店でときどき、こんな夢を聞かせてもらいます。「平日は盛岡の家。週末だけ、山のほうの小屋でサウナに入って、薪ストーブの前で寝たい」。いい夢です。そして岩手は、この夢に日本でいちばん手が届きやすい土地のひとつです。今日は、週末だけの火の話。
岩手は、週末拠点の適地です
都市圏でこの夢を見ると、土地代と移動時間が立ちはだかります。岩手は違います。盛岡から一時間も走れば、雫石も紫波も遠野の方面も、静かな土地が現実的な値段で見つかる。週末拠点の最大の敵は「行くのがおっくうになる距離」ですが、一時間圏内なら金曜の夜にふらっと行けます。着いたら薪ストーブに火を入れ、サウナを温めて、雪や星の下で外気浴。月曜の朝には街の人に戻る。この切り替えそのものが、何よりの休養になります。
フィンランドの週末小屋という、手本
週末だけの火の暮らしには、立派な手本があります。フィンランドの「モッキ」、湖畔などに建つ夏の別荘小屋です。フィンランドの人々は、金曜になるとモッキへ向かい、まずサウナに火を入れる。汗をかいては湖に飛び込み、また温まる。派手な設備ではなく、薪サウナと水辺と静けさだけの、簡素で豊かな週末。フィンランドには人口に対してたいへん多くのサウナとモッキがあると言われ、それは彼らが「週末は自然の中で、火と水でととのう」ことを国民的な習慣にしてきた証です。岩手の山あいで週末の火を焚くことは、この北欧の知恵を、そのまま我が家に招くことでもあります。
週末の火には、週末の作法がある
離れて焚く火には、住まいの火と違う注意がいくつかあります。いちばんは冬の凍結。留守のあいだ建物は氷点下まで冷えるので、水回りは水抜きが基本です。サウナは、その点で気楽です。ロウリュの桶とタンクさえ空にしておけば、凍って困るものが少ない。薪ストーブは、着いてすぐの冷え切った煙突は引きが弱いので、焚き付け多めで丁寧に立ち上げます(着火の話)。薪は現地の薪棚で乾かし、ネズミ対策に食料を残さない。作法といっても、この程度。あとは火の楽しみが待っているだけです。
小屋ごと運べる、サウナという道具
週末拠点の建物を一から建てると大ごとですが、サウナ小屋には身軽な選択肢があります。私たちの作るサウナ小屋KUUTAのように、完成した小屋を運んで据える形なら、土地が決まれば話が早い。将来土地を変えるときも、サウナは連れていける。週末の火の入口としては、母屋より先にサウナ小屋、という順番も大真面目にありです(費用の話)。
二つの暮らしが、心をほどく
週末拠点のいちばんの効用は、心の切り替えです。平日は街で気を張り、週末は山で肩の力を抜く。場所が変われば、頭のモードも切り替わります。薪を割り、火を熾し、サウナを温める。この手を動かす作業には、都会の考えごとを追い出す不思議な力があります。画面から離れ、炎と湯気だけを見つめる時間は、いちばん贅沢な休みです。四季それぞれに楽しみもある。春は芽吹きの中で、夏は虫の声を聞きながら、秋は落ち葉を焚き付けに、冬は雪明かりの下で。同じ小屋が、季節ごとに違う顔を見せてくれます。二つの拠点を行き来する暮らしは、一つの家では味わえない、心のゆとりを連れてきます。行くたびに、こわばった肩が少しずつほどけていくのが分かります。
夢の下見から、どうぞ
岩手・盛岡のD'STYLEは、サウナ小屋KUUTAの製作と、ハルビアのサウナヒーターや薪ストーブの設置で、週末の火の夢をお手伝いしています。土地はまだ決まってなくても大丈夫。夢の段階のご相談が、いちばん楽しい仕事です。
写真: Muundahweed (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)



