北東北の火と蒸気の旅、青森編の第一回は、木の話です。青森ヒバ。秋田杉、木曽ヒノキと並ぶ日本三大美林に数えられる、北の名木です。そしてこの木、サウナと風呂の世界では、知る人ぞ知る実力者なのです。
ヒノキチオールという、天然の武器
青森ヒバの最大の特徴は、ヒノキチオールという成分を豊富に含むことです。名前に反してヒノキにはごく僅かしか含まれず、ヒバにこそ多い、この成分。強い抗菌・防虫作用で知られ、ヒバの木が腐りにくく、シロアリに強く、カビにも強い理由がこれです。だから青森ヒバは、土台や風呂桶、まな板の最高級材として愛されてきました。ヒバのまな板が「乾きが早くて臭くならない」と料理人に指名されるのも、社寺建築で数百年を生きるのも、この天然の武器のおかげです。
湿気に強い木は、蒸気の場所に向く
腐りにくく、カビに強く、香りが良い。この三拍子は、そのまま「湯と蒸気の空間に向く木」の条件です。実際、青森ヒバは浴室や風呂桶の伝統的な銘木であり、サウナや浴場の内装材としても使われてきました。あの独特の、ヒノキよりも野性味のある森の香りは、蒸気で立ちのぼると一段と濃くなります。木の香りと蒸気の関係(入る森林浴の話)の、北東北代表と言っていい木です。
ヒバ油一滴の、手軽な楽しみ
ヒバの香りは、木材を買わずとも楽しめます。青森の特産品、ヒバ油(ひば精油)です。数滴を桶の水に落としてロウリュに使えば、ヒバの香りの蒸気が立ちます(精油の作法はアロマ水の話のとおり、原液の直がけは厳禁)。掃除の水にひと垂らしすれば、カビの気になる季節のサウナ小屋の味方に。虫よけとしても昔から使われてきた油です。フィンランドの白樺(こちら)に対する、北東北の答えがヒバだと思ってください。
北の木の国から
青森のヒバ、秋田の杉、岩手のナラと漆。北東北は、日本有数の木の国の集まりです。岩手・盛岡のD'STYLEは、木の国の火と蒸気の店として、材の香りの話までご相談に乗っています。ヒバの香りのサウナ、気になった方はどうぞ。



