薪ストーブの夜の過ごし方として、これまで読書や音楽の話をしてきました。今日は、もっとにぎやかな夜の話です。ボードゲーム。将棋、囲碁、トランプ、人生ゲーム。電源も電波もいらない遊びたちは、火のそばで、驚くほどいい顔をします。

火明かりと盤上の、相性
ボードゲームと薪ストーブの相性の良さには、理由があります。どちらも、時間がゆっくり流れる遊びだからです。動画は一秒も待ってくれませんが、将棋の相手は、こちらが長考しても待ってくれる。薪がぱちりとはぜて、駒がぱちりと鳴る。この二つの音は、実の兄弟のようによく合います。それに、ゲームの合間の「待ち時間」に、火があるのがいい。相手の番のあいだ、炎を眺めてぼんやりする。この間があるから、盤上の夜は、せかせかしないのです。画面の遊びが与えてくれない、ゆったりとした時間が、そこに流れます。スマホを置いて盤に向かう夜は、それだけで一日の速度が、ふっとゆるみます。
盤を挟むと、話が生まれる
不思議なもので、面と向かうと続かない親子の会話が、盤を挟むと続きます。視線が盤の上にあるから、話すことが照れくさくない。一手ごとに、悔しがったり、笑ったり。じいちゃんが孫に将棋を教える。母と娘がオセロで真剣勝負をする。盤上の時間は、世代の橋です。囲炉裏端で、かるたや花札を囲んだ日本の冬の夜は、そのまま薪ストーブの前に引っ越しできます。お正月に百人一首を広げれば、それだけで、家の中がひとむかし前の静かな祝祭になります。(囲炉裏端の語りの文化は、遠野物語の話に。)
停電の夜の、切り札でもある
実用の話もひとつ。ボードゲームは、停電の夜の最強の切り札です。薪ストーブが家を暖め、湯を沸かし、その火明かりのそばで、家族でトランプ。テレビもゲーム機も沈黙した夜が、「あれはあれで楽しかったね」という思い出に変わるかどうかは、火と、アナログの遊びがあるかどうかで決まります。防災用品の箱に、トランプを一組。おすすめです。(停電と薪ストーブの話は、こちら。)
北欧の遊びも、火とよく合う
遊びと火の相性は、北欧でも同じです。フィンランド生まれの「モルック」という、木の棒を投げて数字を競うゲームは、日本でも人気が広がりました。夏は庭で、冬は暖かい室内で。サウナ好きの国は、遊び好きの国でもあります。彼らにとって、サウナで汗を流し、火のそばでゲームに興じ、また汗を流すというのは、休日のごく自然な流れ。木でできた、素朴で、みんなで笑える遊びは、火や蒸気とまったく同じ手ざわりを持っています。遊び道具を木で選ぶと、火のある部屋にすっとなじむ。それには、たぶん理由があります。ルールさえ覚えれば、言葉の壁も年齢の差も越えていけるのが、遊びのいちばんいいところです。
サウナ後の一戦も、また良し
そして、サウナ好きのご家庭なら、湯上がりの一戦を。ととのった頭の将棋は、妙に冴える夜と、まるで駄目な夜があって、それがまた笑えます。冴えた頭で読みが走る日もあれば、心地よくゆるんで長考のまま眠くなる日もある。勝ち負けより、その日の頭の調子そのものを味わう。サウナ、ボードゲーム、火のそば。電源を使わない夜の三点セットは、どんなサブスクより、家族の記憶に長く残ります。電源が落ちても、笑い声だけは消えないのです。
遊びの生まれる居間を
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハースストーンやバーモントキャスティングスの薪ストーブの設置を通じて、家族が集まりたくなる居間づくりをお手伝いしています。火の前に、小さなテーブルをひとつ。それだけで、夜の遊び場の完成です。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Tero Karppinen from Finland (Wikimedia Commons, CC BY 2.0)



