どうも、D'STYLEの橋本です。北欧サウナの旅、今回はフィンランド・ヘルシンキから、サウナを通してリトアニア・ヴィリニュスへ渡ってきました。スモークサウナ(煙のサウナ)を巡る旅です。
電話予約のみ、アジア人は私だけ
最初のお店は電話予約のみ。英語の弱い私には、入口からハードルの高い施設でした笑。
セッション前に、サウナマイスターがひとりずつ「どこから来たの?」と聞いていくのですが、30人ほどのお客さんは地元の方、フランス、ニュージーランド……アジア人は私だけ。でも、サウナ好きであれば言葉の壁なんて簡単に超えられます! ということで、全力で楽しんできました。
氷を割って、水風呂へ
この日もスモークサウナで完全に決まりました。外はマイナス18℃。水風呂は、サウナ室を出るとすぐ表面に氷が張ってしまうので、氷を割りながら入るスタイルです。
サウナ室は2.5mほどの高さに最上段のベンチがあって、締めは地獄の釜を開けたような熱波。でも、そこは日本の熱波で鍛えた身です。最上段に残り続けたのは私のみでした!
雰囲気はクラブみたいな感じで、みんな音楽やドリンクを楽しんでいます。酒もタバコもやらない私は、サウナと水風呂と外気浴だけをガッチリ3時間、堪能してきました。内装は、サウナ好きの個人がDIYで作り込んだような温かみのあるつくり。スモークタイプの薪ストーブサウナヒーターの熱量(熱カロリー)を体で知ることができたのは、大きな収穫でした。
ちなみにお店の側でも薪ストーブを焚いていました。人が集まる場所で薪ストーブが使われているのを見ると、商売柄、なぜか嬉しくなります。
サウナが好きなら、
言葉の壁なんて、なんとかなる。
アリダスさんの、私のためだけのサウナ
旅のハイライトは、アリダスさんのプライベートスモークサウナ室でした。記録をそのまま書きます。
ドア:アリダスさんのお手製。壁の仕上げ:アリダスさんのお手製。しかも丸太を積んだ壁は、厚さ70センチ。ベンチ:施術のための一段。ヒーター:スモーク薪ストーブ。水風呂:雪へダイブで十分! 外気:マイナス18℃。中は窓もなく真っ暗で、火の名残の煙のにおいだけが、ふわりと鼻をくすぐります。この煙のにおいが、なぜだかサウナー心をくすぐるんです。


そしてアリダスさんのウィスキング(施術)は、四幕にわかれていました。ひと幕がだいたい10分から15分。まずは、じっくり身体を温める。次に、塩を全身に擦り込むスクラブ。三幕目は、ヴァンタ——葉のついた枝束で全身を叩き、撫で、ときおり冷たい水をバケツでかけ、そばの小さなプールに沈める。そして最後に、はちみつを塗り込んで、また整える。これを、たったひとりの客である私のために、休みなく続けてくれました。
使っていたのは、オーク——日本でいう柏の葉のヴァンタでした。煙でいぶされた真っ暗な小屋の中で、その葉を顔に近づけると、炭のにおいに負けないくらい、青い若葉の香りが立ちのぼる。あんまり気持ちが良くて、下手な一句を詠みました。
炭の香に 負けぬヴァンタの 若葉の香
ととのったあとは、薪ストーブのそばで、ハーブのお茶をいただきました。通訳をしてくれたのは、アリダスさんの娘さん。片言と身振りと、娘さんの言葉をたよりに、サウナのこと、家族のこと、これからのことを、ぽつぽつと話す。まるでカウンセリングのようでした。足もとでは、愛犬のフェミが、のんびり寝そべっている。聞けばアリダスさんは、ウィスキングの大会で審査員も務めるほどの人でした。道理で、と深くうなずきました。
温度の上がり方、湿度、施術の場としてのロケーション。何より、私のためだけに捧げていただいた時間です。正直、まいりました。
帰り、次のフィンランドへ向かう空港にいても、まだ森に包まれ続けているような感覚が残っていました笑。僕はサウナーになり切れないサンロクサウナーですが、少しだけ本物のサウナーに触れることができた、素敵な時間でした。
施工の概念が、覆っていく
北欧サウナ研究会でのこの旅は、サウナ室の施工概念を覆される発見ばかりです。温度でも設備でもなくて、結局は「その人のための時間」なんだと思います。そんなことを考えながら、次の街へ向かいます。
Ačiū!(リトアニア語で、ありがとう)



