六月の第二土曜、盛岡近郊の路を、色鮮やかに着飾った馬たちが行進します。チャグチャグ馬コ。滝沢の蒼前神社から盛岡八幡宮まで、百頭近い馬が鈴を鳴らして歩く、国の無形民俗文化財の祭りです。チャグチャグという祭りの名は、あの鈴の音から。今日は、この祭りの背景にある、馬と暮らした家の話です。
祭りの正体は、馬への感謝
チャグチャグ馬コは、見世物ではなく、感謝の祭りです。農耕馬に一年の労をねぎらい、馬の守り神である蒼前様に無病息災を祈る。着飾らせるのは、わが子の晴れ着と同じ心です。南部地方は古くから馬産地で、馬は農耕に、運搬に、軍馬に、暮らしの根幹を支える存在でした。だからこの土地の人は、馬を家畜と呼ぶより、家族として遇したのです。
曲り家は、馬と住むための建築
その象徴が、南部曲り家です。L字に曲がった茅葺きの家。曲がった部分は馬屋(まや)で、人の住まいと馬の住まいが、一つ屋根の下で直結しています。理由は、岩手の冬。馬を寒さから守るため、そして囲炉裏の暖気が馬屋にも届くように、人と馬は同じ家に住みました。囲炉裏の火は、人と馬を一緒に暖めていたのです(囲炉裏の話)。土間越しに馬の気配を感じながら眠る暮らし。遠野ふるさと村や県内の保存曲り家で、今もその空間に立てます。馬の顔がのぞく窓の高さに、家族としての距離感が残っています。
火のそばに動物がいる家の、系譜
気づいた方もいるでしょう。ストーブの前の特等席を犬猫が占領する現代の光景(こちら)は、曲り家の直系の子孫です。火のそばに、人と動物が一緒にいる。この家の形を、岩手は何百年もやってきました。ペットと薪ストーブの家は、実はこの土地の伝統的な間取りの、現代版なのです。六月、鈴の音の行進を見かけたら、思い出してください。あの祭りは、火のそばで動物と暮らしてきた土地の、感謝の音です。
家族全員の、火を
岩手・盛岡のD'STYLEは、二本足にも四本足にもやさしい火の家をお手伝いしています。曲り家の知恵の続きを、あなたの家で。ご相談、いつでもどうぞ。



