フィンランドが独立した国となったのは、そう遠い昔のことではありません。1917年12月6日、この国はロシアからの独立を宣言しました。今回は、大国のあいだで、自らの道を選び取ってきたフィンランドの歴史の話です。
六百年の、スウェーデンの時代
フィンランドは、長いあいだ独立した国ではありませんでした。中世から十九世紀の初めまで、およそ六百年にわたって、隣国スウェーデンの一部でした。この時代に、行政や法の仕組み、キリスト教の文化がもたらされ、後のフィンランドの土台が築かれていきました。十六世紀には、司教ミカエル・アグリコラがフィンランド語の書き言葉をととのえ、人々が自分たちの言葉で読み書きする道をひらきました。北欧の一員としての性格は、この長い年月の中で、少しずつ形づくられていったのです。
ロシアの、自治大公国へ
1809年、フィンランドはスウェーデンからロシア帝国へと移されました。ただし、完全に併合されたのではなく、大きな自治を認められた自治大公国という立場でした。一八一二年には首都がヘルシンキへ移され、都市の整備も進みました。独自の議会や制度を保ちながら、フィンランドは少しずつ、自らを一つの国として意識するようになります。一八三五年には、各地に口伝えで残っていた古い詩歌をまとめた叙事詩カレワラが編まれ、人々に、自分たちの言葉と物語への誇りをよびさましました。この文化のめざめが、やがて独立への大きな支えとなっていきます。この百年余りのあいだに、独立への思いが、人々の胸の内に静かに育っていきました。
1917年、独立を宣言する
そして1917年、ロシアで大きな政変が起こり、帝国の支配が揺らぎました。その混乱の中、フィンランドは同年の十二月六日、独立を宣言します。長く他国の一部であり続けたこの地が、ついに自らの手で国の舵を取る道を選んだのです。十二月六日は独立記念日として、今もフィンランドの人々が大切にする、特別な日となっています。青地に白い十字を配した国旗が家々にはためき、国じゅうが静かな喜びに包まれる、一年でも大切な祝日です。
冬戦争を、耐え抜いて
独立して間もないフィンランドを、さらなる試練が襲います。1939年、大国ソ連との戦い、冬戦争が始まりました。人口も国力も大きく劣る中、フィンランドの人々は厳しい冬の森を舞台に、粘り強く抵抗しました。百日あまりにおよぶこの戦いで、フィンランドは自らの独立を守り抜きます。この不屈の精神は、後にシスと呼ばれる国民性として語り継がれます。小さな国が、諦めずに自らを守り抜いた記憶です。
静かな誇りを、胸に
幾多の困難を越えて、フィンランドは自由と独立を守り続けてきました。派手に誇るのではなく、静かに、しかし確かに、自分たちの国と文化を大切にする。独立記念日の夜、人々は窓辺に青と白の二本のろうそくをともし、静かに国の歩みへ思いをはせます。声高に祝うのではなく、灯りのように穏やかに誇りをあらわす。その姿勢は、サウナやデザイン、自然とともにある暮らしといった、この国のあらゆる文化の底に流れています。歴史の重みが、フィンランドの静けさに、深い奥行きを与えているのです。
火とともに、続いてきた文化
厳しい歴史の中でも、フィンランドの人々は火と蒸気の文化を手放しませんでした。サウナは、この国の魂とともに歩んできた、暮らしの中心です。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビアのサウナヒーターで、そんな北欧の文化を岩手の暮らしにお届けしています。フィンランドの歴史の話も、店でどうぞ。
写真: SKY-FOTO Möller (Wikimedia Commons, CC BY 4.0)



