読み物が、200本になりました。100本目では、私たちがこの読み物を書く理由をお話ししました(こちら)。200本目の今日は、その先の話をします。私たちの夢の話です。大きく出ますが、笑わずに聞いてください。私たちは、岩手を、日本一の「火と蒸気の聖地」にしたいのです。

岩手には、全部そろっている
200本書いてきて、確信したことがあります。薪ストーブとサウナにとって、岩手ほど恵まれた土地は、日本にありません。県土のおよそ八割を占める森が、薪をくれる。奥羽山脈と北上高地の雪解け水が、日本一気持ちのいい水風呂をくれる。そして、あの長くて厳しい冬が、火のありがたさと、氷点下の外気浴という世界級の贅沢をくれる。国連の世界幸福度報告で何年も首位に立ってきたフィンランドが幸福になれた条件を、岩手は、ほとんど全部持っているのです。足りないものは、ただひとつ。「寒さは厄介ごと」ではなく「寒さは資源だ」という、発想の転換だけ。冬をやり過ごす土地から、冬を味わう土地へ。その一歩は、暮らしの中の小さな火から始まります。
盛岡は、もともと火と鉄の街
思えば、盛岡は昔から火の街でした。四百年の歴史を持つ南部鉄器は、砂鉄と炭と、職人が読む火の色から生まれます。冬の朝、南部鉄瓶をのせた囲炉裏やストーブの湯気は、この土地の原風景そのもの。鉄を鍛えるにも、湯を沸かすにも、体を蒸すにも、要は火をどう飼いならすかです。火と付き合う知恵が、もともと暮らしに染み込んでいる土地。薪ストーブとサウナは、岩手にとって新しい流行ではなく、昔からの火の文化の、まっすぐな続きなのだと思います。
フィンランドの村に、学ぶ
人口五百五十万ほどのフィンランドに、サウナはおよそ三百万あると言われます(フィンランドサウナ協会)。車より、サウナのほうが多い国です。豪華な施設ではなく、どの家の片隅にも当たり前にある、暮らしの道具としてのサウナ。彼らは特別な日にサウナへ行くのではなく、夕食前に、仕事のあとに、雪かきのあとに、日常として体を蒸します。私たちが岩手で目指すのも、そちらです。年に数回の贅沢ではなく、週に何度もの当たり前。集落の一軒一軒に、その静かな火と蒸気が根づいた景色を、私たちは思い描いています。
一軒ずつ、聖地はできていく
聖地といっても、巨大な施設を建てたいわけではありません。私たちの思い描く聖地は、もっと静かな風景です。冬の夕方、集落のあちこちの屋根から、薪の煙がまっすぐ立ちのぼっている。庭先のサウナ小屋から、湯気をまとった家族が笑いながら出てくる。雪かきのあとのサウナが当たり前で、孫は囲炉裏端の代わりに薪ストーブの前で昔話を聞いて育つ。そんな家が、一軒、また一軒と増えていく。それが聖地です。私たちが200本の記事でお伝えしてきたのは、結局、この一枚の風景の設計図でした。
読み物は、そのための種まき
煙突掃除を誰に頼めばいいか分からなかった人が、記事を読んで電話をくれる。サウナが気になっていた人が、家族を説得する材料に記事を使ってくれる。「読み物、全部読みました」と、わざわざ店に来てくださる方も、本当にいらっしゃいます。一本の記事は小さな種ですが、200本まけば、どこかで芽が出る。売り込みの言葉を並べるより、火のある暮らしの面白さを正直に書き続けるほうが、遠回りに見えて、いちばん人に届く。この読み物は、岩手の冬を好きになる人を増やすための、私たちの畑仕事です。201本目からも、変わらず耕し続けます。
あなたも、聖地の住人に
もしあなたが、この読み物のどれかで、火と蒸気のある暮らしを少しでも欲しくなったなら。あなたはもう、聖地の住人候補です。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハースストーン、バーモントキャスティングス、ハルビアの正規代理店として、その一軒目からお手伝いします。設置の見積もりは正直に、おすすめは本気で、アフターは末永く。200本分の約束を胸に、店でお待ちしています。
いつも読んでくださって、ありがとうございます。岩手の冬を、日本一楽しい冬に。それでは、201本目で。
写真: Suomenkotteria (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



