでも生きてきます。逆に、家の薪ストーブで火に慣れた人は、遠征先でも危なげがない。火は、道具が変わっても、根っこの理屈は同じだからです。遊びで覚えた技術が、暮らしの技術になっていく。冬キャンプは、そういう楽しい学校でもあります。うまくいかない失敗も含めて、火の性格を丸ごと知っていく、またとない時間です。
岩手は、冬キャンプの天国
フィールドの話をすれば、岩手は冬キャンプの天国です。雪質のいい内陸、視界いっぱいの高原、凍りつく湖。何より、土地が広くて、夜が本当に静かです。焚き火とテントサウナと薪ストーブを一度に楽しむ猛者たちも、近ごろよく見かけるようになりました。冷え込む夜ほど星は冴え、煙突から立つ煙もまっすぐ伸びる。冬の岩手の夜空の下、点々と並ぶ幕から漏れる炎の灯りの列は、なかなかの絶景です。寒さを避けるのではなく、寒さの中へ出かけて楽しむ。これも、雪国ならではの遊び方です。(テントサウナの話は、こちら。)
ベースキャンプは、自宅に
そして、帰る家に火があると、冬キャンプはさらに豊かになります。撤収して帰宅、冷えきった体でサウナに入り、薪ストーブの前で濡れた道具を乾かしながら反省会。遠征の火と、日常の火。この両方を持つのが、火好きの完成形です。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハースストーン、バーモントキャスティングス、ハルビアの正規代理店として、あなたのベースキャンプづくりをお手伝いします。テントの火に恋した方、次はぜひ、家の火へ。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Arkke (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



