フィンランドやロシアの蒸し風呂文化を紹介してきましたが、東アジアにも独自のサウナ文化があります。韓国の「チムジルバン」です。今では24時間営業の複合施設として親しまれていますが、そのルーツをたどると、朝鮮王朝時代の石窯サウナにたどり着きます。
「찜질(チムジル)」は温めること
チムジルバンという言葉は、韓国語の「찜질(チムジル=温めること)」と「방(バン=部屋)」を組み合わせたものです。文字どおり「温める部屋」を意味します。現代の韓国の都市部では、街のあちこちにこうした施設があり、単に汗を流すだけでなく、デートや家族の外出先としても利用される、生活に根づいた場所になっています。
ルーツは、王朝時代の「ハンジュンマク」
チムジルバンの原型とされるのが「ハンジュンマク(汗蒸幕)」です。記録に残るもっとも古い言及は、15世紀の『世宗実録』に見られる「ハンジュンソ」で、これは国が支援し、僧侶が管理する蒸し風呂施設だったとされています。1429年以降は男女別の施設として建てられるようになったという記録も残っています。
ハンジュンマクは、松の木を燃やしてドーム状の石窯を高温に熱し、その中に入るという、強烈な高温・低湿度が特徴の蒸し風呂です。フィンランドのサウナやロシアのバーニャが木造の部屋を熱するのに対し、石の窯そのものを熱してその余熱を利用するという、独自の構造を持っています。もともとは医療目的でつくられ、免疫力を高め、体内の毒素を排出すると考えられていたと伝えられていますが、これは当時の考え方であり、現代の医学的な効能を保証するものではありません。

1992年、現代のチムジルバンが生まれる
現在のような複合施設としてのチムジルバン文化は、1992年ごろに始まったとされています。古い銭湯を、温浴とくつろぎを兼ねたウェルネス施設へと作り替える動きが広がり、韓国各都市に現在のチムジルバンが定着していきました。低温から高温まで温度の異なる複数の部屋、食堂、仮眠スペースなどを備え、家族や友人と一日を過ごせる場所として発展しています。
石を熱するという発想
ハンジュンマクの「石窯を熱してその余熱で温める」という発想は、当社が扱うサウナストーブの考え方とも重なるところがあります。ストーブそのものが発する熱と、積んだ石(ロックストーン)にたまった熱の両方を利用するのがサウナヒーターの基本的な仕組みです。国も時代も違う場所で、それぞれ独自に「石に熱をためて、じんわり長く暖める」という知恵にたどり着いていたことは、火を扱う仕事をしていると、素直に興味深く感じます。
よくあるご質問
Q. チムジルバンとハンジュンマクは同じものですか。
ハンジュンマクは朝鮮王朝時代からの石窯式の蒸し風呂で、チムジルバンの原型とされています。現代のチムジルバンは、これを現代化・複合施設化したもので、厳密には別の形態です。
Q. 韓国式サウナは、フィンランド式と何が違いますか。
ハンジュンマクは松材で熱した石窯による高温・低湿度が特徴とされます。フィンランド式は木造の部屋を比較的乾いた熱で満たし、ロウリュで一時的に蒸気を加える点が異なります。
Q. 自宅でハンジュンマクのような環境はつくれますか。
石窯そのものの再現は難しいですが、蓄熱性の高いサウナストーブと石を組み合わせることで、じんわりと長く続く熱という考え方には近づけます。ご興味があればご相談ください。
D'STYLEは盛岡で薪ストーブとサウナを扱っています。世界各地の「熱で温める」知恵を知ることは、自分たちの暮らしに合った形を見つけるヒントになります。ご相談は無料です。
参照した情報源
- 『世宗実録』(朝鮮王朝実録)におけるハンジュンソ(汗蒸所)の記載に関する各種紹介記事(15世紀の記録が最古とされる)
- 韓国の入浴文化・チムジルバンの歴史に関する一般的な紹介記事(1992年頃の現代的チムジルバン普及の経緯を含む)
本記事は、韓国のチムジルバン・ハンジュンマク文化に関する一般的な紹介です。医療目的とされた歴史的背景は当時の考え方として紹介したものであり、現代の医学的な効果を示すものではありません。



