これまで200本以上、サウナと薪ストーブの話を書いてきましたが、実はまだ、ちゃんと紹介していない主役がいました。私たちの店で生まれた、KUUTA(クータ)というサウナ小屋です。手前味噌の回になることを白状した上で、今日は、うちの子の話をさせてください。
岩手の冬を知る者が、つくった
KUUTAは、岩手のためのサウナ小屋です。この土地の冬を、私たちは商売として、そして生活者として、知っています。氷点下の朝の冷え込み、湿った重い雪、春先に凍結と融解を繰り返す、あのしつこさ。海の向こうから届くサウナ小屋の多くは、乾いた欧州の気候で育った設計です。クータは逆で、岩手の冬から逆算して、形にしました。雪国の暮らしに寄り添う、というその思想は、この土地に住む者の、ささやかな意地でもあります。(詳しい仕様は、KUUTAの製品ページに。読み物では、物語の側を、お話しします。)
なぜ、自分たちで作ったのか
正直に言えば、既製のサウナ小屋を仕入れて売るほうが、ずっと楽でした。それでも自分たちで作ろうと思ったのは、お客様の家に据えたあとの、何十年に責任を持ちたかったからです。冬の厳しさを知らない設計に、岩手の暮らしを合わせるのではなく、岩手の暮らしのほうに、小屋を合わせたい。何度も試作し、実際に火を入れ、蒸気を浴び、雪の朝に扉を開けてみて、ようやく形になりました。作り手が近くにいる安心を、製品そのものに宿らせたかった。それが、クータを生んだ、いちばんの動機です。楽な道より、胸を張れる道を選んだ。その回り道に、後悔はまったくありません。
心臓は、ハルビア
小屋の心臓部、サウナヒーターには、ハルビアを据えています。理由は、200本の読み物で書いてきたとおりです。世界のサウナの本流であること、石をたっぷり積めること、部品供給と信頼性。ハルビアは1950年、フィンランドの鍛冶職人が一台のストーブを作ったところから始まった、サウナの国を代表する老舗です。石をたっぷり積めるほど、蒸気はやわらかく、長く続きます。その、体を包み込むようなロウリュを、岩手の木の香りの中で味わってほしい。器と心臓が、どちらも北の生まれ。だからこその、深い相性です。岩手の器に、フィンランドの心臓。北の土地同士の組み合わせは、相性から言っても、物語から言っても、これしかないと思っています。(ハルビアの話は、こちら。)
地元生まれの、本当の強み
クータのいちばんの強みは、性能でも価格でもなく、距離だと思っています。作った人間が、車で駆けつけられる場所にいる。据えたあと、使い方の相談も、手入れも、万一の不具合も、顔の見える相手が、最後まで面倒を見る。遠くの製品を買うことは、遠くにしか頼れない、ということでもあります。サウナ小屋は、建てた日から何十年と使う道具。近くに親がいる道具は、強いのです。(直して長く使う文化の話は、こちら。)
展示場で、火が入っています
クータの実物は、店の展示場でご覧いただけます。カタログの写真では、木の香りも、ロウリュの音も、伝わりません。実際に小屋に入って、ベンチに腰かけて、できれば火の入った日に、蒸気を浴びてみてください。「思ったより落ち着く」「思ったより静か」。実物の前でいただく感想は、いつも「思ったより」から始まります。百聞は一入にしかず、です。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、そしてクータの生みの親として、この土地のサウナ暮らしを、まるごとお手伝いしています。輸入品との比較のご相談も、遠慮なくどうぞ。うちの子に、会いに来てください。
写真: Visa580 (Wikimedia Commons, CC BY 2.5)



