セルフロウリュの家サウナで、必ず生まれる疑問があります。「何分おきに、かけていいの?」。施設の「ロウリュは10分に1回まで」の貼り紙の記憶もあって、遠慮がちな方が多い。今日は、ロウリュの頻度の設計の話です。正解の数字はありませんが、考え方の芯はあります。

蒸気の波は、数分で引く
ロウリュの蒸気は、かけた直後に天井へ立ちのぼり、1〜2分かけて降りてきて、体を包み、数分でおだやかに引いていきます。この一連が「一波」。波が完全に引いて、部屋の体感が落ち着いてから次の一杯、が基本のリズムです。目安として数分〜10分に一杯前後になりますが、大事なのは時計ではなく、波の引き際を肌で感じること。前の波が残っているうちの連打は、体感が飽和してもったいないだけでなく、石の温度を下げて、次の波を弱くします。
石の回復を、待ってあげる
ロウリュのたびに、石は熱を蒸気に差し出して、少し冷えます。いい蒸気の条件は、石がしっかり熱いこと(水の話)。連打すると石の回復が追いつかず、音は鈍く、蒸気は湿っぽく重くなっていきます。ジュワッと切れのいい音が、石の「準備できたよ」の合図。石をたっぷり積んだヒーターほど回復が早く、波の間隔を詰められます。ハルビアの石量の思想は、ここで効いてくるわけです(石の話)。
ロウリュという、フィンランドの言葉
そもそもロウリュとは、フィンランド語で、熱した石にかけた水から立ちのぼる蒸気そのものを指す言葉です。日本では「水をかける動作」の意味で使われがちですが、本場では、あの立ちのぼる熱気を浴びること全体がロウリュ。古い言い伝えでは、その蒸気にサウナに宿る精霊が乗って現れる、とも語られてきました。ただ暑くするための水ではなく、部屋の空気そのものを作り替える一杯。そう思うと、柄杓を持つ手つきも、少し丁寧になります。頻度を数える前に、まず一杯の意味を味わってみてください。
セットの中で、波を配置する
一回のセットの中の配置も設計できます。入って体が温まるまでは、かけない(乾いた熱で汗の立ち上がりを待つ)。体が開いてきた中盤に一波、仕上げにもう一波。出る直前の一杯は、余韻がもったいないので控えめに。二セット目(こちら)は体が開いているので、波は少なめでも深く届きます。人と入る日は、「かけていい?」の一声と、波の間隔を人数で割る気づかいを(本場の作法)。
一杯の量で、波の高さが変わる
頻度と並んで大事なのが、一杯の量です。柄杓に軽く一杯を、石の広い範囲へさっとかける。これが、切れのいい熱い蒸気を作る基本です。逆に、一度にたっぷりかけると、蒸気は大きくまろやかになり、部屋の湿度も長く続きます。少量をこまめにかけて波を細かく刻むか、多めを一気にかけて一つの大波を作るか。この選び方ひとつで、同じ部屋がずいぶん違う表情を見せます。アロマ水を使うなら、香りは少しで十分に立つので、いつもより控えめの一杯が上品です。かける位置にも、ちょっとした工夫があります。石の一点にどぼどぼと集中させるより、山全体へ弧を描くように散らすと、たくさんの石がいっせいに蒸気を返し、まろやかで大きな波になります。逆に、熱の芯である中央へ狙って落とせば、鋭く力強い一杯に。頻度、量、そしてかける場所。この三つを、その日の気分と体調で組み合わせる。ロウリュは、正解を覚える技ではなく、自分の心地よさを探し続ける、終わりのない遊びです。
波乗りの上手な家に
頻度の答えは、時計ではなく、石の音と肌の体感の中にあります。波を読み、待ち、乗る。ロウリュはサーフィンに似ています。岩手・盛岡のD'STYLEは、いい波の立つサウナの設置をお手伝いしています。波乗りのご相談、いつでもどうぞ。
写真: Estoniansaunas (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



