先に、白状しておきます。薪ストーブのメンテナンスが、めちゃめちゃ好きです。仕事だから、というより先に、好きだからやっている。煤で真っ黒になりながら、鋳物のボルトを一本ずつ確かめている時間が、本当に楽しい。なぜそんなに好きなのか。少し昔の話から、させてください。
16歳、ポート研磨から始まった
始まりは16歳。50ccのバイクでした。買ったままでは飽き足らず、エンジンをばらしては、ポート研磨に明け暮れていました。ポート研磨というのは、エンジンの中で混合気と排気が通る道を、手作業で磨き上げてなめらかにする作業です。通り道の抵抗がわずかに減るだけで、エンジンの回り方が変わる。少しでも速く。ただそれだけのために、小さなエンジンを開けては磨き、組んでは走らせる。そんな16歳でした。
ポート研磨は、地味な作業です。派手な部品交換と違って、外から見ても何も変わりません。それでも、手を入れた機械は、走らせればちゃんと応えてくれる。あの手応えを覚えてしまうと、まあ、抜けられないんです。
ハーレーの鋳物と、薪ストーブの鋳物
バイクは、そのまま人生の相棒になりました。ハーレーダビッドソンはスポーツスターに始まり、パンヘッドを経て、いまはショベルヘッドに乗っています。ロッカーカバーが鍋のかたちだからパンヘッド、シャベルのかたちだからショベルヘッド。あの丸みを磨いたことのある方なら、この先の話は説明がいらないはずです。どちらも半世紀以上前に設計された空冷の鋳物エンジンで、開ければ開けるほど素直、手をかけた分だけ調子で返してくる。だから好きで、乗り継いできました。

このパンヘッドは、S&Sのパーツで1560ccのボア&ストローカー仕様に改造しました。エンジンを開けて、自分の望む形に組み替えていく。ただ、この排気量のキック始動は、年齢とともにさすがに辛くなってきました。いまはセル付きのショベルヘッドに乗り換えて、快適に乗っています。

そして、薪ストーブ屋になって、初めてストーブをメンテナンスした日のことです。扉を外し、ガスケットの当たりを確かめ、鋳物のボルトを締めていく。その瞬間、手が覚えている感覚と、ぴたりと重なりました。これは、16歳の頃からいじってきた、あの鋳物エンジンと同じだ。
鋳物のボルトを締める、あの手応え。
ハーレーも薪ストーブも、同じなんです。
考えてみれば当然で、薪ストーブの多くは鋳物や鋼板でできた、火を扱う機械です。熱で膨張と収縮を繰り返し、可動部は季節ごとに表情を変える。バイクのエンジンと同じで、手を入れれば、そのぶんちゃんと応えてくれる。あの日、すっかりどハマりしました。それきり、今もずっと続いています。

ガレージの話には、まだ続きがあります。ランドクルーザー60を当時の色に全塗装して乗っている話はランクル60と、長く乗るという贅沢に、旅の相棒だった古いコールマンを直す話はコールマンと、月あかりの夜に書きました。どちらも根っこは今日の話と同じです。
メンテナンスが好きな店に頼む、ということ
メンテナンスを頼む先を選ぶとき、技術や資格はもちろん大事です。ただ、もうひとつ。その人がメンテナンスを「好き」かどうか。ここが案外、大きいと思っています。
好きだから、細部まで見たくなる。ボルトの増し締め、ガスケットの当たり、扉やダンパーの動き。それから、煙突の中がいまどうなっているか。見ること自体が楽しいから、隅々まで目が行く。バイクを愛車として整備するのと同じ目線で、お客さまのストーブに向き合う。私たちのメンテナンスは、そういう時間です。どこをどう見ていくのか、点検の考え方は自分でできる薪ストーブのメンテナンスで詳しく書きました。

煙突の中は、この仕事のハイライトです。一年でどれだけタールが付いたかは、薪の乾き、焚き方、煙突の計画で全部変わります。掃除をしながら「今年はいい焚き方でしたね」と答え合わせができる。煙突掃除がなぜ毎年必要なのかは、煙突掃除人が、本当のことを話しますに全部書いています。


シーズンオフに、やっておくと安心
メンテナンスの適期は、火を使わないシーズンオフです。春から夏のうちに煙突の中と本体を整えておけば、煤やタールが湿気を吸って金物を傷める前に手が打てるし、部品の交換が必要になっても、焚き始めまでにゆっくり間に合います。秋口に慌てるより、ずっとラクな段取りです。
D'STYLEのメンテナンスの内容はメンテナンスのページに、煙突掃除は自社ブランドサンタクリーンにまとめています。私は英国RODTECH社認定の煙突掃除 安全インストラクターとして、東北第一号の認定を受けました。16歳から磨き続けてきた手で、あなたのストーブと煙突を見に行きます。
メンテナンスのご相談、お気軽にどうぞ。電話は019-681-2477(9:00〜17:00、水曜定休)につながります。「最近ちょっと焚き心地が変わった」くらいの話から、大歓迎です。好きな話なので、つい長くなります。


