これまで紹介してきたKIHDコホートの報告には、すでに高血圧のある人の話(収縮期140mmHg以上の群の研究)もありましたが、今回紹介するのは少し違う切り口です。もともと高血圧のなかった人が、その後に高血圧を発症するかどうかを追った研究です。

高血圧のなかった1,621人を追う
2017年、American Journal of Hypertension誌(30巻11号1120〜1125ページ)に、Zaccardi、Laukkanenらの論文が載りました。対象は、KIHDコホートのうち、ベースラインの時点で高血圧のなかった男性1,621人。年齢は42歳から60歳です。
結果は、週1回の群を基準に、週4〜7回サウナに入っていた群で、その後の高血圧の発症リスクがおよそ半分近く低かったと報告されています。
「発症を防ぐ」と「すでにある血圧を下げる」は別の話
この記事のポイントは、対象が「もともと血圧に問題のなかった人たち」だという点です。以前の記事で紹介した収縮期140mmHg以上の人たちを対象にした研究とは、見ている集団が違います。すでに高血圧のある人にサウナがどう働くかと、健康な人がその後高血圧になるかどうかは、別の問いです。この論文が答えているのは後者です。
ここでも観察研究としての限界は変わりません。サウナに頻繁に入る習慣のある人たちは、もともと運動量や食生活など、他の生活習慣も違っていた可能性があります。年齢などの主要な項目は調整されていますが、それで説明しきれない部分は残ります。
岩手の暮らしと血圧
冬場、寒い脱衣所から急に熱い湯船に入る「ヒートショック」は、血圧の急激な変動を招く危険な現象として知られています。サウナも温度差のある環境ですが、この研究が見ているのは急激な一回の変化ではなく、長期にわたる習慣としての頻度です。混同しないよう、ここははっきり分けておきます。
血圧が気になる年齢になってから対策を考えるより、その前段階から無理のない習慣を持てるかどうか。家にサウナがあることの意味は、そうした長い時間軸で考えるものなのかもしれません。
よくあるご質問
Q. すでに血圧が高いのですが、この研究は当てはまりますか。
この研究の対象は、もともと高血圧のなかった方です。すでに高血圧のある方は、以前の記事(収縮期140mmHg以上を対象にした研究)をご参照いただくか、主治医にご相談ください。
Q. 週4〜7回に、無理して合わせるべきですか。
目標にする数字ではありません。観察研究が示した関連であり、無理に頻度を増やすより、続けやすい環境を整えることのほうが現実的だと考えています。
Q. ヒートショックとは違う話ですか。
はい。ヒートショックは急激な温度変化による血圧の乱高下を指す現象で、この研究が扱う長期的な入浴頻度の話とは別のものです。
D'STYLEは盛岡でサウナと薪ストーブを扱っています。血圧が気になる方には、無理のない温度設定と入り方をご提案しています。ご相談は無料です。
参照した研究
- Zaccardi F, Laukkanen T, Willeit P, Kunutsor SK, Kauhanen J, Laukkanen JA. American Journal of Hypertension. 2017;30(11):1120-1125(KIHDコホート。ベースラインで高血圧のなかった男性1,621人・42〜60歳を追跡。週1回群と比べ週4〜7回群で高血圧の新規発症リスクが約半分低かったと報告)
この記事は研究の紹介であり、高血圧の予防・治療効果を保証するものではありません。持病のある方、通院中・服薬中の方は、主治医にご相談のうえご利用ください。



