ロウリュの話(こちら)では、蒸気の気持ちよさを語りました。今日はその番外編、かける水そのものの話です。桶に汲むあの水、何をどれだけ、どうかけるか。一杓の中身を深掘りすると、ロウリュはまだまだ上達します。

基本は、きれいな水道水で十分
まず結論から。ロウリュの水は、清潔な水道水で十分です。岩手の水道水は、雪解けや山の恵みを源にした、なかなかの実力者(岩手の水の話)。硬度の低いやわらかな水が多く、石にもヒーターにも優しいのです。井戸水を使う場合は、そのまま飲める水質であることが目安になります。汚れた水や、川からくんできた水は、雑菌と匂いを高温の石に焼き付けることになるので、使えません。石とヒーターの健康のためにも、ロウリュの水は、口に入れる食べ物と同じ感覚で選んでください。それだけで、立ちのぼる蒸気の質が、ぐっと澄みます。塩を溶かした塩水をかけたくなる方もいますが、金属を傷めるので、これも避けたほうが無難です。
お湯か、冷水か
通のあいだで語られるのが、水温の話です。冷たい水はごくわずかに石の表面温度を下げますが、それより体感に効くのは、蒸気の立ち方の違いです。ぬるま湯は、じゅわっと素直に蒸発して、まろやかでやわらかい蒸気になります。冷水は、熱い石の上で一瞬コロコロと踊ってから弾け、鋭くシャープな蒸気が立ちのぼる印象です。冬、桶の水がキンキンに冷えているときは、少しお湯を足してぬるめにしてやると、蒸気の当たりがぐっとやわらかくなる。細かい話に聞こえますが、毎日入る人には、この一手間の加減が、じつに楽しいのです。その日の気分で、蒸気を作り分ける。ぬるめでまろやかに整えたい夜もあれば、ぴりっと引き締めたい朝もある。ここまで来たら、立派なロウリュ使いです。
量は「少なめを、こまめに」
かけ方の鉄則は、一度にどばっとではなく、少なめをこまめに、です。一杓を石全体にふわりと散らすようにかけ、蒸気が天井から降りてくるのを味わってから、次の一杓を考える。大量の水を一気にかけると、石の表面が冷えて回復に時間がかかり、ヒーターにも余計な負担がかかります。石がしっかり熱を蓄えているときの少量の水が、いちばんいい音と、いちばんきめ細かい蒸気を返してくれる。ジューッという音が高く澄んで聞こえたら、石が良い状態のしるしです。音を聞き分けられるようになったら、一人前です。(音の楽しみは、こちら。)
アロマ水の作法と、禁じ手
香りを楽しむなら、サウナ専用のアロマ(ロウリュエッセンス)を、桶の水に数滴溶かしてから、いつものようにかけます。白樺、ユーカリ、松、ミント。フィンランドでは白樺やタールの香りが定番です。原液を直接石にかけると、焦げて匂いが台無しになるうえ、石まで汚してしまうので、必ず水で薄めてから。そして、はっきり禁じ手も書いておきます。ビールや日本酒、ジュースなどの飲み物をかけるのは、海外の動画でお遊びとして見かけますが、糖分やタンパク質が石にべっとり焦げ付き、匂いも後始末も、それは悲惨なことになります。やめておきましょう。香りの世界は、専用アロマと白樺の枝葉だけで、十分すぎるほど豊かに広がります。(アロマの話は、こちら。)
一杓を、おいしくする設備を
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、石をたっぷり積める、ロウリュのしがいのあるサウナの設置をお手伝いしています。いい石に、いい水を、いい加減で。この三拍子が揃ったときの一杓は、施設ではなかなか味わえない、自分だけの贅沢です。そんな暮らし、始めませんか。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Estoniansaunas (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



