休日の午後、サウナから上がって、畳にごろりと横になる。窓から冬の日が差して、体はまだ、ほかほかと湯気を上げている。そのまま、すうっと落ちる二十分の眠り。目が覚めると、体が軽くて、頭が澄んでいて、休日がもう一回始まったような気分になる。サウナ好きが「ととのい昼寝」と呼ぶ、この時間。今日は、休日の午後をまるごと変える、小さな発明品の話です。

なぜ、あんなに深く眠れるのか
人の眠気は、体の深部の温度が下がっていくときに、強くやってきます。サウナで深部までしっかり温まった体は、そのあと、ゆっくりと長い下がり坂に入ります。この坂の途中で横になると、体は自然に、深い眠りへ滑り込んでいく。夜の睡眠に効く理屈と同じことが、昼間にも起きるのです。手足の血管が開いて熱を逃がし、体の中心の温度がすとんと下がる、その瞬間こそが、いちばんの寝どき。ふだん昼寝が苦手で、目をつぶっても眠れないという方ほど、サウナ後の寝つきの良さに驚かれます。(サウナと夜の睡眠の話は、こちら。)
二十分で起きるのが、極意
ただし、ととのい昼寝には、ひとつだけ極意があります。長く寝すぎないこと。目安は二十分から三十分。それ以上眠ると、体は本格的な深い睡眠に入ってしまい、起きたとき、かえって頭が重くなります。さらに、夕方まで寝てしまうと、今度は夜の寝つきに響く。おすすめは、横になる前に、温かいお茶かコーヒーを一杯。カフェインは飲んでから効くまで二十分ほどかかるので、ちょうど目覚ましがわりに効いてきます。この「カフェインナップ」は、眠気対策の研究でもよく知られた小技です。ソファより、少し硬めの床に毛布が、起きやすくて向いています。
短い昼寝は、宇宙飛行士のわざ
昼寝の力は、まじめに調べられています。アメリカ航空宇宙局が、長時間任務のパイロットや宇宙飛行士を対象に行った研究では、二十六分ほどの仮眠で、注意力がおよそ五割、作業成績が三割ほど高まった、と報告されました(エイムズ研究センター、一九九〇年代)。「パワーナップ」という言葉が世に広まったのも、この研究がきっかけです。スペインのシエスタ、地中海や中国の昼寝の習慣も、昼下がりに眠くなる人の体のリズムに、素直に従った知恵。サウナ後の一眠りは、その最上級版だと思ってください。
昼寝つきの休日は、二度おいしい
ととのい昼寝の何がいいといって、休日が長くなることです。午前中に家の用事を済ませ、昼にサウナ、そして二十分の昼寝。目覚めた午後三時、頭は朝のように澄んでいて、夜までの時間が、まるまる自由に使える。だらだらとスマホを見て過ぎていく休日の午後と、くらべてみてください。休息の質が、時間の質を変えるのです。夜の睡眠を削って昼寝で補うのとは、まるで別もの。夜は夜でぐっすり眠れて、昼はもう一日ぶんの元気が戻る。平日の疲れがしつこく残る方にこそ、この休日のリズムをおすすめします。
岩手の冬の、昼寝の贅沢
そして岩手の冬。薪ストーブの部屋での、ととのい昼寝は格別です。サウナで温まった体、ストーブの輻射熱、パチパチという薪の音の子守唄。窓の外は雪、部屋の中はぬくもり。毛布一枚で、どんな高級ホテルの午睡にも負けません。膝に猫でも乗ってきたら、もう完璧です。(火のそばの時間の話は、こちらも。)
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写真: Cogitato (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



