盛岡市の北東、標高約700メートルの高原に、岩洞湖(がんどうこ)という湖があります。冬には湖面がまるごと凍り、氷に穴をあけてワカサギを釣る風景が広がる。岩手の人間には、おなじみの冬の名所です。

そしてこの岩洞湖のほとり、薮川(やぶかわ)という地区は、「本州でいちばん寒い」と言われる土地です。過去には氷点下35℃を記録したと伝えられ、今でも冬になれば氷点下20℃台の朝が普通にやってきます。
氷の上に、まちが立つ
厳冬の岩洞湖は、湖面が分厚い氷に覆われ、その上に色とりどりのテントが並ぶ、氷上の小さなまちになります。氷に穴をあけ、細い仕掛けを垂らして、透きとおったワカサギを釣る。岩手の冬の風物詩で、毎年一月から解禁され、県内外から釣り人が集まります。氷点下の湖上は、じっとしていると芯から冷える世界。だからこそ、釣ったワカサギを持ち帰って天ぷらにして、熱い風呂やサウナで体を戻すまでが、ここの冬の一日です。凍える寒さと、そのあとの温もり。その落差ごと味わうのが、岩洞湖の冬の醍醐味なのです。寒さそのものを遊びに変えてしまうのが、雪国に生きる人の底力です。
同じ盛岡市内でも、寒さは違う
おもしろいのは、ここが「盛岡市」だということです。市街地と薮川では、同じ市内なのに朝の気温が10℃以上違う日もある。つまり、「どこに住んでいるか」で、必要な暖かさはまるで変わるのです。
これは盛岡と関東を比べれば、もっとはっきりします。カタログに書いてある「何坪用」という数字は、どこの冬を想定した数字なのか。関東の冬なら十分でも、岩手の1月の朝には足りない。そういうことが、実際に起きます。
だから当社は、岩手の寒さを基準にします
D'STYLEが薪ストーブやサウナをご提案するとき、頭の中にあるのはいつも岩手の冬です。ATK指数の適正サイズも、岩手の住宅事情から逆算して作りました。カタログの数字は参考にしつつ、最後は「この家の、この土地の冬に足りるか」で考える。それが、寒い土地の専門店の責任だと思っています。
ちなみに、当社のオーダーメイドサウナKUUTAの最上級モデルは「Gandō(ガンドー)」という名前です。由来はもちろん、岩洞湖。氷点下35℃の土地でも使えるように、という設計思想に、この土地の名前を借りました。
実際の寒さと、-35℃という設計基準
正直な数字も、あわせてお伝えしておきます。薮川では、毎年のように氷点下20℃近くまで冷え込みます。盛岡の市街地でも、年によっては氷点下15℃になる朝がある。氷点下35℃という記録は、あくまで過去に一度記録されたとされる、極めて稀な値です。
では、なぜGandōは「-35℃」という数字を設計の基準に置いたのか。それは、その土地の「よくある寒さ」ではなく、「この先いつか来るかもしれない、いちばん厳しい寒さ」に備えるためです。実際の使用環境が氷点下20℃前後だとしても、氷点下35℃でも成立する断熱性能を持たせておけば、日常の寒さには圧倒的な余裕を持って応えられます。
これは、誇張ではありません。むしろ逆で、これこそが現代の高断熱サウナのあり方だと私たちは考えています。いちばん厳しい条件を基準に設計し、実際の使用ではその性能に余裕を持たせる。車の安全基準や、住宅の耐震基準と、考え方は同じです。Gandōの断熱は、岩洞湖の記録的な寒さを、ひとつの目標として組み込んだ結果なのです。
なぜ、そんなに冷え込むのか
薮川がこれほど冷えるのには、理由があります。標高約700メートルの高原で、まわりを山に囲まれ、海から遠い内陸。晴れて風のない夜は、地表の熱がどんどん空へ逃げる「放射冷却」が強く効き、冷たく重い空気が低い土地にたまっていきます。雪と晴天と無風がそろった朝が、いちばん厳しく、いちばん美しい。ダイヤモンドダストが陽にきらめき、木々には霧氷が白く咲く。厳しさと絶景は、同じひとつの朝の、表と裏なのです。この底冷えを知る土地だからこそ、火のありがたみも人一倍で受け止められてきました。
寒い土地は、火がいちばん似合う土地
氷点下の朝、薪ストーブの前に立ったときの「あったけー」は、寒い土地でしか味わえないごちそうです。冬が厳しいほど、火のありがたさは深くなる。岩手の冬は、薪ストーブとサウナにとって、日本でいちばんの舞台だと私たちは思っています。
あなたの家は、どんな寒さの土地にありますか。現地調査で、その土地の冬ごと引き受けます。
岩手・盛岡で薪ストーブ・ペレットストーブをお考えの方は、ハースストーン・バーモントキャスティングス正規代理店のD'STYLEへ。煙突の計画から設置工事まで、おすすめの一台をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。
写真: Timo_w2s (Wikimedia Commons, CC BY-SA 2.0)




