「サウナに入れば、痩せますか」。ショールームで、いちばん多くいただく質問のひとつです。夢のある問いです。座って汗をかくだけで体重が落ちるなら、これほど楽なことはありません。
だから、正直にお答えします。売り文句ではなく、本当のところを。たぶん、はじめは少しがっかりします。でも、そのあとに希望のある話が続きます。
まず、正直な結論から
サウナから出て体重計に乗ると、たしかに数字は減っています。一回で400〜600gほど軽くなることは、めずらしくありません。うれしい数字です。けれど、その正体は、ほとんどが汗として抜けた水分です。
だから、水を一杯飲めば、すっと戻ります。脂肪が燃えて消えたわけではないのです。むしろ、抜けたぶんはしっかり飲んで補ってください。脱水と、痩せることは別物ですから。数字が減ったからと喜ぶより、まず水を飲む。そのくらいがちょうどいいと思います。

それでも、全否定はしません
とはいえ、「ぜんぶ水分だから無意味」と切り捨ててしまうのは、少し乱暴だと思うんです。サウナには、体重管理をそっと後押ししてくれる面も、たしかにあります。ここからは、その話を。
まず、心臓です。熱に包まれると、心拍数は一分間に120から150ほどまで上がります。木のベンチにじっと座っているだけなのに、軽いジョギングと変わらない働きです。動かないのに、体のなかは走っている。ですから、わずかとはいえ、カロリーはちゃんと使っています。少なくとも、ただ座っている時間よりは、体は多く働いています。
熱は、食欲のブレーキを踏む
もうひとつ、おもしろい仕組みがあります。高い温度に置かれると、体のなかでレプチンという食欲にブレーキをかけるホルモンが働きはじめると考えられています。サウナのあと、不思議とがつがつ食べたくならない。あの感覚には、こうした体の反応がそっと関わっています。
思い当たることは、身近にもあります。熱があるとき、食欲がわかない。あれと似ています。赤ちゃんも、暑い日には食が細くなりますよね。体温が上がると、食べたい気持ちは自然としぼんでいく。だからサウナのあとは、食べすぎた夜より、食卓の前でいくらかおとなしくいられます。
眠りが深くなると、食べすぎが減る
遠回りに見えて、いちばん効いてくるのが、眠りです。
サウナで一度ぐっと上がった体温は、外に出るとゆっくり下がっていきます。人は体温が下がるときに眠くなる生きもの。だから寝る前のサウナは、寝つきを速くして、眠りを深くしてくれます。そして、しっかり眠れた翌日は、過食をうながすホルモンが抑えられると報告されています。寝不足の日ほど、甘いものや脂っこいものに手が伸びる。あれを、良い眠りがそっと断ち切ってくれる。サウナで眠りが深くなれば、翌日の食べすぎまで、少し穏やかになるわけです。

いちばんの落とし穴
さて、ここで正直に、いちばん大きな落とし穴の話をします。せっかくのサウナが、まったく無駄になる瞬間があるのです。
それは、サウナ上がりの、冷えたビールとポテトチップス。あの一杯は、たまらなくおいしい。よくわかります。けれど、サウナがこつこつ稼いだわずかなカロリーは、その一杯とひとつまみで、あっさり帳消しになります。むしろ、しっかりお釣りが来ます。整えた体に、いちばん高カロリーなごほうびを注ぐ。これでは、行って来いです。「サウナで痩せなかった」の正体は、たいてい、この上がりの一杯にあります。
魔法ではない。でも、いい相棒になる
はっきり言えば、サウナは痩せる魔法ではありません。座っているだけで脂肪が溶けていく装置ではない。そこは、ごまかさないでおきます。
けれど、悪者でもありません。体をほどよく働かせて、食欲と眠りを整えてくれる。ちゃんとした食事や運動の、いい相棒にはなる。そう思えば、なかなか頼もしいものです。体重計の数字を追いかけるより、整った体と、穏やかな食欲。まあ、そっちのほうが確かだと思います。
因みに私も「サウナダイエット」と言って、サウナに行く機会を作ってきました。結果は……。そんなことを言いながら入るのも、またサウナの楽しみですね。
痩せるために入る、というより、
整うために入る。結果は、あとからついてくる気がします。
自宅にサウナを、と考え始めた方はサウナの設計・施工のページをご覧ください。盛岡・国道4号線沿いのショールームでは、薪サウナストーブの実物とともに、体にやさしいサウナとの付き合い方をご案内しています。ご相談は無料です。
参考文献:Hõbepappel & Nellis『Suur saunaraamat(大サウナの本)』



