突然ですが、問題です。世界中の言語にそのまま輸出された、ほぼ唯一のフィンランド語は何でしょう。答えは、sauna(サウナ)。英語でもドイツ語でも日本語でも、サウナはサウナです。千年以上の歴史を持つこの言葉は、フィンランドが世界に贈った、いちばん有名な単語なのです。今日は、サウナ好きのための、フィンランド語ミニ講座。挨拶から人生観まで、知ると楽しい言葉を並べます。

まずは、挨拶から
キートス(kiitos)は、ありがとう。フィンランド旅行で一つだけ覚えるなら、これです。モイ(moi)は、やあ、という気軽な挨拶。別れ際はモイモイ(moi moi)と二回重ねるのが、なんとも可愛いところです。ヒュヴァー・サウナ(hyvää saunaa)と言えば「良いサウナを!」。これからサウナに向かう人への、あの国らしい送り出しの言葉です。そしてサウナ上がりの人には、ねぎらいの言葉をかける習慣もあります。サウナに入る前と、上がった後、その両方に専用の挨拶が存在する国。それだけで、彼らのサウナへの本気が伝わってきます。
サウナまわりの、おなじみの単語
ロウリュ(löyly)は蒸気、ヴィヒタ(vihta)は白樺の若枝を束ねたもの、キウアス(kiuas)はサウナヒーターのこと。ハルビアの製品名やカタログにも、フィンランド語がたくさん隠れています。アヴァント(avanto)は、凍った湖に開けた穴。そこに入るのがアヴァントウインティ、いわゆる氷泳です。テルヴァ(terva)は白樺から採るタールで、サウナの香りづけや石けんにも使われる、あの国の懐かしい匂い。単語をひとつ知ってから製品や旅行記を眺めると、風景の解像度が一段くっきり上がります。(用語の物語は、サウナの言葉たちへ。)
自然と暮らしの、ことば
もう少し、耳に心地よい単語を。メッツァ(metsä)は森、ヤルヴィ(järvi)は湖、ルミ(lumi)は雪。国土の多くを森と湖が占め、長い冬を雪とともに暮らすフィンランドを、この三語がそのまま描いてくれます。コティ(koti)は家、そして「わが家のサウナ」は、彼らにとって特別な言葉です。森を歩き、湖で泳ぎ、雪を眺め、家のサウナで一日を締める。日本語に「木漏れ日」や「雪見」があるように、その土地の暮らしが濃い言葉ほど、そのまま文化の地図になります。岩手の私たちにも、しっくり来る単語たちです。
シスという、あの国の背骨
言葉の講座の山場は、シス(sisu)。直訳の難しい言葉で、困難のなかで静かに粘り抜く力、とでも訳されます。派手な根性論ではなく、淡々と、あきらめず、やり抜く芯の強さ。長く暗い冬を、サウナと工夫で楽しみに変えてきた、あの国民性の背骨にあたる言葉です。氷点下の湖に穴を開けて入り、上がってきてにっこり笑う人たち。あれこそがシスです。豪雪と長い冬を毎年やり過ごし、それでも春を待つ岩手の私たちにも、この言葉はどこか通じるものがあると思いませんか。(幸福度世界一の国の話は、こちら。)
おまけの一語、カルサリカンニ
最後に、思わず笑ってしまう一語を。カルサリカンニ(kalsarikännit)。意味は「外出の予定もなく、家で下着姿のまま、ひとりで気ままに飲むこと」。これ専用の単語が、ちゃんと存在するのです。国が観光の絵文字にまでした、由緒正しい過ごし方。サウナ上がりの、誰にも会わない夜の一杯。あの、しみじみとした幸せに、わざわざ名前を付けた国を、私たちは深く信頼しています。
キートスと言いに、来てください
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、言葉と文化ごとフィンランドのサウナをお届けしています。設置が終わった日、「キートス」と言っていただけたら、私たちは最高にうれしい。おすすめの一台のご相談、いつでもどうぞ。モイモイ!
写真: Petritap (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)



