サウナの言葉で、いちばん混同されているのが、この二つだと思います。ロウリュと、アウフグース。施設によっては「ロウリュサービス(スタッフがタオルで扇ぐやつ)」と案内されることもあって、ますますこんがらがる。今日は、この二つを、すっきり整理してお届けします。どちらも知ると、サウナはもっと面白くなります。

ロウリュは、蒸気そのもの
ロウリュ(löyly)はフィンランド語で、熱した石に水をかけたときに立ちのぼる蒸気のこと。行為ではなく、蒸気そのものを指す言葉です。もともとは「魂」や「息」に通じる古い言葉ともいわれ、あの国の人はロウリュを、まるで生き物のように語ります。フィンランドでは、サウナに入る人が自分たちでひしゃくの水をかけるのが当たり前。つまりロウリュは、誰かにしてもらうサービスではなく、セルフが本場の姿です。石に落ちた水が一瞬でジュワッと蒸気に変わり、天井を這って、ゆっくりと背中に降りてくる。この静かな熱の波が、ロウリュの味わいです。(詳しくはロウリュの話へ。)
アウフグースは、風の演出
いっぽうアウフグース(Aufguss)はドイツ語で、直訳すると「注ぐこと」。ドイツのサウナ文化で発達した、専門のスタッフ(アウフギーサー)が石に水を注ぎ、大きなタオルを振って熱波を客に送る、一連のパフォーマンスを指します。アロマの香り、音楽、照明、タオルさばき。ヨーロッパにはアウフグースの世界選手権まであり、一曲のあいだに物語を演じるように熱波を送る、もはやショーの域です。日本の施設で人気の「熱波師」のサービスは、このアウフグースの系譜。蒸気を自然に任せるのがロウリュ、風で積極的に届けるのがアウフグース。同じ石と水を使いながら、性格はだいぶ違います。
静と動、どちらもアウフグース
どちらが正統か、という話ではありません。フィンランドの静かなロウリュも、ドイツの華やかなアウフグースも、それぞれの土地の気質が育てた文化です。強いて言えば、ロウリュは瞑想で、アウフグースは祭り。じっくり自分と向き合いたい夜と、熱波で一気に持っていかれたい休日。同じ一台のサウナで、季節や気分によってどちらにも寄せられるのが、家サウナの面白いところです。両方を知っていれば、サウナの楽しみは、まるごと二倍になります。
水は、少しずつが本場流
ロウリュには、ちいさな作法があります。水は、一度にたっぷりかけるより、少しずつ、様子を見ながら足していくのが本場のやり方です。一杯かけて、蒸気の波が背中に届くのを待ち、もの足りなければもう一杯。石の温度と、部屋の湿り具合を、体で読みながら育てていく。急いでかけ足すと、湿度ばかり上がって重たくなります。使う水も、ただの湯冷ましのこともあれば、白樺やアロマをひとたらししたロウリュ水にすることもある。同じサウナ室が、水の打ち方ひとつで、静かにも華やかにも化ける。この「自分で熱をつくる」感覚こそ、フィンランド式サウナの醍醐味です。
家でやるなら、やさしいセルフ熱波
自宅サウナでは、セルフロウリュが基本ですが、家族へのサービスに、小さなアウフグースもできます。ロウリュのあと、タオルをゆっくり大きく振って、たまった蒸気を相手に送ってあげる。激しく扇ぐ必要はありません。ふわり、ふわり、と二、三回で十分です。熱い空気は上にたまるので、送る相手より少し高いところの蒸気を、下ろすように扇ぐのがこつ。「もう一杯いく?」「もういい?」と声をかけながらの家庭内熱波は、施設のショーとはまた違う、のんびりした楽しさがあります。石をたっぷり積んだハルビアのヒーターなら、蒸気の量も持ちも上々で、熱波のしがいがあります。(石の話は、こちら。)
蒸気も風も、あなたの家に
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、セルフロウリュを心ゆくまで楽しめるサウナの設置をお手伝いしています。静かな蒸気の夜も、家族への熱波の休日も、一台で。おすすめのご相談、いつでもどうぞ。
写真: Miraceti (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)



