設置工事が終わって、しばらく経ったお宅に伺うと、お客様がぽろりとこぼす一言があります。私たちはそれを、心の中の語録帳に書き留めてきました。今日は、その帳面から。個人が特定されない形で、少しだけ言い回しを整えていますが、どれも本当に聞いた言葉たちです。カタログのどこにも載っていない、本当の効能がここにあります。
季節が、変わった人たち
「冬が来るのが、楽しみになったんです。人生で初めて」。薪ストーブを入れた一年目の冬、ご夫婦の奥様の言葉です。「天気予報で雪マークを見ると、にやにやしてしまう」と続きました。別のお宅のご主人は「初雪の日、家族全員がストーブの前に集まってきて、ああ、買ってよかったなと」。季節の意味が変わることが、火の道具のいちばん大きな効能だと、私たちはこの言葉たちから教わりました。(初雪の話は、こちら。)
暮らしが、静かになった人たち
「気づいたら、テレビをつけなくなったね、って家族で笑ったんです」。これは本当に、たくさんのお宅で聞きます。「子どもが、ストーブの前で宿題をするようになった」「夫婦の会話が増えた。火を見てると、なんか話せる」。サウナのお宅では「夜のスマホが減って、寝るのが早くなった」「日曜の夕方の憂鬱が消えました。サウナがあるから」。誰も「暖かい」とか「ととのう」とか、性能の話をしないのが、面白いところです。(会話が戻る話は、こちら。)
人が、集まる家になった
「孫が、前より泊まりに来たがるんです」。火のある家には、人が寄ってくるようです。「友人を呼ぶのが好きになった。火があると、間が持つから」「離れて暮らす息子が、帰るたびストーブの前に陣取る」。囲む火があるだけで、家は自然と、人の集まる場所になります。特別なもてなしをしなくても、火と、熱い蒸気と、湯気の立つやかんがあれば、それだけで居心地がいい。「うちが、いちばん落ち着くって言われました」と照れるお父さんの顔は、こちらまで温かくなる名場面です。(もてなしの話は、こちら。)
道具を、超えた人たち
「これはもう家電じゃなくて、家族なんですよ」。十年もののストーブのメンテナンスに伺ったときの一言。「息子が帰省すると、まずストーブに挨拶するんです」と笑っていました。KUUTAのお客様からは「小屋に名前をつけました」という報告も。毎年、納品日に小屋の写真を撮り続けているご家族の話は、記念日の記事にも書きました。道具が、家族の物語の登場人物になっていく。この仕事の、いちばんの報酬です。
時間が、変わった人たち
「火を焚く時間ができてから、一日が長くなった気がします」。効率とは逆の言葉も、よく聞きます。「薪を割る朝が、いちばん頭がすっきりする」「サウナが沸くまでの二十分、ただ待つのが、なんだか贅沢で」。何かを『待つ』時間を、暮らしからわざわざ消してきた私たちに、火と蒸気は、待つ楽しみをそっと返してくれるようです。スイッチひとつで済まないことの中に、豊かさが隠れている。忙しい人ほど、この手間の時間に救われている、というのが、お話を伺っていての実感です。手間ひまは、暮らしの敵ではなく、じつは味方だったのです。
次の一言は、あなたの家から
正直に言えば、設置の決め手は性能や価格の比較でしょう。でも、数年後にお客様の口から出てくるのは、いつも暮らしの言葉です。岩手・盛岡のD'STYLEは、次の語録があなたの家から生まれる日を楽しみに、今日も設置と手入れに走っています。数年後、あなたはどんな一言をこぼすでしょうか。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Asturio Cantabrio (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



